この記事にはエルデンリングのストーリー終盤に関わるネタバレが含まれています。
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという
―祈祷「エルデの流星」のテキストより抜粋
黄金樹の内部、石舞台での激闘の末、黄金律ラダゴンを下した褪せ人。
しかし、安息もつかの間、ラダゴンの身体の下から湧き上がった黒い穴から巨大な異形の腕が現れ、ラダゴンの身体を地面の下へ沈めてしまう。
もはや黒い湖と化した地面から黄金の剣と共に姿を現した”それ”は、音なき咆哮と共に宇宙色の光をまき散らし、黄金樹の中であったはずの風景を湖の異空へと変え…
概要
黄金樹の石舞台で黄金律ラダゴンを倒すとその姿を現す存在。つまるところエルデンリングの真のラスボスである。
のっぺらぼうの巨人か、頭のないドラゴン、もしくは手の生えたウミウシなどとも称せる造形をしている。
その体色はまるで宇宙そのものが閉じ込められているかのようで、背中には筋の通った無数の羽らしきものが生え、右手にはかつての黄金律ラダゴンである「神の遺剣」を携えている。
体内の頭から尻尾にかけて、羽、両腕には神経や血管、はたまた葉脈とも見受けられる黄金の筋のようなものが通っている。
また、手の部分では筋が5本に分かれ、胴体では複雑な根のように全体に張り巡らされており、内骨格のように見えなくもない。
首は長く伸びているが、その先端に頭はなく、筋の先にひとつの輝く光点があるのみである。
尻尾の先は黄金色で枝分かれしており、黄金樹を思わせる形状をしている。また、湖の下に隠れて見えにくいが、後ろ脚も存在している。
また、攻撃を受けても体液らしきものを流さず、斬りつけた音もまるでガラスか結晶を斬っているかのような音である…など、狭間の地に住まう生物とは様々な意味でかけ離れている。
戦闘
上述した通り、黄金樹の石舞台で黄金律ラダゴンを倒すとムービーの後に戦闘になる。仕様の関係上、黄金律ラダゴンとは連戦になる。
エルデの獣に関する前情報はほとんどと言って無く、やっとのところでラダゴンを倒した褪せ人は皆この存在に驚いたであろう。
ラダゴン戦の殺風景な石舞台とは違い、一面に遮るものが何もない、周辺に黄金樹の幹に似た黄金の柱が大量に浮かび、黄昏の光が照らす地平線まで続く湖の上で戦うことになる。
戦闘では右手に持った神の遺剣を振り回すだけでなく、湖の上を移動した後に振り向いて速度を込めた一撃を振りぬく、剣の力を解放し四連続で黄金の光波を放つ、黄金の光と共に前方の広範囲を薙ぎ払う戦技「黄金波」、湖に突き立てて黄金の爆発を発生させるなど多彩な剣技を使う。
その他、黄金の火炎を吹き付ける、暗黒の落とし子の扱うような星雲を発生させ爆発させる技や、背中から降り注ぐ大量の光線を放つ技、黄金の光と共にプレイヤーを掴み、かつてのマリカのようにルーンの孤に磔にした上で大量の光線に串刺しにして爆破するなど、超常の力も行使する。
また、体力を一定の割合に減らすごとに、一度ずつ非常に強力な技を使用するルーチンを持つ。
体力を少し減らすと飛翔と共に空中に黄金の輪を展開、プレイヤーの周囲から黄金の輪を収束させ、巨大な爆発を発生させる。
収束する輪にダメージはないが、ぶつかると中心に引き寄せられて爆発に巻き込まれるため、タイミングよくローリングかジャンプで輪を跳び越えなければならない。
なお、瀕死に追い込むとエルデンリングのように三つ重なった黄金の輪を展開し、収束する輪を3つ連続で発生させて爆発させる強化技も使用する。
また、体力を半分にまで削ると剣から黄金のエネルギーを取り出し、プレイヤーに向かって誘導しつつ、大量の子弾を伴いながら長時間飛び続ける弾を放つ祈祷「エルデの流星」を切り札として使う。
エルデの流星が追従している間もエルデの獣自身は自由に動き続けられるため、流星に気を取られて注意を怠ってはならない。
剣を除いた攻撃のほとんどは聖属性のダメージのため、盾や防具、タリスマンや祈祷などでできるだけ聖属性への対策を高めてから臨むのがよい。
状態異常は全て無効、物理攻撃全般がよく効く。
そして、膨大な体力を削りきると、エルデの獣は湖に倒れ伏して霧散し、最初にして最後の特殊テロップ「GOD SLAIN」と共に「エルデの追憶」を入手、元の石舞台へと帰還する。
大ルーンを求めるためにデミゴッドたちを狩ってきた主人公だが、最期にはついに真の神殺しすらやってのけたのである。
また、「エルデの追憶」を指読みすることにより、ラダゴンの振るった槌『マリカの槌』か獣が得物としたラダゴンの亡骸を変えた剣「神の遺剣」を得られる。両方とも信仰戦士向けの武器。
槌は戦技でラダゴンの英雄的殴打「黄金砕き」を、神の遺剣は戦技で獣の繰り出した『黄金波』をそれぞれ放つことが出来る。
王となれ
