概要
『月刊少年エース』連載、角川コミックスエース全4巻完結。日本神話を題材としたSF作品である。
軍事企業ネルガル重工が建造した新造戦艦「ナデシコ」のクルー達の戦いを描くスペースオペラ作品。
テレビアニメ『機動戦艦ナデシコ』とはキャラクターや設定が異なるが「原作」や「コミカライズ」というわけではない(デビルマンやゲッターロボと同じと思えばいい)。
いわゆる「普通に生活していた主人公が、ある切っ掛けから戦いの日々に身を投じることになる」と言ったタイプのストーリー構成となっているのが特徴。
あらすじ
はるか未来、木星方面からやって来た軍勢と地球圏の間で戦争が行われている時代。火星出身の青年アキト・テンカワは料理人として働こうとしていたが、火星でのトラウマが元でなかなか地球での生活に馴染めないでいた。
そんなある日、土手で昼寝をしていたアキトは、軍人らしい若い娘と出会う。一悶着の後、騒動の中で形見のペンダントが彼女の荷物に紛れたらしいことに気がついたアキトは、娘達を追って軍施設へと向かうが…
アニメ版との差異
- 登場人物が日本人であっても名→姓の順(西洋人名と同じ)で呼称されることが多い。
- 1話時点でのアキトからユリカへの好感度がゼロを通り越してマイナス。
- 戦艦名に「ナデシコ」と付けたのがユリカ。
- オリジナル機体・戦艦が数多く登場し(エステバリスの後継機エグザバイトなど)、ネルガル重工が植物に因んだ名前を付けるという設定も無い。
- 敵勢力が「木星蜥蜴」ではなく「木星兵器(ジュピトリアン)」と呼ばれる。
- 「木連」のキャラクターは本作には登場しない。
- アニメ版で死んでないキャラがこちらでは死ぬ。
- というかキャラやメカニックの外見と性格以外、共通点の方が少ない。
主な登場人物
機動戦艦ナデシコの項も参照されたし。本項では主に本作特有の要素や、アニメ版との相違点について述べる。漢字表記は判明しているキャラクターのみ記載する。
アキト・テンカワ(天川明人)
主人公。料理人を志望する火星出身の青年であるが、アニメ版と異なり志望理由が「他にできることがないから」。
作中ある事件で一時的な失明状態になる(エグザバイトの操縦は電子変換により感覚を機体と直結するため、失明状態でも可能)。
また、ナデシコが軍に編入される際に解雇されており、エンディングでおそらく復権(この時には目も回復している模様)するまでは正式なクルーではなくなっていた。
本作ではボソンジャンプは出来ない(そもそもボソンジャンプ自体が登場しない。ただし類似の現象は一度だけ出現した形跡がある)。
ユリカ・ミスマル(御統百合香)
ナデシコの艦長。アグレッシブかつ短絡的(アキトが絡むとさらに短絡的になる)な性格の持ち主で、アニメ版で見せていた高い作戦立案能力は欠片も見せていない。
ある戦闘における自分の行動が原因でナデシコが大破したことと、戦線離脱していた間のルリによる的確な指揮を目の当たりにしたことで自信を喪失、艦長の座を降りることになるが…。
アニメ版では終盤にIFSを身に付けたが、本作ではそういった描写は見られない。
乗り物酔いがひどく、序盤ではそれを紛らわせるためにヘッドホンステレオで歌謡曲を聞く場面が多く見られた。
「ナデシコ」のネーミングは彼女によるものであるが、由来は初出撃の時に聴いていた小泉今日子の「ヤマトナデシコ七変化」。
ルリ・ホシノ(星野瑠璃)
ナデシコのオペレーター。ユリカが治療している間は艦長代理として振る舞い、後にナデシコ艦長の座を譲られることになる。その存在にはある大きな秘密が隠されている。
敵方の秘密を知る人物の一人でもあり、物語後半は専ら彼女を中心に物語が進行する。
アニメ版と異なり、アキトに想いを寄せているような描写は見られず、またIFSや遺伝子操作の設定もない。
ジュン・アオイ
