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京急600形の編集履歴

2020-05-30 09:10:16 バージョン

京急600形

けいきゅうろっぴゃくがた

京浜急行電鉄の車両。京急600形は1950年代に作られた初代と、京急初の高性能車両の700形を改番した二代目と1994年から1996年に作られた現行の三代目がある。

初代600形(後に400形に改番・編入)

1953年ごろに登場した3扉ロングシート車両。

2扉クロスだった500形の3扉ロングバージョン…といえば、現代の京急っ子に軽いデジャヴを呼び起こすかもしれない。

2両編成の吊り掛け駆動の車両。最初は木造の金属装甲だったが、徐々に鉄分が増えて1958年には中身も含めてフルメタルとなる。前面は湘南顔と呼ばれる巨大な左右の四角窓。

後に600形2代目の登場と前後して形式を440~490番台に改め、400形に編入することになる。

その後長きにおいて充実した普通車生活を送っていたが、冷房が無いという致命的問題のために、800形2代目の増備に追われて1986年に全車廃車となる。

本形式より塗装が「ベースが赤色+窓の下に細い白線」に置き換えられ、その後の京急標準塗装となる。


2代目(元々は700形初代)

快速特急!

1956年ごろに登場した2扉クロスシート車両。京浜急行電鉄初の高性能カルダン駆動電車(現代の大半の車両が採用している方式・モーターが台車側についている)。

105km/hで爆走していた吊り掛け駆動500形の駆動方式変更バージョン…といえば、現代の京急っ子に軽いデジャヴを呼び起こすかもしれない。

元々は2M0Tの2両編成であったが、後に改造されて4両固定編成となる。前面は500形・600形初代と同じく湘南顔で、後の800形初代(≒旧1000形)にも受け継がれる。

当初は700形初代として誕生したが、後に本形式に改番され、先述のとおり600形初代は400形に編入となった。

500形の流れを受け継ぎ、ハイキング特急などの優等列車の花形として、品川から浦賀までノンストップなどの過酷な運用をこなす。

本形式の流れを受け継いだ2000形の増備に追われる形で1986年、奇しくも600形初代と同じく、そして何故か500形よりも早く全車が運用を退く。

なお神武寺駅の近くにある公園に601号車が存置されており、ヤンキーの遊び場となっている。

ただし冷房増設改造済だったもの(605号、608号、613号、616号、609号、612号)はことでんに引き取られ、高松琴平電気鉄道1070形として運用されており、今も元気である。(ただし609/ことでん1075と612/ことでん1076の2車両は2011年に廃車)


3代目600形

京急600形

現役の600形。1994年に登場し、いろんな紆余曲折を経て88両が製造された。良くも悪くも現在の京急の顔を作り上げた形式といえる。

8両編成8本と4両編成6本で構成され、編成記号はそれぞれ「8F」「4F」で表される。

側面塗装には「ベースが赤色+窓周りがクリーム色」が採用された。

都営地下鉄一号線(浅草線)協定に基づき、非常用脱出扉を備えた片側3扉の18m8両で登場。4社局直通運転が可能となっている。

だがオールボックスシート構成でラッシュ時の都営地下鉄に突っ込んでいたというから無茶苦茶である。


1500形1700番台で培ったアルミ車体とVVVFインバータ制御を踏襲し、さらに快速特急の120km/h化を控えた新・京浜急行を象徴する意欲作であった。

  • 21世紀の電車は弁当箱じゃ駄目!といわんばかりに、徹底的に丸っこく仕上げた灰色のバルーンフェイス。
  • ラッシュ時には車掌のスイッチひとつで2人掛けボックスシートがバキバキと折り畳まれて1人掛けになり、ドア前スペースが増えるという魔法の「ツイングルシート」を搭載。
  • 車両間の連結面に大型のダンパーを設置。横揺れを制して乗り心地を向上。
  • 日中や休日は片側3扉の中央を締め切り、擬似2扉車両として運転。「このドアは開きません」の電光表示つき。
  • 旧1000形で実験した結果をもとに軸梁式台車を全面的に採用。足回りの軽量化は気にいらねえが、コストダウンと聞いちゃあ黙ってられねえ。
  • 608編成にトレインビジョンの一種「メディアルトラン」を実験的に装備。

