「我はウォーダン……ウォーダン・ユミル!メイガスの剣なり!」
CV:小野健一
概要
ノイエDCに協力する謎の人物。スレードゲルミルを駆り、キョウスケら鋼龍戦隊(この当時はまだこの名称はなかったが)を襲う。
使い手が二人しかいない斬艦刀を操れること、独特の名乗り口上や剣撃戦闘の技術などから、当初はL5戦役以降消息不明になっていたゼンガー・ゾンボルト少佐が素性を隠して現れた姿、あるいは洗脳などで敵に回った状態だと考えられていた。
しかし、後にゼンガー本人がレーツェルと共にウォーダンの前に現れたことで、別人であることが判明した。
その正体はシャドウミラーに制作された人造人間Wシリーズの一人、W15(ダブリュー・ワン・ファイブ)。
同型としてW05(ギムノス・バシレウス)がいる。この2人は「向こう側」のゼンガー・ゾンボルトを元にしているため、顔だちも体形もゼンガーとうり二つである(ちなみに「向こう側」のゼンガーはアースクレイドル内乱後、行方不明となっているが、恐らくこの内乱で死亡したと思われる)。
Wシリーズはレモン・ブロウニングの個人的な計画である「人造人間に対する自由意思の確立の是非」の実験台としての側面が持たされており、W05とW15は「空っぽの器に他人の人格を移植する」ことで稼働するタイプ。
W05は搭載されていたネバーランドごとエンドレス・フロンティアに飛ばされていたためシャドウミラーの戦力とはならず、W15には「向こう側」のキョウスケことベーオウルフへの対抗策としてゼンガーの人格と技量がコピーされている。この結果生じたのがウォーダン・ユミルという人格である。
しかし、当初はあくまでもWシリーズ共通の任務を優先する機械的思考をベースにゼンガーの立ち振る舞いをテクスチャとして被せただけのものにすぎなかった。
出現当初の「機械的な立ち振る舞い」と「ゼンガーのような物腰」の混ざった物言いの理由はこれ。
さらに人間一人のパーソナリティを丸ごと移植するというのはさしものレモン・ブロウニングを以てしても困難であり、技術的限界から定期的にアースクレイドルの中枢コンピューター「メイガス・ゲボ」と接続し、データの調整を行わなければならないという欠点があった。
つまり、ウォーダンはあくまでも「ゼンガー・ゾンボルトのテクスチャを張り付けられた人形」でしかなく、メイガスによって調整を受けている都合上、決まったパターンの思考・行動しか取れないのである。
「メイガスの剣」を名乗っているのは、そのまま「メイガスを守る」ことを目的としてインプットされているからであり、ゼンガーに対抗意識を見せるのは、「ゼンガーを倒すことで真のメイガスの剣となれる」と吹き込まれているため。
このように、自己を形成する全ての要素が他人の借り物であり、事実上「ウォーダン・ユミル」という個人は存在しないも同然の状態であった。
しかし、ゼンガーとの対峙や鋼龍戦隊との激突を繰り返す内に、インプットされたコマンドを超えて「ゼンガーを打倒する」という意欲を覚えるようになる。
その意志は「己の手でゼンガーと互角の勝負をして倒す」という拘りに変化し、テスラ研奪還戦におけるヴィガジとの戦闘危機に陥ったゼンガーを守り、ダイゼンガーに参式斬艦刀を渡して援護するなど、敵味方の関係や利害を無視した「武人」としてのアイデンティティを確立し始めるに至った(これについてアクセルは苦言を呈したものの、「言ったからにはやってみせろ」と一任している)。
最終的にはノイエDC側への援軍としてアースクレイドルに配備され、ノイエDCおよびシャドウミラー討伐のため侵攻して来たクロガネ隊と対峙。
門番として立ちはだかったが、ダイゼンガーに押し退けられて突破を許し、自身はそのままゼンガーと激突を繰り広げる。
しかしこの時、ゼンガーは個人としてはソフィア・ネート博士を救出に来たのだと語られ、思わず自嘲の笑みを漏らす。
「やはり俺はお前の影……守るべきものも同じか」
ソフィアはこの時、クレイドル中枢コンピューターであるメイガス・ゲボとリンクしており、それによる戦力増強はそもそも手持ちの少ないシャドウミラーにとっては欠かせないものだった。
だからそれを守るのはシャドウミラーであるウォーダンにとっては当然の任務なのだが、一方でそれは、ゼンガーに依拠しないアイデンティティを求める「ウォーダン・ユミルという個人」にとっては、どこまで行っても自身がゼンガーのコピー、W15という人形の枠を抜け出せていないことを意味していた。
メイガスの門の上で死闘を繰り広げたが、最終的には相打ちに近い形で敗北。メイガスの門が破壊されたことで地下で激戦が続いていたアースクレイドルにダイゼンガーと共に転落。
乱入してきたイーグレット・フェフの命令で機能停止寸前のスレードゲルミルを修復・強化しようとするメイガスに対し、
「不要だ、メイガス……!」
「俺は……己の全てを懸けて……ゼンガーと戦い……敗れた……。もはや……悔いはない」
「せめて、朽ちる時は……W15ではなく……ウォーダン・ユミルとして……」
と拒絶。
ゼンガーをコピーした人形として形だけの勝利を得るのではなく、ウォーダン・ユミルという一人の人間として敗北を受け入れ、死んでいくことを選んだ。
直後、その意志にソフィアが反応し、機体の再生が停止。
フェフはソフィアを回収すべくメイガスに干渉しようとするが、ウォーダンはそれを許さずフェフの乗るベルゲルミルに組み付き妨害。
ウルズ「このくたばり損ないが! いい加減にパパを離せ!」
ウォーダン「離しはせん! 我はウォーダン・ユミル! 我こそはメイガスの剣! そして、メイガスを守る盾!」
ウルズのベルゲルミルの執拗な攻撃を受けるも全く動ぜず、ソフィア救出に向かうゼンガーが妨害に出たウルズを斬り捨てたのを見届けると、斬艦刀究極奥義「星薙の太刀」を叩き込んでフェフ率いる量産型ベルゲルミルを一掃。
「ゼンガー……貴様に……ソフィアを……託す……!!」
己が守って来たものを「もう一人の自分」に託し、崩壊するアースクレイドルに消え去った……。
キャラ造形
α外伝における「アンセスターに洗脳されたゼンガー」をリファインしたキャラクターであり、素顔はゼンガーと同じだが髪が紫色になっている。
関連イラスト
余談
「ウォーダン」「ユミル」はどちらも北欧神話の神「オーディン」の数ある別名である。