概要
『鬼滅の刃』に登場する、竈門炭治郎と栗花落カナヲのNLカップリング。鬼殺隊の同期隊士という間柄。
鬼に家族を殺されながらも、親や兄弟姉妹との温かな記憶を持つ長男坊の炭治郎と、実の親に虐げられそれにより兄弟姉妹を亡くし、心も思考も閉ざしてしまったカナヲという、ある意味で対照的な境遇をそれぞれに抱えている。
身長差は9cmで、カナヲの方が一つ年上。
最終選別編
鬼殺隊へ入隊するための命懸けの「最終選別」を終え、炭治郎は、先に下山した1名を除く同期隊士3名(我妻善逸、不死川玄弥、栗花落カナヲ)とともに、説明会に集められる。その際、炭治郎は案内役の童子に対して手を上げた玄弥と揉め事を起こしてしまうが、同じ場にいたカナヲは全く興味を示す様子がなく、蝶と戯れているだけであった。
なお、死に物狂いで選別を潜り抜けて土埃に塗れていた男子3名に対して、カナヲは選別前と変わりなく身綺麗なままだったが、これは選別当時の彼女の力量が頭一つ抜きん出ていたためである。
那田蜘蛛山編
十二鬼月に数えられる下弦の伍・累の一党が巣食う那田蜘蛛山にて、累との激闘を経て満身創痍の炭治郎は、鬼である妹・禰豆子が、筋金入りの鬼殺隊士・[[柱>柱(鬼滅の刃)に容赦なく狙われるという状況に初めて直面する。
竈門兄妹の事情を知る水柱・冨岡義勇の助けを受けて、実力者である蟲柱・胡蝶しのぶの追跡を逃れた炭治郎と禰豆子だったが、今度は増援の一人として駆けつけていたカナヲに捕捉されてしまう。炭治郎は禰豆子に斬りかかるカナヲを引き止めようとするものの、脳天に踵落としを一撃を食らって気絶。禰豆子が逃げ回っている間に「竈門兄妹を確保、移送せよ」との伝令が到着したことで、カナヲは刀を納め、「隠」の収容作業の補佐へと向かう。
明確な敵意を持って禰豆子を狙ったしのぶに対して、カナヲの殺意は鬼殺の使命感と見るにしても機械的なものであり、「鬼を殺さず連れ帰れ」という伝令を受けた際には特に訝る様子もなく従っている。そんな彼女の異質さの背景が明かされるのは、もう少し先のこと。
蝶屋敷(機能回復訓練)編
怪我人としてしのぶの蝶屋敷に担ぎ込まれた炭治郎は、改めて相対したカナヲを最終選別時に見かけていたことを思い出す。傷の癒えた炭治郎は、同じく療養していた善逸・伊之助と共に、蝶屋敷の面々を相手に機能回復訓練(リハビリ)に臨む。
剣士としての圧倒的な差をカナヲとの間に感じる炭治郎は、見かねた屋敷の娘たち(きよ・すみ・なほ)の助言を受けて呼吸を始めとした身体強化に取り組み、やがて訓練の結果もカナヲと拮抗するようになる。
第53話
療養を終え、新しい刀も届いた炭治郎たちに、「無限列車」への増援として出陣の指示が下る。蝶屋敷を離れる前に挨拶して回っていた炭治郎に声をかけられ、カナヲは初めて彼と言葉を交わすことになる。ようやく返事をしてくれたことに感激する炭治郎は、お別れを言って会話を切り上げようとするカナヲに構わず隣に腰を下ろす。
何もかもがどうでもいいから自分一人では何も決められないこと、指示されていない事柄に関しては銅貨を投げて決めていること、いま話をしているのもそうして決めたことだと話すカナヲ。炭治郎は「どうでもいいことなんてない」「カナヲの心の声が小さいのでは」と暫し逡巡し、彼女から銅貨を借りると、表側に「カナヲは心の声をよく聞くこと」と賭けて天高く放る。
受け止めた銅貨の面は表。飛び上がって喜んだ炭治郎は、銅貨を返す形でカナヲに近づき激励する。
「頑張れ!! 人は心が原動力だから 心はどこまでも強くなれる!!」
どうして表を出せたのかと不思議がるカナヲに、「表が出たのは偶然」「裏が出ても表が出るまで何度でも投げ続けようと思っていた」と答え、炭治郎は笑って立ち去る(アニメでは、ネット上で「人が恋に落ちる瞬間を見た」等とコメントされた)。彼を見送った後、カナヲは銅貨を胸元に当てて握りしめ、直後に自らの行いに動揺。すみに背後から声を掛けられた際には驚いて縁側から転げ落ちている。