だが結果的にそのほとんどがスベって追加工事・交換・そして撤去の憂き目にあっている。

  • 灰色のバルーンフェイスは遠くから目立たず危険なので、すぐにワイパーカバーが白に変更された。2010年には後輩達のデザインを逆輸入する形で「600」の打抜き文字が追加された。文字位置が若干内側に寄っており、そこはかとなくダサい。
  • ツイングルは文字通り折畳パイプ椅子並の座り心地であり、ハズレを掴んだ客の尻が遺憾なことに。しかも折りたたむためには一旦回送にして引き上げる必要があったため、引き上げる機会が極端に少ない都営地下鉄が拗ねて使用禁止にしてしまった。その結果ツイングルは実力を発揮することも無く、608編成以降は変則クロスシート+補助椅子に設計変更され、さらに2005年より順次ロングシートに改造されていった。
  • ダンパーは激しい騒音を出し、乗り心地云々以前にギーギーバコバコ言ってて怖いともっぱらの評判になったので撤去。車体更新のときに取り付け用のタブも削ぎ落とされて跡形もなくなった。
  • 中間扉締め切りは、着席定員が増えるでもなく、2ダァの雰囲気が味わえるでもなく、よくよく考えると、只々意味不明であった。ホームでの誤整列も続出した。何故付けた。
  • 軸梁式台車はそのリンクの機械的自由度が裏目にでて、異種混合連結時だけでなく、電動車と中間付随車との間にもブレーキ時に猛烈な前後衝動を誘発するようになり、以後二度と採用されなかった(他と違って撤去や交換ができない分、一番たちが悪いかもしれない)。
  • メディアルトランはドア上の実験を終え、2100形の天井設置タイプに受け継がれた(こちらもすでに撤去済)。一応成功?

そんなお茶目な本形式にも、オンリーワンの特技があった。それは、京成本線成田空港駅への乗り入れである。本形式は京成電鉄が使う「次駅停車予報装置」を標準装備しているため、京成車両と同じ運用が許されたのである。(※1)

成田空港行きがスカイアクセス線(成田スカイアクセス)経由となった現在も、一度は手放した多国語対応のトレインビジョンをしっかり再配備し、「赤い電車」は日本の看板としての重責を果たし続けている。

(※1) 後に新1000形(8VF仕様)も同機器を装備して同じ運用を始めたので、本形式のオンリーワン扱いはすでに終わっている。


新しい挑戦には常にリスクと失敗が付きまとう。失敗の多くは放置されること無く、追加工事・交換・そして撤去によって、600形はより洗練された形となる。本形式の最終評価が如何なるものであるかは、その新機軸の多くが後継車両2100形新1000形に受け継がれていることからも明らかであろう。

600形自身も、本線快特・ラッシュ用長大編成・他社局乗り入れ・成田空港アクセス・高機動普通車・そして横浜方面の南エアポート急行として全編成が一日中フル活用されており、何でもこなせる人気形式の一つである。

だからかつて夕ラッシュ時に12両オールクロスの快特が来た・653編成のシートがガムテープで補修されていた・発車停車時にT車が前後にガクンガクンして怖い・液晶2枚あったはずなのにいつの間にか減ってね?等、ネガティブな思いをした方々も、どうか水に流してやってほしい。


余談

  • 606編成は"Blue Sky Train"と称して青い。通称ブルスカ。ワイパーカバーは白いままだが、側面は窓回りも含めて青一色なので注意。広告用車両なので大抵はラッピングされている。
  • 2015年1月より、前面の種別行先表示が幕式からフルカラーLEDに交換された。先のワイパーカバーの「600」追加やスカートの小型化とも相まって、ますます1000形に近づいてきている。

  • 8両編成(8F)
号車ワイパーカバートレインビジョンシート形状動力車比率その他
601-1~601-8鉄灰色→白色→600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
602-1~602-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
603-1~603-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
604-1~604-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
605-1~605-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
606-1~606-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2Tブルスカ
607-1~607-8鉄灰色→白色→****600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚ツイングル→ロング6M2T
608-1~608-8白色→600打抜メディアルトラン⇒LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚補助席付ボックス→ロング4M4T異端車

  • 4両編成(4F)
号車ワイパーカバートレインビジョンシート形状動力車比率その他
651-1~651-4白色→600打抜なし→LED1行⇒液晶モニタ2枚→1枚補助席付ボックス→ロング2M2T
652-1~652-4白色→600打抜なし→液晶モニタ2枚→1枚補助席付ボックス→ロング2M2T
653-1~653-4白色→600打抜なし→液晶モニタ1枚補助席付ボックス→ロング2M2T
654-1~654-4白色→600打抜なし→液晶モニタ1枚補助席付ボックス→ロング2M2T
655-1~655-4白色→600打抜なし→液晶モニタ1枚補助席付ボックス→ロング2M2T
656-1~656-4白色→600打抜なし→液晶モニタ2枚→1枚補助席付ボックス→ロング2M2T

関連タグ

京浜急行電鉄 京急 600形


  • 名鉄6000系(名古屋鉄道):京急600形のクロスシートによる快適通勤は、奇しくも名鉄6000系と近似のコンセプトで設計されたが、前者はクロスシートが大きく、後者は小さく(末期は大型化)どちらも失敗に終わっている事から、快適通勤の理想と現実の違いを痛感させられる。
  • L/Cカー(近畿日本鉄道):クロスシート車ながら、ロングシートモードにすることで使い分け・両立を成功させた例。「デュアルシート」の記事も参照。
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