概要
本作の舞台となる四方を霧の海に囲まれた「狭間の地」から「瞳から光を失った(瞳が褪せた)」という理由で追放されるも、破砕戦争の後に再び狭間の地に呼び戻されてしまった追放者たちの子孫である。英名は「The tarnished」。
基本的には従来のシリーズに登場した、特にダークソウルの「不死」に近い存在であり、狭間の地に根付き、そして狂ってしまった「黄金律」を治すという、ダークソウルにおける「火継ぎの儀式」に似た「目的」を「大いなる意志」によって与えられている。
祝福に目覚めるということは「呪い」にも近いことと見做されており、望まずしてそれ迄の居場所から追い出された者たちも多く、そのためか褪せ人は皆何かしら「影」を持っている者たちが多い。
また全ての褪せ人では無いものの、一度外界で死を迎えた後、祝福が齎されたことで復活を遂げたという点にも不死人との間に共通点が見出される。
褪せ人たちが最初に狭間の地を訪れた黎明期においては、彼らの多くは「目的」を成し遂げるために狭間の地各地で活発に活動していたとされ、その傍らには「大いなる意志」の意図を彼らに伝える「指読みの巫女」がいたという。
しかし現在では様々な要因が重なったことで、その勢いも翳りどころか燃え尽きつつある。
実際狭間の地で出会える褪せ人たちの殆どは一度齎された祝福が、また見えなくなっており、それ故多くの者は自分達のあり方その物に疑問を抱いてしまっている。
黄金律修復を諦めるのならばまだ良い方で、中には黄金律、ひいては大いなる意志への不信感から叛逆を試みたり、あるいはあるデミゴッドの築く新たなる王朝での栄華を夢見て、日夜同胞狩りを繰り返す血狂いと化す者もいる始末。
そんな閉塞と退廃に包まれつつも、祝福に目覚める褪せ人自体は絶えてはいないようで、今でも霧の海の向こうから幾人かがやってくる。
プレイヤーの分身である主人公もその一人として狭間の地に足を踏み入れることになるのだ。
主人公
祝福に目覚めた(おそらく)最も新しい褪せ人。
素性や生い立ちに関しては前作の固定化された主人公がいたSEKIROとは異なり、これまでのダークソウルやブラッドボーン同様プレイヤー側がその彩りを決め、彼/彼女の行動を決める事が出来る。
ただこれまでの主人公たちとは異なる点が幾つか存在する。
特に特筆すべきはその手先の器用さであり、狭間の地の各地に落ちていたり、或いは商人から購入する事が出来る「製法書」の内容を見ただけで、素材さえあればすぐさま黄金樹への旅に役立つ様々なアイテムを作成してしまう。
裁縫道具を手に入れれば、自分の装備に手を入れて、マントを取り外して身軽にしたり、或いはより優美かつ重厚な装飾を施したりと、ある程度の工夫と美意識への意欲も持っている様である。
またそれまでの不死や狩人たちとは異なり、しっかり距離を持ったジャンプが出来たり、しゃがみながら歩く器用さやある程度の高所から落ちても死なないなどバイタリティも高め。(無論水に一歩足を踏み入れれば即溺死するが)
これまでの無骨かつ乾いた合理主義を纏っている何処か男性的な主人公の多かったソウルシリーズの中では一風変わった、女性的な側面がさりげなく押し出されている珍しい人物でもある。
関係する用語
円卓
いわゆるダークソウルの火継ぎの祭祀場にあたる場所であり、多くの褪せ人が集った拠点。
「不戦の誓い」という誓約が支配しており、一切の刃傷沙汰は御法度となっている。互いに敵対関係にあったとしても、この円卓においては身の安全が、一応約束されている。
場所の性格的に、特にダークソウル3の祭祀場と似ており、使命のために死ぬ事が出来ず、この場所に縛り付けられている鍛冶師や主人公を導く巫女(こちらは老婆である)が居たりと、セルフオマージュされた点が散見される。
ただ彼方とは異なり、此方は褪せ人たちの変容によって訪れる者すら稀になっており、現代では完全に寂れてしまっている。
しかし不戦の誓いや何処からも隔絶した環境故に、狭間の地では最も安全な場所であることは変わりはないため、一時の避難所としてこの地にやって来る褪せ人も存在する。
だが、それだけでは真の意味で円卓に入ったと見做されず、その為には今でも狭間の地で蠢動するデミゴッドたちが持つ大ルーンの一つを取って来なくてはならない。
それが為された暁には、円卓の最奥にいる「大いなる意志」の代弁者たる「二本指」と会い見える資格を得る事が出来、ここから本格的にエルデンリングを修復する旅が始まることになる。
血の指
所謂従来のシリーズで言う「闇霊」に近い存在。但し本作ではこれにあたる存在は大まかに分けて二つ存在している。
血の指を所持する者たちは、狭間の地の各地に現れては「伝道」と称して、無差別に襲いかかってくる血の君主モーグの眷属たちである。
彼が予見する新たなる王朝の担い手として貴族の地位を賜った者たちを中心に構成されており、その多くは嘗て褪せ人であったという。
ただ中には貴族たちとは異なる意図を持って参加している者もおり、その点複雑な背景を持つ彼らを一応組織として纏めているモーグの才覚は中々の物であるようだ。
実の所主人公であるプレイヤーが、最初に自分の意志で結ぶ事が出来る可能性の高い誓約であり、その導き手は狭間の地に足を踏み入れた、その最初の祝福の前で待ち構えている手の込みようである。
背律者
背律の指を所持する者たちは、血の指とは方向性が異なり、エルデンリングのみならず黄金律そのものに対して反逆を志す思想集団である。
彼らは自らを背律者と呼び、同じく志を共にするデミゴッド、法務官ライカードの居城である火山館に集い、日夜狭間の地の各地で同胞たちを狩っている。
彼らの言葉を借りるのならば、力を奪い、我が物にするのが彼らのスタンスである。
黄金樹へと至り、エルデの王となる。聞こえは良いが、それは大いなる意志によって仕組まれた漁りあいであると彼らは見なしている。
故に叛逆しなくてはならない。そのための力であり、狩りであると彼らは考える。
そしていつか神をも喰らうために。