概要
全身を西洋甲冑のような流線型の装甲と高機動ブースターを装着し、単体でボソンジャンプが可能な全高8mの機動兵器。
名前の由来は黒百合。花言葉は「恋」「呪い」。メカニックデザインは明貴美加。
最初は高機動ブースターを装備し、異形の姿をした謎の機体として登場。
本機の迎撃をしていたライオンズシックル隊の隊長は、高機動ブースターを取り外して姿を現す様子を『くそぉ・・・(変形なんざしやがって)おめぇは、ゲキガンガーかよ!!』と驚いたそうな。
当初は乗り手は不明であったが、飛行機事故で亡くなったはずのテンカワ・アキトであったことが判明。火星の後継者との戦いを終えると、次々と纏っていた黒い甲冑を脱ぎ捨てていき、兜を外した瞬間・・・
度重なる改造で姿・形は変わっているが、アキトのエステバリスの素顔を現した。
機体の変遷
発端
ベースとなったエステバリスは、アキトが「蜥蜴戦争」で使用していた物で、アルストロメリアのプロトタイプとして様々な改造を施され、エステバリスでの単独ボソンジャンプの実験データ取りに使用されていた(このため「テンカワSPL」の名称で呼ばれていた)。
なお、ゲームではエステバリスカスタムの名で登場することが多いが、「エステバリスのカスタマイズ機」という共通点があるだけで、本来のエステバリスカスタムとは別物である。
単独使用を前提にしていたために従来のエステバリスよりも高性能で、データを取り終えて役目を終えたこの機体を会長経由で入手したアキトは北辰衆に挑んだものの、高性能とはいえ元が旧型のエステバリスで最新鋭機の夜天光と六連6機の連携に敵うわけがなく大破、敗北した。
このときアキトがA級ジャンパーで本機がボソンジャンプに対応していたことで辛くも生還している。
この敗北を受けて、北辰衆が常に複数機で行動していることから1対7での戦闘を想定して改造を施していくことになり、ブラックサレナが誕生することになる。
改造
既製品を利用したハンドメイドの物や、ネルガルで開発された試験機の部品も使用されている。
カードゲーム『クルセイド』では、「装甲強化型エステバリス」というブラックサレナと似たコンセプトの機体が登場している。増加装甲により機体の機能を追加し、外付けのジェネレーターで高機動により重力波照射が追い付かなくなる点を補っており、この機体の部品も改造に使われていると言われている。
最初は増加装甲に大型ミサイルなどの重火器を大量に搭載し、その重量を補うために燃料式スラスターを増設した「S型(ストライカータイプ)」と呼ばれる重火力型の機体が完成。
その火力で拠点襲撃では大きな成果を上げたが、肝心の対夜天光・六連では重装備が祟ってその機動性についていけず、歯が立たずに再び敗北する。
この結果からただ火力を上げても勝てないと判断され、重装甲を維持したまま機動力を上げる方向にコンセプトを変更。
両肩にS型の脚部のスラスターを移動、脚部もアーマーそのものをスラスターに改造、重力波放射器と組み合わせることによって基本スペックを遥かに超える運動性を得た。
武装は敵機を撃墜できる最低限の火力を持ったハンドカノンに絞り、これで両手が塞がれたためにそれを補う目的でマジックハンド機能付きのテールバインダーが増設された。
大幅に推力が増した結果、各部にかなりの負荷がかかることから増加した装甲には機体剛性を高める役割も付加され、コアとなったエステバリスは増加装甲で四肢を固定する形になっている。
この改造によって誕生したのが「A型(アーマードタイプ)」と呼ばれる機体であり、ここから更に装甲を強化していったものが劇中に登場したブラックサレナA2型(アーマードタイプ2)となる。
これにより防御力や機動力、運動性はずば抜けているが、その代償として武装が両腕のハンドカノンのみと貧弱で、火力はエステバリス以下となっている。
そのためスパロボに参戦した時の武装も、この「ハンドカノン」と「ディストーションアタック」(ディストーションフィールドを展開した状態による体当たり)のみであることが多い。一部作品では尻尾部分をムチのように使って攻撃する「アンカークロー」も持っていることがあるが、耐久面を考えればゲーム内の演出のように使えば破損するおそれが非常に高い諸刃の剣と思われる。A.C.E.では胸部にバルカン砲が搭載されているが、原作でも使用できるのかは不明。
徹底的な対夜天光・六連特化機であるために大軍相手には不利となる。実際、劇中でもターミナルコロニー・アマテラス襲撃時は母艦のユーチャリスが囮になり、その隙にその機動力と推進力で防衛部隊を振り切って内部に侵入する戦法を取っている。
その設計思想は完全にエステバリスとは反するものであるため、その外見も相まって一部の技術者からは反発を受けたとされている。
高機動ユニット
ブラックサレナA2型に高機動ユニットを装備することにより、戦術としてのボソンジャンプが可能になる。
ただし緊急時にはフレームがCCで出来ていることを利用してのボソンジャンプは可能ではあるが、フレームそのものへの影響が懸念されるためか、基本的には高機動ユニット装備時にしかボソンジャンプをしていない。
