本記事はエルデンリングDLC最終盤のネタバレを含みます。
影に封じられた塔の封印の木を焼き、神に届かんとする白き螺旋の塔を上り、ミケラを信奉する同志たちを降し、王たらんとする褪せ人はついに神の門に足を踏み入れる。
そこで待っていたのは――
貴方たちの戦いは、ずっと謳われる
そして約束は果たされ、強き魂が帰ってくる
私の王となるために
甦ったかつての星砕きの英雄その人であった。
概要
ミケラの足取りを追う影の地での冒険。それを締めくくる最後の敵。
持ち去られたモーグの遺体を依代とし、ミケラの手によって復活したラダーンその人。
狭間の地で褪せ人が戦ったラダーンと比べ身体が一回り小さく、鎧は真新しさを感じさせる美しい金色に輝き、兜の鬣状の装飾やマントは鮮やかな赤色、振るう二振りの大剣には星砕きの紋章が刻まれていないなど、本編よりも若い状態で復活した事が窺える。また、モーグを依り代としてラダーンを転生させているため、肘には数本の角が生えている。
自らの律を敷き新たなる神となる事を目論むミケラの約束の王として、褪せ人の前に立ちはだかる。
強さ
デミゴッド最強の一人と謳われた将軍ラダーン、その最盛期の強さは…
…フロム史上最強のボスと言っても決して過言ではないだろう
第一形態
ストーリートレーラーなどで見られる生前のラダーン将軍と同じ姿であり、重力魔術を絡めた攻撃が多い。
更に依代となったモーグの力か、血炎の斬撃も使用する。
生前の愛馬が居なく2本の脚で立っており、弓矢も持っていないため、一見機動力と攻撃の射程が制限されていると思うが大きな間違い。むしろ愛馬に対して気遣う必要がないため、赤獅子軍の戦技、猛獅子斬りを繰り出し、重力魔法を駆使して時には宙を舞いながら岩石弾を放ち、また時には瞬間移動のように間合いを詰め、たまに巨体(体重)を活かした蹴りを繰り出し、斥力波で強引にこちらを吹き飛ばし、引力波でこちらを引き寄せた後全方位に岩の刃を放つ等非常に厄介。反してプレイヤーはラダーン祭りの時みたいにトレントに乗れないため、むしろ不利な状況。
開幕には高確率で重力回転突進を行う為、遺灰を使おうとして叩き潰された褪せ人は数知れず。
NPCのイベントをクリアしていればアンスバッハとティエリエが召喚可能。
第二形態
⋯兄様
やっと、還ってきてくれたのですね
⋯褪せ人よ 旧律の王たる者よ
貴方が罪を知り、世界を憂うのなら
我らに道を譲り給え
ミケラと 我が約束の王、ラダーンに
ミケラの王、ラダーン
HP65%以下の第二形態では神として帰還したミケラがラダーンの背に抱かれ、共に戦闘となる。
全ての剣戟に聖属性の光柱が加わり攻撃範囲が増加され、一部の攻撃で分身を伴いながら連続で斬撃を放つようになる。戦技の霧の猛禽以外では回避不可能な超広範囲の光の柱を発生させる祈祷「ミケラの光」、全方位への光輪、第一形態時に繰り出してきた岩石弾や岩の刃の後空中からの分身5連打、HP50%以下で解禁される大技、凄まじい踏み込みで距離を詰め、双剣の連撃を繰り出す戦技「約束の王」、HP30%以下で使用する即死級の威力を持つ超大技、飛び上がり彗星となって突進する戦技「光速斬」(通常のラダーンが使ってきた彗星に挙動は似ているが落下速度は比較にならず、数体の分身も共に突進してくるため範囲も遥かに増している)など苛烈極まりない技が追加、及び強化されている。
掴み攻撃の際、抱擁するミケラが褪せ人に囁きかける。
私は、誓います
優しき理、千年の旅を
旧律の王よ 共に行きましょう
HEART STOLEN
2回目を受けると台詞が変化し、主人公はミケラに心を盗まれゲームオーバーとなる。
この負け方をするとジェスチャー「貴方と共に」を入手する事になる。
尤も倒した場合でも手に入る為、無理して受ける必要は無い。
1回目を食らった段階でミケラの大ルーンを使用すれば魅了を打ち消す事が出来る。
