名前の由来は、キンポウゲ科の宿根草(花)。英名で「Adonis aestivalis」、和名を「ナツザキフクジュソウ」という。
概要
ネルガル重工が開発した、全高約6mの人型機動兵器シリーズの総称。
ネルガル重工の火星奪還計画「スキャパレリ・プロジェクト」のために、局地戦対応型の特殊兵器として開発された。
操縦方式には操縦者の意思をダイレクトに機体に反映させるIFSを採用して高い追従性を獲得し、またアサルトピットと呼ばれるコクピットブロックを中心としたフレーム換装方式を採用して破格の汎用性を得た。
そのためエステバリスは6mもの身長を誇りながら、重量は800㎏にも満たない(800㎏というのは全身にバッタが憑りついたデビルエステバリスの重量。勿論通常フレームはバッタを差し引いた分の重さになる)。これは水より軽く(尤も空を飛ぶんだから軽くて当然だが)、ほぼ骨組みに装甲を付けたようなものである。
その理由にはエステバリスには動力炉がないというのがある。機体からジェネレーターをオミットし、母艦から重力波ビームでエネルギーを供給するという割り切った設計により、機体の小型軽量化と、大出力の推進機関の搭載の両立により従来型の機動兵器を凌駕する機動性能を獲得した。同時に木星蜥蜴(木連)の機動兵器と同様にディストーションフィールドを標準装備しているため、防御力も連合宇宙軍の主力機だったデルフィニウムとは一線を画す。更にディストーションフィールドは攻撃にも転用可能(要するに、バリアを張って体当たりする)なので、場合によっては単騎で戦艦を撃墜することも可能となった。
ナデシコAでの運用データを元に量産され、それまで防戦一方だった地球に光明をもたらした傑作機となった。しかし操縦に必須なIFS処置は地球では嫌がる人間が非常に多かった事や、外部からのエネルギー供給が不可欠な為に、重力波ビームの範囲外での活動が難しいなどの欠点を抱えており、蜥蜴戦争後は、グレードアップしたエステバリスⅡが量産・配備された。
が、IFSを必要とせずジェネレーター内蔵で出力もエステバリス以上の性能を持つクリムゾングループ製の機動兵器「ステルンクーゲル」に主力兵器の座を奪われてしまっている(ただし精密動作はステルンクーゲルを遥かに凌駕しているため、熟練パイロットや木連に在籍していたパイロット達はエステバリスを好んで使用している)
フレーム一覧
陸戦フレーム
一番オーソドックスな重力下仕様のフレーム。陸上での運動性能が高く、跳躍やワイヤードフィストによる格闘戦闘が可能。脚部バッテリーにより長時間の作戦行動を可能としている。脚部裏には、ブレーキパッドとスパイク、移動用のローラーユニットが装備されている。
装備 | イミディエットナイフ、ワイヤードフィスト |
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オプション装備 | ラピッドライフル、フィールドランサー |
重武装フレーム
「1-Bタイプ」とも呼ばれる陸戦フレームをベースに、装備を追加した火力重視のフレーム。劇中では活躍の場はなかったが模型で登場したり、火星の後継者残党部隊との戦いを描いた『NADESICO THE MISSION』にて活躍する。
装備 | 3連ミサイルポッド、火炎放射、ラピッドライフル、吸着地雷、2連荷電粒子砲、グレネードランチャー、レールカノン |
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空戦フレーム
空中での戦闘を目的としたフレーム。機体各部にセンサーユニットが装備されているため情報収集能力が高いのも特徴。
重力波推進で浮遊し、ジェットエンジンで加速するハイブリッドタイプで、主に隊長機として使われる。
装備 | ミサイルポッド、イミディエットナイフ、ラピッドライフル、フィールドランサー |
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0G戦フレーム
無重力下での戦闘を目的としたフレーム。
重力波推進で機動を行うため、大型の重力波エネルギー受信アンテナと、脚部にバッテリーが搭載されている。
汎用性は最も高く、水中(こんなに軽くて果たして沈むのだろうか?)や火星などの低重力下でもその性能を発揮できる。
装備 | イミディエットナイフ、ラピッドライフル、フィールドランサー、ソーラーセイル |
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重機動フレーム
火力・装甲を重視し、移動砲台化させた、通称「砲戦フレーム」。
劇場版の砲戦エステバリスのプロトタイプにあたる。
耐久値も高く、地雷を踏んでしまっても問題なく稼働できる。