この一連のやり取りが、カナヲの何かを変えていくのだった。
遊郭編
上弦の陸である堕姫・妓夫太郎との戦いを終え、仲間達と共に蝶屋敷に戻った炭治郎は二ヶ月間の昏睡状態を経た後に意識を取り戻す。
病室に花を活けた花瓶を持ってきていたカナヲは驚きのあまり花瓶を落とし割り、炭治郎に話しかけ自発的に彼の安否を気遣う。そして安堵の言葉を漏らすカナヲの目には涙が浮かんでいた。
カナヲは他の相手には殆ど無言のままであったが、炭治郎が眠りについた時は大声を挙げて周囲を静かにさせている。
番外編
上述した銅貨の一件が収録された単行本第7巻には番外編も収録されており、そこにてカナヲの過去が明らかになっている。
人買いに連れられていたところを胡蝶カナエ・しのぶ姉妹に引き取られたカナヲは、育った環境の過酷さゆえ自分で考えて行動することができなくなっていた。カナヲの行く末を危惧するしのぶに対して、カナエは銅貨を投げて決めれば良いと暫定的な対処法を提案。「根本的な解決にならない」としのぶに怒られるも、鷹揚なカナエは「切っ掛けがあれば大丈夫」と返す。
番外編は「いつか好きな男の子でもできたらカナヲだって変わるわよ」とのカナエの言葉で締め括られるが、その台詞が書かれたコマには炭治郎の姿が描かれている。これが何を意味するかはもう言うまでもないだろう。
以下、本誌ネタバレ(コミックス派、アニメ派の方は注意)
※コミックス21巻以降のネタバレを含みます。
(2020年7月8日時点での最新刊は21巻)
無限城決戦編
柱が各々のやり方で自分の日輪刀を赫刀にして鬼舞辻無惨に挑むも、無惨の一撃により柱や善逸、伊之助は吹き飛ばされ負傷する。かろうじて吹き飛ばされなかったカナヲだが、腹部を負傷し足がすくみ動けない。無惨がカナヲに攻撃を繰り出した瞬間、炭治郎が間一髪で助けに入る(離れたところにいた隠(恐らく後藤)のところまでカナヲを運ぶ)。
以下、更にネタバレ(201話以降、特に注意)。
無惨を討伐するも、201話ショックを経て鬼となった炭治郎の攻撃を止めるため、カナヲはしのぶから預かった藤の花から作られた薬(禰豆子用に作られたが、人間化薬は珠世が3つも作っていたために使用されなかったもの)を打ち込もうとする。結果、カナヲは薬を打ち込むことには成功したが、攻撃を受けてしまい「炭治郎だめだよ 早く戻ってきて 禰豆子ちゃん泣かせたらだめだよ…」と言い残し炭治郎の側で倒れてしまう。
なおこの時、童磨戦にてカナヲの右目は既にほぼ見えない状態になっていた。鬼になったばかりなら片目でも炭治郎の攻撃を掻い潜ることができると見込み、残された左目で「花の呼吸 終ノ型 彼岸朱眼」を使用した。
なお、炭治郎はカナヲが倒れるときに発した言葉に反応を見せた。実は、カナヲに打ち込まれた薬の効果が現れ人間の意識が覚醒し始めていたからである。
その後、紙一重で命を拾った炭治郎たちは蝶屋敷で療養し、庭の桜の木を見上げながら二人は微笑み合う。
炭治郎は鬼化していた際に負わせた怪我をカナヲに確認するとカナヲは大丈夫だと答える。
何処か複雑そうな表情を、炭治郎は浮かべるのだった。
以下、最終話ネタバレ
全てが終わり、やがて現代となった日本。そこには竈門カナタと竈門炭彦という、炭治郎とカナヲに瓜二つの面立ちを持つ兄弟がいた(名前から予想がつくかもしれないが、カナタがカナヲ似、炭彦が炭治郎似)。
大正の世の人間であった炭治郎とカナヲの存在からすると2人の子孫かと思われる。現代の竈門家の居間には生き残った鬼殺隊の面子や刀鍛冶の里の者達が写った集合写真と、炭治郎の耳飾りと日輪刀が飾られている。