奇しくもこのポーズはモーグの登場シーンで行っていたものであり、彼もまたミケラに心を奪われていた事が窺える。
膨大な体力を削りきり、死闘を征すると、特殊テロップ「GOD SLAIN」と共に「神と王の追憶」を入手する。
「神と王の追憶」を指読みすることにより、彼の振るった双大剣「ラダーンの大剣(王)」か「ラダーンの大剣(光)」か神として帰還したミケラの祈祷「ミケラの光」を得られる。
ラダーンの大剣(王)は戦技で光柱を伴う双大剣の連撃「約束の王」を、ラダーンの大剣(光)は戦技で跳躍から光の追撃と共に光速で斬り下ろす「光速斬」をそれぞれ放つことが出来る。ミケラの光は全祈祷の中でも最高の要求ステータス、信仰72が必要となるが広範囲、超長射程に加えて威力も高く奇襲性と一撃必殺に長けた祈祷である。
余談
ミケラはラダーンの背に抱きついた際に四本腕となるが、奇しくもこれは魔女ラニと同じ特徴である。また、ラニもミケラと同様に褪せ人を瞬時に無力化する力を持っている。
ラニの場合とは違い、ミケラのそれは即死ではなく「魅了」で褪せ人も生きてはいる。
むしろ即死とほぼ同義である永眠の力を持っているのはトリーナの方である。
トリーナの力が属性上では「魔力」の類に分類されていること、ラニとの初邂逅の際に、周りは薄い霧のような靄に包まれ、カーレが眠らされていたり、両者共に黄金律から「穢れ」とされる者たち、特にしろがね人や死に生きる者たちに対し寛容であること
(トリーナは「穢れた死肉の成れの果て」とされる泥濘に安眠を与え、狭間の地でもトリーナのスイレンが死に生きる者たちの棲む廃墟などにはほぼ必ず咲いているし、しろがね村周辺にも大量に生えている
ラニの場合は特別視こそしていない様子ではあるものの、しろがね人たちの第一世代を城館内、第二世代を裏手の墓地に住まわせている、その上彼女はそもそも物語開始時点の狭間の地での死に生きる者たちの大半が誕生するきっかけを作った張本人であり、昏き者たちの時代を目指す褪せ人には依頼達成の報酬という名目で彼らの救いとなる死の呪痕を譲渡する
その点においてはミケラもまた角人たちが縋る救い手であるため、母マリカの罪をその子供たちが何とかしようとしているところは共通している)
などから、両者の間になんらかの積極的な(恐らく「死」を通じての)繋がりがあるということだけは明らかである。
また、掴み攻撃を大ルーンで打ち消した後に3回目も食らうと専用ボイスが聞ける。
- ミケラに抱きつかれたラダーンの後ろ姿は金色のマントを羽織っているように見えるが、代わりに本来のマントそのものが消滅してしまった。
ミケラは右手を上に、左手を下に構えており、仏教の開祖・仏陀が生まれた後すぐに取った「右手を天に、左手を地に。」の【天上天下唯我独尊】のポーズがモチーフになっていると思われる。
日陰城でも、全く同じポーズを取っている石像が至る所に見られることから、恐らく「新律の神の誕生」の象徴として、狭間の地にも古くから存在している身体言語を、ミケラが自らの心境や状態を表現するのに使用したのであろう。
(ラニが星の世紀の神となった際にこの姿勢を取らなかったのは、神の門による儀式とそれ以外の方法とでは、生まれた神の系統や種類などの性質にも変化が生じる可能性があることを示唆しているのか、狭間の地を律すること無く、特別な民を擁すること無く、全てを裏切り、棄てようとしている自分は、「この世で最も尊い者」としての神などではないと考えている故か、いずれにせよ、全てに尊ばれることによって全てを抱こうとしたミケラとは、ここでも対照的な構図を成している。)
- 左手の構えはラダーンの巨体に隠れてなかなか見えないため、はたから見ればミケラがガッツポーズを取っているように見える。