エルデの王となる旅の末、大ルーンとともに壊れかけのマリカの前に立つ主人公。
壊れかけのエルデンリングを掲げエルデの王になるか、理想とする世界の為に褪せ人達が見出したそれぞれの修復ルーンを使い王として新たな時代を築くか、魔女の伴侶、ただ一人の王として暗きに行く路、冷たい夜空に旅立つか、混沌の炎の王となり全てを隔てる境を焼き溶かし、大きなひとつに戻すか。
主人公がどのような選択を選ぶかは、プレイヤーであるあなた自身の今までの行動と意思に委ねられる。
永遠に死ぬことのないはずの
神の遺体から生まれる剣
人々はそれに様々な意味を見出す
大いなる罪、破滅、時代の終わり
あるいは始まりを
―大剣「神の遺剣」のテキストより
戦利品、関連アイテム
エルデの流星
彼の評価を一時地に貶めた原因でもある技、追憶での交換ではなくフィールドにて入手可能
自動追尾する子弾と大弾の2つが攻撃し爆発する獣と同様の仕様
ボス戦では使い勝手は芳しくないが、対人では召喚時に使うなど有用な祈祷
マリカの槌
OPやラダゴン戦でおなじみのマリカがエルデンリングを砕いた際に使用したハンマー、追憶で交換可能
筋バサ用の使いやすい一振りである。
戦技は「黄金砕き」
ラダゴンと同様、浮遊した後にハンマーを地面に叩きつけ広範囲を攻撃する。
余談だが、戦技のフレーバーテキストには「ラダゴンの英雄的殴打」という普段使うことのないであろうパワーワードがある
恐らくだがこれは「英雄(Au)」的「殴打(Order)」とのダブルミーニングであり、Auは元素記号で金、Orderは英語で律を表す
つまるところ「黄金律」と掛けたフロムの壮大な言葉遊びだと思われる
神の遺剣
エルデの獣が所持していた剣、追憶で交換可能。マリカの槌とは異なりこちらは技量信仰(ギンバサ)ビルド用の一振り、何気に筋力の要求値が大剣の中でもかなり低い
武器単体で見れば単なる信仰ビルド用の武器だが、この武器の特筆すべきは戦技「黄金波」
獣も使っていたような光波を広範囲に出す技であり、地面に接している敵にダメージを与える。
しかしその範囲がめちゃくちゃ広く、場合によっては地形を覆うレベル
回避系の行動をしない敵モブはこれに対する対処法がないため食らってしまう。
レベル上げにも有効でありモーグウィン王朝のしろがね人狩りによく利用されることから、しろがね人への敵意も込めて「劣等種殲滅波」とも呼ばれる。
余談
正体について
エルデの獣について言及しているテキストはほとんど存在せず、故に作中でもトップシークレット、最も謎に包まれた存在であると言えよう。
数少ない存在として深き根の底で入手できる祈祷「エルデの流星」があるが、このテキストではあくまで「獣」の存在を軽く示唆しているに過ぎない。
他にはエルデの獣を倒して得られるエルデの追憶ぐらいである。
また、百耳の男が撃破後の断末魔代わりに言っていた「人は、神を殺せぬのだ…」という台詞から、彼がエルデの獣について何かしらの知見を得ていた可能性は否定できない。
しかし、作中で神とは一般にマリカ(=ラダゴン)のことを指すという解釈も存在するため、彼が本当に真実に辿り着いていたかどうかについては疑問が残る。
エルデの害獣?
神秘的な背景な中で神のごとき存在と戦うという、シチュエーション自体はボスであるのだが、その一方でプレイヤーたちからの評判はこの上なく悪い。
以下にその理由を大まかに述べる。
- 黄金律ラダゴンと連戦であること
上述の通り、黄金律ラダゴンを倒すとエルデの獣が現れる二連戦方式であるのだが、黄金律ラダゴン自体が純粋に強く、またガードしたとしても削りダメージを食らう攻撃が多いため、前哨戦の黄金律ラダゴンを乗り越える上で聖杯瓶を消耗しやすい。
しかもラダゴンとエルデの獣は攻撃パターンが全く違うため、片方に特化したビルドや武器を使うともう片方で不利になる、ということが起きやすい。
さらに、エルデの獣は今までのボスには無かったようなモーションを多用し、フルヒットするとほぼ即死の降り注ぐ光線、純粋に避け方が分かりにくいリング収束攻撃やエルデの流星など初見殺しに特化したかのようなボスである。
にも拘わらず、一度死亡すればまた黄金律ラダゴンからやり直しになる。集中力が落ちていけばラダゴンにすら負けることもあるわけで、イライラを募らせ…もとい心を折られるプレイヤーは多い。
- 戦闘中に距離を取る行動が多いこと
攻撃と攻撃の合間に湖を泳いでプレイヤーと距離を取る行動を行うのだが、その離れる距離が尋常ではなく長く、しかも使用頻度が結構高い。
逃げてばかりのエルデの獣を追うために攻撃を避けながら走る時間が戦闘の大半を占めるため、つまらないボスと認識されやすい。直前の黄金律ラダゴンがインファイトで殴り合いができるボスなので猶更である。