ナデシコの副長。ほとんど出番がない(ルリが正式に艦長になってからは尚更)ため詳しくは不明であるが、IFSを身に付けていない。あと、ユリカから呼び捨てにされている。
カグヤ・オニキリマル
本作オリジナルキャラ。アキトやユリカとは古い知人であり、特にアキトに対しては盲目的と言ってもいいレベルで熱を上げている(ユリカよりは幾分理性的と言ったレベル)。自らの名前を冠した、同じナデシコ級戦艦「カグヤ」の艦長。
ガイ・ダイゴウジ(大郷寺凱)/ジロウ・ヤマダ
ナデシコのパイロット。アニメ版では3話であっさり暗殺されてしまったが、本作ではアキトを救うために病身を押して出撃し、物語の早い段階で戦死する。彼が使っていたエステバリスのヘッドパーツは、後にアキトのエグザバイトに移植されることになる。
リョーコ
ナデシコのパイロット。アニメ版と異なり、アキトに想いを寄せているような描写は見られない。
ヒカル
ナデシコのパイロット。エグザバイトが乗ってからは眼鏡を外している(電子変換の邪魔になるためと思われる)。
イズミ
ナデシコのパイロット。アニメ版と異なり、イズミ、ヒカル、リョーコの出番は本作ではあまり多くない。
メグミ・レイナード
ナデシコクルーの一人。本作でも声優なのかは不明。アニメ版と異なり、アキトに想いを寄せているような描写は見られない。
ハルカ・ミナト
ナデシコの操舵士。ナデシコが軍に編入される際に解雇されるが、その後成り行きで再度搭乗することになる。
アニメ版に比べてナデシコクルーとのつながりが薄いアキトにとっては数少ない理解者であり、形こそ違うがポジションはアニメ版のメグミに近い。
アニメ版と違って西洋名式で表記している本作において唯一表記が変わらない、つまり「ハルカ」が名前で「ミナト」が名字になっている。
ウリバタケ
ナデシコの整備班チーフ。
磁気フェイサー状態でエステバリスを出撃したアキトを咎めたり、病症の身であるガイが無理矢理出撃しようとした時には彼のエステバリスに重武装を施させたり、ガイのエステバリスの頭部を形見としてアキトのエグザバイトに装備させるなどの粋な計らいを見せる。
プロスペクター
ナデシコクルーの一人。途中ある事件が発生してからはナデシコに搭乗しておらず、最終戦闘において別のナデシコ級艦の乗員として援護に現れる。
ゴート・ホーリー
ナデシコクルーの一人。途中ある事件で負傷してからはナデシコに搭乗しておらず、最終戦闘において別のナデシコ級艦の乗員として援護に現れる。
イネス・フレサンジュ
スキャパレリ計画にて救助され、ナデシコに専属医として搭乗することになるが、その出自にはある秘密が隠されている。
ホウメイ・ゲレル
地球連合軍提督、月基地艦隊旗艦・オトタチバナ艦長。
最もアニメ版と設定が異なる人物で、立ち位置が変わった関係から本作にホウメイガールズは登場しない。
コウイチロウ・ミスマル
ユリカの父親にして、地球連合軍極東第三艦隊旗艦・スサノオ艦長。
98(キュッパチ)
本作オリジナルキャラ。ルリが作成した球形のサポートロボットであり、戦闘に不慣れなアキトをいい加減にサポートする。
後にカグヤの戦艦に同型機が配備されている場面が見られるが、そちらはほとんど発言しない関係もあり名前は不明である。
メカニック
- 戦艦
- ナデシコ:ナデシコ級1番艦。
- カグヤ:ナデシコ級0番艦。ナデシコのプロトモデル。
- 機動兵器
- エステバリス:連合軍に採用されている有人型機動兵器。プログラムの書き換えで、大気圏内外に対応可能。
- エグザバイト:ネルガル重工と明日香インダストリアルが共同開発した宙空間特化型機動兵器。
オマージュ
「ナデシコ=宇宙戦艦ヤマト」「Yユニット搭載のナデシコのフルネーム=ヤマトナデシコ」「キャプテン・ガバメント=宇宙海賊キャプテンハーロック」など、松本零士作品へのオマージュが散見される。
余談だが、ハーロックは当初宇宙戦艦ヤマト番組後半に登場予定だった。