このラダーンの有り様には色々と不自然で疑問を感じさせる部分があり、それらについては諸説ある。いくつか例を挙げると
- 戦闘開始前の時点で、ラダーンは神の門の前に居た。なのにも関わらず、その門に背を向け、褪せ人を待っているかのようであった。永い間彼を待ち続けていたはずのミケラも「強き魂が帰ってくる」と言い、まるでその帰還が“これからのこと”で、彼がまだそこに居ないかのように振る舞い出迎えることはなかった。ラダーンが褪せ人との戦いによろめき膝をつくまで傷ついてようやく「やっと、還ってきてくれたのですね」とその存在に反応を示すといった、二人のあまりに奇妙で不可解な言動
- 王の魂が依り代に降ろされた後、魂が肉体に馴染むまでには一定の時間または激しい活動といった条件が必要であることを示している可能性がある
- あの時点でもミケラは未だラダーンの魂に干渉している最中であり、そういった意味で彼の約束の王はまだ完全に還ってきてくれてはいないことを示している可能性も考えられる
- 戦闘開始前のムービーでラダーンは重力魔法を使って地に刺さった双剣を抜き、顔の前で火花を散らしながら交差させ振り抜いて吼えるがストーリートレーラーでマレニアと相対した時に行っていた行動と同一である。あの時、誉れ高き武人であるラダーンはマレニアが義手を装着し、戦う準備を済ますまで自らの剣も大地に深く刺しこみ待ち続けていたのだ。であればこの場合も同じように、誇りある武人ラダーンは、王たる運命を賭けて正々堂々に一騎打ちを挑むため、褪せ人を待っていたと見るのが分かりやすいだろう。思えばそれは、彼が幼き日に見た、戦王の戦い様そのものではないか。そのこだわりはいうなれば、優しさだけではない、彼の武人としての原点であり、尊厳でもあったろう。
- しかしミケラは、それさえも、その、彼にたった一つ残された尊厳さえも許さなかった。ラダーンは、ミケラがもう少しの間、自分を待っていてくれるのは、自身の武人たる尊厳を、尊重してくれているからなのだと信じていたのだろう…しかしミケラにとってそれは、あくまでも若きラダーンの、たった一つの「王としての瑕疵」に気づき、しかし彼が隙を見せてくれず、漂白すべきその熱き戦意も中々に漏出してくれないので、機会をうかがっていたからに過ぎない。戦いは、優しくはないから
- あるいはラダーンの、腐敗に壊され、または不快な霧に覆われ、若しくは眩すぎる光に隠された、遠き記憶の欠片が、慟哭していたのかもしれない。決して世に放つべきでない絶望的な恐怖、その王になり世を光に沈めるくらいなら、たった一人で戦い、再びかの勇者の手で、せめて戦士としての死を…そして神などではない、人のための王が、玉座へと進めと
- 第二段階に入る際のラダーンの身体からは赤いオーラが溢れ出していたが、ミケラが神の門から帰還したと同時に漂白され色を喪った
- 単純にラダーンがミケラの力を受け取って強化されただけと見ることが出来る(それにしてはラダーン本人のオーラが変色しただけで大きくはなっていなかったし、地面から岩片が浮き上がりラダーンの重力がより強く解放されようとしたかのような描写もあったのに、いざミケラが抱きつき第二段階が始まったら、地形は変わらず、宙に浮かんだ岩石片は跡型も無く消え去り、ラダーン自身の行動に大きな変化はなく、重力魔法の種類が増えることもなかった、ミケラの目に痛すぎる光を除いてはまるで何も起こらなかったかのように何も変わらなかったのは、あまり理にかなっていない気もするが…全く荒唐無稽という訳ではない)
- ラダーンの戦士としての滾り、沸き立つ戦意の熱をミケラが本人の意思を無視して押さえ込み、あるいは忘却させたと取れる
- マレニアからミケラが待っていると告げられてもなお、朱い腐敗に抗い死を遅らせ、ミケラを拒絶したようにも思えたラダーンが、なぜか影の地ではミケラの元にいた。この描写の謎には特に多種多様な解釈が見いだせる
