「我が名は夜叉。封印の鍵である帝鍵を差し出しなさい」
概要
CV:横山智佐
華撃団大戦開会式の最中、突如帝都に現れた上級降魔。
「帝鍵」と呼ばれる道具を探している。
その姿と声は10年前の「降魔大戦」で消滅した筈の真宮寺さくらに酷似しており、天宮さくらは「どう見てもさくらさんです」と指摘したが、当人をよく知るすみれは「あれは彼女じゃない」と断言している。
だが四話終盤において、暗証番号を正確に入れて帝劇の地下に堂々と侵入したうえ、帝国華撃団に向けあの「破邪剣征・桜花放神」を放ったことにより、「夜叉=闇落ち(降魔化)した真宮寺さくら」という疑念を刻み込まれた天宮さくらの心に大きな傷を残し、一時は自暴自棄にまで追いこんでいる。
神滅
夜叉が妖力で操縦する傀儡機兵。
霊子戦闘機より一回り以上巨大な機体ながら、無限を翻弄するほどの俊敏な機動力と、太刀を用いた強烈な攻撃が特徴的な機体。
また、余談だが、一見するとその外見は初代に登場した魔操機兵「神威(及び続編で強化された闇神威)」に酷似している。
奇しくもこの2機は名前が「神の脅威」と「神を滅する」、機体色が黒、太刀を武器にする、おまけにパイロットが悪に堕ちた元上官と洗脳された父親など明らかにイメージされたものが多い。
余談
- ニュースサイトでは発表直後から色々と囁かれていることを記事にしていたり、正体の考察として「一体何宮寺さくら」、「さくらオルタ」などというワードがでてきている。またそのことを受けて「父親も(仮面を付けられて本人の意思とは関係なく無理やり)闇堕ちしたからしょうがない」などという意見も出ている。ちなみに人が降魔になる現象には前例がある。
- 実は……声優を務めた横山智佐はオファーを受けた際、渡された人物像がかつてのさくらとかけ離れていたという理由等から二度断った経緯があり、最終的に引き受ける際「差し出がましいとは思いながらも」と前置きしたうえでキャラクター設定についてのアイデアを出している。またこの件に関しては、プロデューサーの片野徹より「正直なところ、横山智佐にオファーを出した時点では夜叉のキャラクターが固まりきっていなかった」ということも明かされている。詳細はこちらの「私たちが“戦う”意味」を参照のこと。
関連タグ
個別
関連キャラクター
- 真宮寺さくら:CVが同じ横山智佐で容姿もかなり似ている。
- 鬼王:サクラ大戦2に登場した『黒鬼会』の上級幹部で正体は京極慶吾の妖力によって洗脳状態で蘇生された真宮寺さくらの父、真宮寺一馬だった。
- テンカワ・アキト:黒衣と仮面を身につけた姿が劇場版の彼によく似ている。また、搭乗するブラックサレナも神滅によく似ている
- ジューダス
- ネオ・ロアノーク
外部リンク
ここより先ネタバレ注意
この先、ゲーム「新サクラ大戦」のストーリーやキャラクターの核心に迫るネタバレ、及びそこから展開される推論等があります。
明かされた正体
あの真宮寺さくらに瓜二つな容姿と声に同じ技、でありながらかつての面影など皆無な人物像で多くの者を困惑させた夜叉であったが、新生帝国華撃団との決戦で敗北した後、とうとう仮面の下に隠された人工物である証拠の醜い顔を晒した。
その正体は降魔化したさくら本人などではなく、事件の黒幕たる幻庵葬徹によって産み出された「傀儡人形」であった。
その直前まで夜叉が本物の真宮寺さくらである可能性を捨てきれず、敢えて目を覚ますように言葉をかけ続けてきたさすがの天宮さくらも、
<仮面が取れる前>
・自分たちが手駒として利用してきたアナスタシアを裏切り、文字通り一太刀で斬り捨てる冷酷非道さ。
・神山たち花組の戦いを「正義ごっこ」と嘲笑う。
・人間を「儚く脆いもの」「弱い、みじめな存在」と徹底して見下す。
・極めつけに、アナスタシア、クラリス、あざみの殺害に至る。また、初穂も夜叉の魔力を打ち破るのと引き換えに命を落としてしまった。
<仮面が取れた後>
・低級降魔の鳴き声を混ぜたようにくぐもった声を発する。
・額に角を生やし、真っ赤に怪しく光る左右非対称の目を持つ、かつてのさくらとは似ても似つかない姿。
