路線データ
路線名 | 米坂線 |
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路線区間 | 米沢〜坂町 |
路線距離 | 90.7km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 20駅 |
非電化区間 | 全線 |
単線区間 | 全線 |
最高速度 | 85km/h |
閉塞方式 | 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式) |
保安装置 | ATS-SN |
運転指令所 |
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第一種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
概要
米沢駅(山形県米沢市)と坂町駅(新潟県村上市)を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線で、地方交通線(ローカル線)。
仙台支社及び新潟支社が管轄し、支社境は今泉駅(山形県長井市)〜荻生駅(西置賜郡飯豊町)間の第二黒沢踏切(飯豊町)付近、米沢駅起点26.0km地点に設置されている。
また今泉駅は山形鉄道フラワー長井線との共同使用駅であり、駅構内(坂町駅・荒砥駅寄りの分岐器〜旧・白川信号場跡間)は線路を共用している。なお山形鉄道フラワー長井線は第三セクター転換前はJR東日本長井線だった為、現在も駅構内はJR東日本が管理しているが、運転指令はそれぞれ独立している。
国鉄時代や民営化直後は白新線新潟駅と奥羽本線山形駅・仙山線仙台駅を結ぶ列車が運行されていた。しかしモータリゼーションの進展や貨物輸送の廃止、山形新幹線関連の工事による奥羽本線の改軌に伴う直通中止等が要因で、地方のローカル線に成り果ててしまった。
朝日連峰の麓、日本有数の豪雪地帯を通る路線で、その様子は飯山線や信越本線に並ぶほどである。
米沢駅〜今泉駅間は国道287号、今泉駅〜坂町駅間は国道113号が並走している。また国道113号のバイパス線である「新潟山形南部連絡道路」の一部として「小国道路」の着工が決定した。これら並走道路の整備と後述の豪雨による被災からの復旧費用の問題で存廃問題が浮上している。
2022年(令和4年)8月豪雨による被災と存廃問題
元々荒川沿岸の山間部を走行し、かつ豪雪地帯の為大雨や大雪による被害を頻繁に受け、長期間運転を見合わせる事が開通以来何度もあった。
2022年(令和4年)8月3日に発生した豪雨でも橋梁流出等沿線各地で多数の被害を受けた。
8月9日に米沢駅〜今泉駅間が復旧したものの、今泉駅〜坂町駅間は復旧にかかる費用は約86億円、工期は約5年かかる旨をJR東日本が算出した。
当初JR東日本は廃止ではなく復旧の方針を示したものの、JR東日本は単独での復旧は困難であり自治体の協力が必要と述べていた。しかし2023年(令和5年)5月に新潟支社長が交代すると、「課題が解決しない限り復旧は難しい」として廃止も視野に入れている事を示唆している。
これに対して山形県及び新潟県は復旧についての協議と存廃の協議は別物として、当初からあくまで復旧第一の方針を示している。
沿革
開業〜全線開通まで
- 1926年(大正15年)9月28日:官制鉄道の米坂線として開業。南米沢駅、西米沢駅、中郡駅、羽前小松駅、犬川駅開業。
- 1931年(昭和6年)8月10日:米坂西線として坂町駅〜越後下関駅間開業。越後大島駅、越後下関駅間開業。これに伴い米坂線を米坂東線に改称及び今泉駅〜手ノ子駅間延伸。萩生駅、羽前椿駅、手ノ子駅開業。白川信号所(後に信号場に変更)開設。
- 1933年(昭和8年)11月10日:米坂東線手ノ子駅〜羽前沼沢駅間延伸。羽前沼沢駅開業。
- 1933年11月30日:米坂西線越後下関駅〜越後金丸駅間延伸。越後片貝駅、越後金丸駅開業。
- 1935年(昭和10年)10月30日:米坂東線羽前沼沢駅〜小国駅間延伸。伊佐領駅、羽前松岡駅、小国駅開業。
全線開通〜国鉄分割民営化まで
- 1936年(昭和11年)8月31日:小国駅〜越後金丸駅間延伸に伴い全線開通及び米坂線に改称。玉川口駅開業。
- 1940年(昭和15年)3月5日:小国駅〜玉川口駅間で雪崩が発生し荒川橋梁が崩落。直後に橋梁を通過した下り列車が荒川に転覆し、乗客乗員計15名が死亡し30名が負傷する事故が発生。
- 1958年(昭和33年)7月10日:花立駅開業。
- 1961年(昭和36年)7月7日:成島駅開業。
- 1967年(昭和42年)8月28日〜8月29日:豪雨により沿線各地で被災し全線不通となる。
- 1967年9月10日:米沢駅〜羽前沼沢駅間運転再開。
- 1967年9月18日:羽前沼沢駅〜伊佐領駅間運転再開。
- 1967年9月20日:越後下関駅〜坂町駅間運転再開。
- 1967年10月24日:越後片貝駅〜越後下関駅間運転再開。
- 1967年11月25日:伊佐領駅〜小国駅間運転再開。
- 1967年12月8日:越後金丸駅〜越後片貝駅間運転再開。
- 1968年(昭和43年)1月1日:玉川口駅〜越後金丸駅間運転再開。
- 1968年6月28日:全線運転再開。
- 1984年(昭和59年)2月1日:白川信号場を廃止し今泉駅構内に編入。
国鉄分割民営化以降