- 難しいことや細かい描写を何も考えなければ、単純に全てを失ったラダーンにはミケラの元に向かうのに躊躇いが無くなっただけのこと、というふうに見ることができる。
- 赤/青羽の七支刃の説明文「死に近付くは高揚である それでこそ、懸命に生に縋り付き 捧げるべき死が産まれる/後の死はより輝かしい」から、儀式の一部と捉えることができる
- 約束の王ラダーンが「若獅子」となっていたことと、ミケラの魅了が同志達に対しどのように作用していたかを併せて考えた場合、ラダーンの魂が「人の心の漂白」の影響下にあり、その力が性質上自発性と記憶を代償に、精神活動を単純化させることによって強い感情の波動を鎮め、「不自然に穏やかな子供時代」を人為的に誘発する、(個性の損なわれる程度がやや控えめで失敗のリスクと副次的な危害が殆ど見られない、効果がより強烈に顕著であるといった差異はあれど)ロボトミー手術のようなものであることから、「若獅子」とは、ラダーンのかつて交わした約束より他の思い、歓び、哀しみ、怒り、苦悩、純粋で恐れを知らない魂に刻まれた「穢れ」、その全てを浄化された結果の表れであるとも取れる。
- 朱い腐敗が記憶を壊すといった描写から、腐敗の進行があまりに深刻過ぎたラダーンは、その臨終の際すでに記憶の殆どを亡くしていたとも解釈できる。
- ラダーンの愛馬レナード(Leonard)がいない
- ミケラがラダーンの痩せ馬への未練を感じ取りその記憶を抹消したと考えられる
- そもそも黄金樹に構築される肉体を持ち、黄金律に強制的に生かされているデミゴッドたちのような特殊例と馬たちのようなまともな自然生物とでは死後のことが色々と異なる可能性が大きい。
- 王の魂には依り代が求められ、とあるように、神に求められているか否か、王であるか否か、そして依り代次第で魂の性質や行き着く先が変わっていても不思議ではない。モーグの遺体が無かったらラダーンもまたそこにはいなかったはずであり、仮にレナードの魂がラダーンと同じ場所に辿り着いて、依り代でどうにかして復活させられるといった条件が同じでも、ミケラにとっては王の愛を分散させる要素に成り得る彼の分の依り代を用意する理由はないので、将軍と痩せ馬の再会は、いずれにせよ叶わなかったのだろう…
- そしてレナードの名が「勇敢な獅子」の意を持つことを思えば、真実がなんであれ、如何に健やかな姿形を取り戻したとて、彼を失ったラダーンはもはやかつての、本当の自分には還れない…
その他にも物語られる情報から演出の描写、顕著なものから細かなものまで違和感は節々にあり、解釈は自由である
関連イラスト
関連タグ
葦名一心:フロム作品において一度死亡するも、血縁者の手で若き日の姿で復活した繋がり。
双王子:フロム作品において血縁者の二人羽織繋がり。
かつてミケラは脆弱な自身と違い、守るべき者のために戦う強さと優しさを持ち、「星砕き」の偉業を成し遂げたラダーンに憧れを抱き、そして【王】の姿を見た。
しかし黄金律原理主義のラダーンに自身の『優しい世界』に賛同してもらえるはずもなく、また「魅了」の力もラダーンの強い意志には通用しなかった。
「陰謀の夜」の噂を聞き、そして「転生の秘術」を知ったミケラは、破砕戦争の混乱に乗じて計画を実行する。
2:50
ケイリッドでのラダーンとマレニアの一騎討ちにて、マレニアは「朱きエオニア」を発動する時、ラダーンの耳元で囁いた。
「──ミケラが待っている。約束の王を」
死闘を制した後、戦場に残された光、ミケラの思い出に触れる事により知力、信仰、神秘を僅かに高めミケラの光の威力も高める頭防具『光の冠』を入手できる。
兄様 私は必ず、神になります
ですから、私たちが約束を守れたら
私の王になってください
…世界を、優しくしたいのです