装備 | ミサイルポッド、120ミリカノン砲(発射時の反動が大きい為、脚部後方のアンカーを展開し地面に機体を固定する) |
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月面フレーム
月面の低重力・真空下での戦闘を目的としており、唯一相転移エンジンを搭載しているフレーム。単体行動可能だが、反応速度が重いのが欠点。マニピュレータも従来型と異なり3本指になっている。
アサルトピットを必要とはするものの、本フレームは18mと巨大なためアサルトピットは頭部ごと収納し専用の頭部を使用する形式となっている。
ウリバタケ曰く『デカイだけで基本は一緒』との事だが、デカイから整備に手間がかかるのが欠点。
ナデシコには二体配備され、識別のため機体の一部に塗装が施されている。
地上でも活動可能で、ルーターとしての役割も果たすようになっている。
砲撃戦を前提としており、その火力はジン・タイプを一撃で撃墜させるほどである。
このフレームの設計思想は後の「ステルンクーゲル」へと受け継がれている。
装備 | ミサイル、レールキャノン、対艦ミサイル |
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デビルエステバリス
無人兵器バッタに制御システムを乗っ取られてしまった0G戦フレーム(複合センサー装備型)。頭部と左右腕部にはバルカンポッドタイプのコバッタ、背中にはミサイルタイプのコバッタが取り憑いている。
名づけ親は「アマノ・ヒカル」。
アカツキカスタム
アンテナやジェネレータなどを小型・改良型に換装したアカツキ・ナガレ専用の0G戦フレーム。
他の0G戦フレームと互換性がないのが欠点だが、空戦、砲戦、月面には互換性がある。また、防護用バイザーでわかりづらいが従来のエステバリスと同様のツインアイのセンサーが存在する。
後継機のスーパーエステバリスは、このフレームからのグレードアップモデルにあたる。
耐圧エステバリス
通称「耐圧エステ」。TV版13話に登場しており、ネルガル重工が保有しているもので有人ボソンジャンプの実験に使用されていたが、各部が圧壊した状態で帰って来た。
セイヤが独自に設計・開発し改良した新型ジェネレーターを搭載したハンドメイドのエステバリス。 従来のエステバリスの5倍という重力波変換効率を以って、Xキャノンと呼ばれる【小型グラビティブラスト】を搭載したフレーム。
ただし、そのエネルギーチャージ時に機体が耐えきれないという欠陥を持っている。
『スーパーロボット大戦』シリーズでは、その欠陥を解消した『Xエステバリス改』がある。
量産型エステバリス
頭部形状はエステバリスⅡの物に似ているが、スリットアイタイプで地球での木星蜥蜴との戦闘時や火星遺跡争奪戦にて登場し空戦フレームを装備している。 また三年後には、陸戦フレームを装備したタイプが登場している。
劇場版「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」
全高6.25m、重量1.8tのいわゆる量産型。
アキト達が使用していた初代エステバリスよりも性能は上がっている。
重力波を受信するアンテナは小2枚、大1枚。
装備 | ラピッドライフル、イミディエットナイフ |
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現地改修が施されたエステバリス。量産型のアンテナを2セット付けているため、出力は向上したものの操作性がピーキーになりすぎ、エースパイロット専用となった。
高出力を生かして量産型が装備不可能なレールガンを使用可能。
出力調整と武装が強化されたエステバリス。フェイス部はカメラ・センサー等の保護のためバイザーで覆われている。
重力波を受信するアンテナは小2枚、大1枚と量産型と同じ。
装備 | ミサイルポッド×2、肩部連射式キャノン×2 |
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オプション装備 | レールガン |
砲戦エステバリス
重機動フレームを更に強化した重装甲・火力特化型エステバリス。アマテラス防衛隊に配備されていた、通称「砲台フレーム」。
装備 | 120ミリカノン、2連装対空砲×2、スーパーガトリング砲、ミサイルポッド×2 |
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ブラックサレナのデータを元に開発されたエステバリスの発展型。
B級ジャンパーであれば、短~中距離のボソンジャンプが可能。
装備 | クロー×2(両腕に内蔵されている) |
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謎の黒い機動兵器。