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴いJR東日本が第一種鉄道事業者として継承。貨物営業廃止。
- 1991年(平成3年)8月27日:奥羽本線改軌工事に伴い同線との直通運転終了。急行「べにばな」を山形駅発着から米沢駅発着に短縮し、快速に格下げ。米坂線から有料優等列車が消滅。
- 1995年(平成7年)12月1日:玉川口駅、花立駅廃止。
- 2004年(平成16年)7月14日:新潟・福島豪雨による築堤法面崩落の為全線で不通となる。
- 2004年7月15日:全線運転再開。
- 2004年7月17日:福井豪雨をもたらした前線の影響で豪雨が発生。土砂崩れや路盤流出等により今泉駅〜坂町駅間が再度不通となる。
- 2004年7月31日:全線運転再開。
- 2005年(平成17年)3月12日:雪崩の影響で橋梁に亀裂が生じた為、羽前椿駅〜小国駅間が不通となる。
- 2005年4月11日:全線運転再開。
- 2009年年3月14日:使用車両をキハ110系及びキハE120形に統一し、ワンマン運転開始。
- 2011年(平成23年)3月11日:東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の為全線運転見合わせ。
- 2011年3月14日:小国駅〜坂町駅間運転再開。
- 2011年3月20日:全線運転再開。
- 2012年(平成24年)2月3日:大雪の為今泉駅〜坂町駅間が不通となる。
- 2012年2月6日:今泉駅〜小国駅間運転再開。
- 2012年3月18日:全線運転再開。
- 2013年(平成15年)7月23日:大雨による土砂流出の為羽前椿駅〜小国駅間で運転見合わせ。
- 2013年8月8日:全線運転再開。
- 2014年(平成26年)7月10日:大雨により全線で運転見合わせ。同日夜に米沢駅〜羽前椿駅間運転再開。
- 2014年7月11日:小国駅〜坂町駅間運転再開。
- 2014年7月31日:夕方から全線運転再開。
- 2022年(令和4年)8月3日:豪雨により橋梁崩落等沿線各地で被災。全線運転見合わせ。
- 2022年8月9日:米沢駅〜今泉駅間運転再開。
運行形態
民営化直後はローカル輸送の他に新潟駅と山形駅を結ぶ急行「べにばな>ベニバナ]]」が運行されていたが、山形新幹線開業準備に伴う奥羽本線改軌工事により同線へ直通出来なくなった為、「べにばな」は新潟駅〜米沢駅間の快速に格下げされた。以降は臨時列車を除き白新線・羽越本線以外の路線とは直通運転を行なっていない。
2022年の被災前は全線通しの列車が5往復運行されていた。1往復は前述の快速「べにばな」だが米坂線内は各駅に停車していた。また下りの1本は羽越本線新津駅始発だった。この他に小国駅発着と米沢駅〜今泉駅・羽前椿駅間の区間列車が運行されていたが、列車間隔が最長4時間程度空く時間帯が存在した。
被災後は今泉駅〜坂町駅間が不通となっている為、「べにばな」及び羽越本線からの直通列車は運休となり、米沢駅〜今泉駅間の区間運転のみ行なっている。一部列車は工事の為羽前小松駅〜今泉駅間を運休する事がある。
不通区間は代行バスが運行されている。運行区間は今泉駅〜羽前椿駅・手ノ子駅・小国駅・坂町駅間及び、小国駅・越後下関駅〜坂町駅間。朝の上りのみ小国・手ノ子発米沢行の直行バスが運行されている。一部を除き今泉駅で米沢駅発着の列車と接続している。
駅一覧
※快速「べにばな」は各駅に停車する為省略
駅名 | 乗換路線 | 備考 |
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米沢 | ||
南米沢 | ||
西米沢 | ||
成島 | ||
中郡 | ||
羽前小松 | ||
犬川 | ||
今泉 | 山形鉄道フラワー長井線 | |
↑営業区間/↓不通区間 | ||
萩生 | ||
羽前椿 | 当駅発着代行バスあり | |
手ノ子 | 当駅発着代行バスあり | |
羽前沼沢 | ||
伊佐領 | ||
羽前松岡 | ||
小国 | 当駅発着代行バスあり | |
↑山形県/↓新潟県 | ||
越後金丸 | ||
越後片貝 | ||
越後下関 | 当駅発着代行バスあり | |
越後大島 | ||
坂町 | 羽越本線 |
廃止駅・信号場
今泉駅〜荻生駅間。1984年(昭和59年)2月1日廃止。今泉駅構内に編入。
小国駅〜越後金丸駅間。1995年(平成7年)12月1日廃止。
越後大島駅〜坂町駅間。1995年12月1日廃止。
使用車両
全て新津運輸区→新潟車両センター新津派出所所属の気動車。原則1両または2両で運行される。
現在の使用車両
- キハ110系200番台
快速「べにばな」、普通列車で使用。
後述のキハE120形とは共通運用だった。
キハE120型に代わり2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正で運行を開始。普通列車で使用される。
過去の使用車両
国鉄民営化後の車両のみ記載。
民営化直後に使用されていた国鉄型気動車。キハ58系は急行「べにばな」でも使用されていた。
2009年(平成21年)までに全車が置き換えられた。
- キハE120形
キハ110系と共に2008年(平成20年)から投入され、キハ110形と連結して運用されることもあった。
2020年3月14日のダイヤ改正で米坂線での運用を終了し、只見線に転出された。