もっとも、エルデの獣の攻撃はプレイヤーと距離が離れている前提のものが多いため、仕方ない部分はあるのだが…
獣の攻撃後に辿り着いて攻撃を当てる間もなくひたすら逃げられる時もあれば、逆にただ大剣をひたすら振るだけの時もあるため、モーションの出具合での難易度変化が激しい。
また、初期にはダメージを与えすぎると棒立ちになってしまう不具合があったため、最初の確定行動である黄金ブレスの隙にダメージを与えて棒立ちのところをタコ殴りにされてしまっており、その不具合が修正されたときは嘆く声が非常に多かったなど、やたらと逃げて面倒臭いボスという認識が根強いようだ。
- エルデの流星
HP5割以下で繰り出す大技の祈祷「エルデの流星」であるが、約15秒間もの長時間プレイヤーに向かって飛び続けて最後には爆発する、飛ぶスピードがプレイヤーのダッシュよりも少し早い、すれ違うにも大量の子弾付きでダメージ必至、しかも流星が弾けるまでの間にエルデの獣は自由行動で二回ほど攻撃を挟んでくるなど嫌がらせの塊のような性能をしており、特に槍玉に挙げられやすい。
一応接触ダメージ自体はそこまで高くない他、霊薬の聖杯瓶に配合できる「緋色渦の泡雫」(物理以外のダメージを吸収できる)など明確な対抗策もあるが、ほぼダメージ必至な攻撃であるためにやはりプレイヤーからの心象はあまり良くない。
これらの点から、プレイヤーの間では「ラスボス戦でシャトルランなんかやりたくなかった」「エルデンリング1のクソボス」「イベント戦かと勘違いした」「ラダゴンだけでいい」「エルデの害獣」「エルデ除け者」など、散々な扱いを受けている。
ただし距離取りや初見殺しのことをさほど気にしなかったり、ステージや攻撃などの神秘的なデザインや世界観上での立ち位置を高く評価したりなど、一部ではエルデの獣のことが嫌いどころか好きというプレイヤーも存在する(「ボスとしては最悪だが演出・デザインは好き」という人もいる)。
そのため、一概にクソボスであるからと言ってどれだけ罵詈雑言を書き連ねてもいいというわけではないということは一応覚えておこう。
また、距離取りや攻撃の大雑把さ、ステージの広さから、「本来は霊馬トレントに乗って戦うボスとして設計されていたのではないか?」という指摘も存在する。
仮にそう考えた場合、「降り注ぐ光線やエルデの流星はダッシュで振り切れ」「四連続の光波は二段ジャンプ→ジャンプ二回でちょうど避けられる」など色々と符合する場面も多い。
また長く共に旅をした戦友であるトレントと共に戦うというのも、ラストバトルの演出としてはアリだろう。
何故エルデの獣戦でトレントを召喚できないのかは不明…だった。
その後、DLC配信前日,2024年6月20日に行われたアップデートにより、エルデの獣戦でトレントが召喚できるように修正された。
トレントに乗れるようになったことで、エルデの獣が距離を取っても距離を詰めやすくなり、また降り注ぐ光線やエルデの流星など、厄介な攻撃を安定してノーダメージ回避できるようになった。
ただしあまり長く騎乗していると剣攻撃で叩き落されるため、騎乗は回避時か移動時の最小限にとどめたい。
トレントに乗れるようになったことでエルデの獣戦に関する不満がほぼ解決できる形になるため、アプデ後にエルデの獣戦を行ったプレイヤーからの評価は概ね良好。中には手のひらエオヒド…もとい熱い手のひら返しをする褪せ人も現れるほどである。
上述したもしトレントに乗れた場合の指摘がかなり正確に当てはまっているため、「エルデの獣は当初からトレントに騎乗できる前提で調整されてていたが、何らかの理由でトレントに乗れないように仕様変更された」説はさらに信憑性を増した。…事実は開発陣のみぞ知る。
実はステージの背景が...
エルデの獣と戦う決戦場をよく見ると足場が水で濡れた宇宙を思わせる非常に高い位置にある幻想的な空間なのに対して学びの洞窟で最初に戦うボス、ゴドリックの軍兵と戦う場所は足場が水で濡れた空の光が差す地下の洞窟と対になっている。
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桜竜…巨大な剣を使う。ドラゴン(竜)のような容姿。作中では神的存在である。など、幾つもの共通点を持つ過去作のボスキャラ。ただしこちらはよりイベントボスに近く、かつ倒すためのギミックの格好良さと丁度良い歯応えから人気は高い。
葦名一心…前座との連戦を経て戦うと言う共通点がある、こちらも過去作のボスキャラ。ただこちらは恐ろしく強いものの、プレイヤーからの評価は概ね高い。回避困難な攻撃や露骨に射程圏外へ逃げる行動をせず、それまで培った技術を完璧に駆使すれば倒せる王道的な強さであることや、前座となる敵も弱くはないがゲームのテンポが速いため時間をかけず倒せることなどがエルデの獣との違いである。