・エリス達と違い、仮面が取れてしまっても邪悪な殺意を露にする。そもそも付けていた仮面の形状が全く違う。
・完全に理性を失った状態で突如大声を発し、さくらと誠十郎に斬りかかった。
これらの積み重ねから、ようやく彼女が本物の真宮寺さくらではないことを確信し、何度も疑ってしまった自分を恥じながら、その弱い心と決別するためにも夜叉へ止めを刺すことを決意する。そして一対一の決闘に敗れた夜叉は、幻庵葬徹の名を呼びながら形代(頭髪の束)を残し消滅した。
「幻庵様に蘇らせてもらった」と語っているあたり、セリフだけだと本物のさくらが一度殺され降魔となって蘇生された様にも取れるが、その一方で「我が名は夜叉……それ以外の名など、ありません!!」「何が、前のあなた、ですか!そのようなもの、存在しない!」「あたしは夜叉!幻庵様の僕です!」と「幻庵葬徹の僕として産み出された自分」以外の素性を本人が一貫して否定している。
さらにこの後、本物の真宮寺さくらが天宮さくらと奇跡の邂逅を果たし、なおかつ他ならぬ彼女の力で夜叉の手により戦闘不能となった新生花組が復活を遂げたことから、夜叉が真宮寺さくらである可能性は完全になくなった。
その後、2020年3月30日に発売された「新サクラ大戦 設定資料集」において「形代(同書内では『依代』と表記)に使われた髪束が真宮寺さくら本人のものであった」ということと、「夜叉が展開する魔幻空間の内部に歯車や骨組みなどが存在するのは、その正体が幻庵の傀儡であり、からくり人形の内部をイメージしたため。溶岩や炎は憎悪の象徴」ということがそれぞれ明記されている。
残された謎
帝劇地下に通じる昇降機の暗証番号を知っていた理由は、第六話のストーリーを見るに「スパイとして送り込んでいたアナスタシアから聞き出したため」と考えられるが、その一方で「形代に真宮寺さくらの髪束を用いたことで、その記憶の一部も引き継いでいるからではないか」と考えるファンもいる。刀を振るう姿が北辰一刀流の構えと非常に似ていたことや、その奥義「破邪剣征・桜花放神」まで用いたこと、そして何より前シリーズ一作目となる「サクラ大戦」のエンディング「花咲く乙女」の鼻歌を口ずさんでいたことがその主な理由のようだ。
また、夜叉の正体そのものは「幻庵葬徹が真宮寺さくらの髪束を用いてつくりだした傀儡人形」と判明しているが、一方で「幻庵がどのようにして彼女の髪束を入手したのか」「あえて姿を似せた紛い物を作り出し、手駒としていたのはなぜか」という点については明かされていないままである。しかし2020年3月末現在、これら全てについて公式サイドからの明確かつ絶対的な見解は示されていない。
そして、漫画版第9話ではなんと自ら仮面を取り、しかもその顔が本物の真宮寺さくらそのものだった。何らかの術式などでカムフラージュしており、やがていつか原作通りの醜い顔に変貌するのか、それとも漫画では本当にさくら本人なのか……?漫画版における大きな注目点となっている。
その他
一部のファンからは「天宮さくらが真宮寺さくらのコアなファンでありながら、夜叉と本物の真宮寺さくらを見分けられないのはおかしい」という批判的な意見も挙がっているが、天宮さくらは幼い頃の記憶の中でもたった一度しか真宮寺さくらと会っておらず、しかもその記憶も自然な時間の流れで改変されたもので、実際には一度も会ったことがなかった(=結局のところ本物の真宮寺さくらのことをよく知らなかった)ことが判明しているので、本物のさくらをよく知るすみれと違い、夜叉と真宮寺さくらを見分けられなかったのも仕方のないことである。
関連タグ(ネタバレ関連)
- フル・フロンタル(機動戦士ガンダムUC):彼もシャア・アズナブル本人ではなく、人々にとっての理想のシャアになろうとしていた別人であるということが共通している。
- ウォーダン・ユミル(スーパーロボット大戦OG):彼は「あちら側」のゼンガー・ゾンボルトのデータを元にシャドウミラーに産み出されたアンドロイド・W15であり、主人公部隊とは特に本物と刃をまみえる事が多かった。ちなみに、彼らのオリジナルであるゼンガーとさくらはプロジェクトクロスゾーンで共演している。