高機動ユニットにも様々なバリエーションがあり、設定ではミサイルポッドやビームキャノンを装備した「重武装タイプ」、大気圏内での飛行を想定した「エアロタイプ」、機種先端部分に削岩ドリルやレーザー掘削機が取り付けられた「モールタイプ」が存在する。
劇中で登場したタイプは全長18mで、敵中突破の場合のみに使用する。
このユニットには武装が無く、装備した状態では本体のハンドカノンも使用出来ないが、大質量・大推力を用いたディストーションアタックが可能。
また高機動ユニットのパーツには機密保持の為に爆薬がセットされており、これを直接相手に接触させることでパーツを誘爆させ強行的ではあるが攻撃をすることができる。実際にアマテラスの戦闘において、追跡する量産型エステバリスを二機この方法で撃破している
スパロボ
スーパーロボット大戦シリーズでは原作通りエステバリスの強化機として登場。
全体的に高めの耐久力と回避性能を持つが武装が少なく、機体が小さいためにサイズ差補正がかかることが共通している。
R・MX・W
最大の特徴は驚異的な耐久力とパージによる攻撃力の増加にあり、分離によって高機動型からブラックサレナへと移行する。作品によっては装甲もパージしてエステバリスカスタムにも移行可能であり、またダイゴウジ・ガイのエステバリスとの合体攻撃が用意されているケースもある。
一部作品ではこの分離をステージ中でも任意に行うこともできる他、ブラックサレナの状態で撃墜されることでエステバリスカスタムになる作品もある(逆に作品によってはエステバリスカスタムに分離することなく撃墜されてしまったり、パージ攻撃を行うことでエステバリスカスタムに分離する作品もある)。
作品毎の性能差も激しく、例えば初登場の『R』のときはルート次第で獲得できる『高機動型ブラックサレナ』→『ブラックサレナ』→『エステバリスカスタム』と3回撃墜されなければ撃墜扱いにならない上に全ての状態で『ディストーションフィールド』を持ち、ブラックサレナ以上ではさらに『ボソンジャンプ』(攻撃を50%で回避)も使用可能という、ゲーム全体の難易度の低さも合わさってまさに「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」というぐらいに非常に倒されづらい強力な機体だった。
スーパーロボット大戦MXでは高機動ユニットがデフォルトで付くようになったが、エステバリスカスタムへの分離が不可に(最強武器の演出でのみ登場するが、実は没データでエステバリスカスタムが存在している)。
合体攻撃も持っていないが、単独での最大ダメージを狙うことができる機体となっている。
一方でスーパーロボット大戦Wでは武装の使い勝手が悪く、重装甲という設定の割には装甲もリアルとしては高い程度で、はっきり言って弱い。その分エステバリスカスタムの合体攻撃が凶悪な性能を持っている。
また第一部のエステバリス・アキト機の改造を引き継ぐので、改造次第ではNPC時に経験値泥棒と化す。
シナリオ上早期で離脱して使えなくなる『R』を除いて、ラスト数話で参戦するという加入時期が遅すぎることで有名だった。性能が非常に高いのもこの点を考慮してのことだろう。
VとT
『V』では中盤に正式加入。続く『T』では途中で一時離脱はあるものの4話という最序盤での参戦となり、参戦時期の遅さに関しては改善された。
ただし、参戦が早まった分だけ機体性能も抑え気味になり、やや装甲が高いリアル系といったところに落ち着いている。『T』では特定のシークレットシナリオを通ると性能が強化される。
立体物
- スーパーロボット大戦バトルコレクション
『スーパーロボット大戦MX』に合わせて発売されたミニフィギュア。全10種+シークレット1種のうちの1つ。
台座は宇宙空間が描かれており、そこをロボット形態で飛んでいるイメージで立体化されている。
- コトブキヤ
プラスチック模型(プラモデル)として発売。
劇中さながらのプロポーションを持っており、劇中で使用した装備やカスタムエステバリスへの換装は各部差し替えで再現可能。
- 魂SPEC(バンダイ)
劇中同様のアクションを取らせることが可能で、ブラックサレナ⇔カスタムエステバリスへはブラックサレナ用装甲パーツを脱着させるだけで再現可能。
さらに、高機動ユニットとカスタムエステバリスのオイルエフェクトが追加された頭部パーツが同梱される
- METAMOR-FORCE(千値練)
フィギュアメーカー「千値練」が展開するシリーズ「METAMOR-FORCE」の一つとして発売。
ちなみにそれぞれ「センチネル」と「メタモルフォース」と読む。
高機動ユニットは公式通販限定で別売りされた。
元ネタ
『機動戦士ガンダム~逆襲のシャア』に登場するモビルアーマーのα・アジールである。
さらに、「あっちは地面に立てないけど、こっちは地面に立てるデザインになっている」、実際に最後は地上戦の一騎打ちを演じる事になる。
ただし、設定上脚部の増加装甲部は推進系とそれ用のプロペラントタンクの塊であるため、実質「立てるだけ」だったりする。なので劇中の一騎打ちで見せたようなホバー移動ならともかく、歩いたり走ったりしようものなら確定で推進系がお亡くなりになる事態に陥ってしまう。
また、デザインコンセプトには「恐竜」もあり、尻尾があるのはその名残である。