ゲーム「機動戦艦ナデシコ The blank of 3years」
トレーラーバリス
火星遺跡の調査団の荷物を運んでいたトレーラーをウリバタケが勝手に改造した機体。
トレーラー形態から空戦フレームに変形する。
操縦はIFSを使わず、ステアリングでの操作をする。
海戦フレーム
水中戦用の「木星蜥蜴」に対抗すべく開発されたが、あくまで試作用に造られたフレームの為、本格的な量産はされなかった。
装備 | 魚雷ランチャー、トルネードスクリュー |
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ゲキガンフレーム
木星連合機動兵器のジン・タイプよりもオリジナルのゲキガンガーに準じたデザインとなっており、外見はゲキ・ガンガー3の後継機「ゲキガンガーV」そのもの。
攻撃方法は音声対応で、恥ずかしいぐらいに武器の名前を叫ばなければ発動しない。
コミック版
エステバリス
アニメーション版と外観に変わりはないが、武装の追加による強化やプログラムの調整により宙空間や空中戦闘に簡単に対応可能になっているのが特徴。 塗装前の状態は、磁気フェイサーと呼ばれるものが吹きつけられた状態で海水に浸かると、もう一度磁気フェイサーを施さねばならない。
カメラの仕様は全てツインアイ、非稼働時では目が瞑っていて起動に展開される。
エグザバイト
ネルガル重工と明日香インダストリーで共同開発されたグレードアップモデル。
外見は0G戦フレームだが、脚部が推進器になっている。生みの親の明貴美加氏曰く『宙空間戦闘をやるなら、歩行移動を行うための脚部は必要はないから推進器にしてほしい』と麻宮氏からの要望だったとのこと。
脚部の推進器に、サターンロケット風の釣鐘型ブースターが追加されていたり、ハイボルトスキッフと呼ばれる武装を装備している。エステバリスとも互換性があるため、整備性もよくアサルトピットを換装するだけ対応可能。
操縦方法は、IFSの進化型の【リアクト・システム】(身体の神経回路を電子変換し、機体に直結させることで自身の身体と同じように動かせるシステム)が採用されている。これは、マーベリック社のオリジナルで、リアクトシステムを起動させた状態なら色んな作業を行うことが可能。その気になれば本を読むことや料理をすることだってできる。(劇中では、読書が可能であることが判明)
欠点は、そのままフィードバックされるため強すぎるダメージは生身の身体にも影響を与えてしまうことである。
※劇中では、アキトはリアクト・システムにより一時的に視力が著しく低下してしまいバイザーによる視力補強での生活を送ることになるが、セイヤの粋な計らいでアキト機のエグザバイトの頭部が変更される。
その他
装甲強化型エステバリス
「クルセイド」で登場した機体。
増加装甲で機体機能の追加を目的とした実験機で、ブラックサレナとコンセプトが似ている。
ただしエステバリスの設計思想に反するとして、エステバリスの開発に関わった技術者からは強い反発を受けていたとされる。
寒冷地戦用エステバリス
陸戦フレームに増加装甲などの処置が施された寒冷地で活動する事に特化したエステバリス。
立体物
バンダイから1/48スケールのプラモとして陸戦フレーム、0G戦フレーム、砲戦フレーム、空戦フレーム、アカツキカスタムが販売されており リョーコ、イズミ、ヒカルのエステバリス機の0G戦バトルUNITなるセットも販売された。
各々ラピッドライフルとイミディエットナイフが収録されているが、砲戦フレームには120mmカノン砲と脚部アンカー、0G戦フレームにはフィールドランスが同梱されている。
※フィールドランサーは、0G戦バトルUNITにも同梱されている。
コトブキヤから月面フレームが販売された。※こちらは、ガレージキットとなっている。
BRAVE合金シリーズにラインナップ。陸戦&空戦フレーム、アキト機&ヒカル機、リョーコ機&イズミ機でセット販売された。
MODEROIDシリーズに陸戦、空戦がラインナップ。陸戦にはワイヤードフィスト再現用パーツ、ラピッドライフル・イミディエットナイフが各々2つ同梱、木星蜥蜴の機動兵器バッタの通常形態に飛行形態を再現用パーツが同梱。
空戦にはラピッドライフル、イミディエットナイフ、フィールドランサー、岡持ち型の予備バッテリーが同梱。
小話
本機は、明貴氏の当初の案では「エグザバイト」という名称だった。しかし、プラスチック模型にするためデザインも大きく制約が起きてしまったためアニメーション版への登場は叶わずお蔵入りさせることになった。 その代わり、コミック版にて【新型機】として登場させている。(そのため、エステバリスは早い段階で旧式機となってしまった)
関連タグ
機動戦艦ナデシコ ナデシコ 劇場版ナデシコ 劇ナデ ロボ メカ