概要
地方線区における老朽車両の置換とサービス改善、速度向上等を目的として設計された。
旧来の国鉄型キハ20系・キハ35系・キハ40系の走行性能の低さと比較すれば、加速・減速・均衡速度とも別次元であり、一部電車よりも走行性能が上回り勾配にも強いなど、所要時間の短縮はローカル線区にとって福音ともいえる存在である。
同時期に投入されたキハ100系(キハ100・キハ101)が車体長16~17mと比較的小型であるのに対し、キハ110系(キハ110・キハ111・キハ112)は20m級で従来の国鉄形気動車と同程度の車体長となっている。3形式の区別は以下の通り。
- キハ110形:両運転台車・トイレあり
- キハ111形:片運転台車・トイレあり
- キハ112形:片運転台車・トイレなし
0番台は急行陸中(盛岡駅~釜石駅・宮古駅間、釜石線・山田線経由)用に製造された。優等列車に使用するため回転クロスシートを装備しているが、パイプ状のスカートなど外観でもその後の量産車とは異なる面がある。新製時から急行陸中→快速はまゆりに使用されており、2007年からは快速南三陸(仙台駅~気仙沼駅間)の指定席車にも使用されている。
300番台は田沢湖線の秋田新幹線工事期間中の迂回列車である特急「秋田リレー」(北上駅~秋田駅間、北上線経由)用に新製された。1997年の秋田新幹線開業に伴う同列車運転終了後は普通列車用である200番台に編入改造されている。
一般形200番台の座席は、一般には喜ばれるクッションの多い柔らかめのものであるが、人体へのホールドは実はかなり悪く、長時間乗車をすると腰を痛めたり筋肉痛を誘発するなど、実際にはE231系以降と比較してあまり好ましい設計ではない。
JR北海道のキハ150形とは設計的に大部分を流用しており、劣悪な座席も含め似通った部分が多い。
改造車
2013年に運行開始したレストラン列車「東北エモーション」(TOHOKU EMOTION)用としてキハ110・キハ111・キハ112が1両ずつ改造されて700番台を名乗ったが、このうちキハ112は駆動用エンジンをサービス電源用に転用した「制御食堂車」キクシ112という珍形式を名乗る事となった。
2015年には飯山線の観光列車「おいこっと」(「OYKOT」。「TOKYO」の逆読み)の専用車として、元300番台のキハ110-235・236(313・314)号車の2両が再改造された。車番の変更は行われていない。
2017年には小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」用にキハ110-108号車が改造され、キハ112-711号車へ改番(710番台)。キハ100-29号車改造のキハ103-711号車と半固定編成を組んで2両編成で運用されている。この編成が登場するまではキハ100系とキハ110系の併結が実現しなかった。
関連イラスト
関連タグ
キハE200形 キハE120形 キハE130系 JR東日本 気動車 ディーゼルカー キハ150形