天保8年9月29日(1837年10月28日)～大正2年(1913年)11月22日
概要
徳川御三家の水戸藩の徳川斉昭の七男として生まれ、一橋家を相続。
黒船来航以来、混乱状態の中で第12代将軍家慶が死去し、第13代将軍家定が就任するも病弱なため、将軍後嗣問題が浮上。慶喜を推す一橋派と徳川慶福を推す南紀派が対立し、日米修好通商条約を断行した大老・井伊直弼が慶福を第14代将軍徳川家茂として決定。慶喜は島津斉彬とともに条約締結に抗議するも直弼は安政の大獄で慶喜を謹慎させた。
桜田門外の変後に謹慎が解かれ、将軍後見職に就き、公武双方の安定化を図ろうと奔走するも、禁門の変が起こり関係は悪化。会津藩の松平容保と桑名藩の松平定敬との協力体制を築いた。
薩長同盟が成立した頃に家持が死去し、第15代将軍に就任。フランスから軍事や最新技術を導入。
薩長の幕府討伐を回避するために大政奉還を実行し、将軍を辞職。新体制に望みを賭けた。
しかし、薩長は王政復古の大号令を出し、鳥羽・伏見の戦いから戊辰戦争が勃発。大阪にいた慶喜は幕府軍を率いて交戦するも、新政府軍は錦の御旗を掲げ自らを官軍し、幕府軍を賊軍、慶喜を逆賊とした。
政治・軍事双方で慶喜は敗北して大阪から江戸に退却。北上する新政府軍に恭順し、上野寛永寺、次に水戸で謹慎した。
明治になってからは静岡で暮らし、写真や狩りなど趣味に楽しみ、一時期は貴族院議員として政治に携わり、余生を過ごした。
人物
慶喜に対する評価は良悪ともに様々。保身に走り、大阪から敵前逃亡した無責任な暗君とも、幕末の混乱を収拾すべく奔走して、幕府の幕引き役を引き受けた名君とも。
大政奉還を起草したのは坂本龍馬であり、彼の存在は幕末だけでなく日本史上で偉人として知られるが、慶喜は龍馬を知ったのは明治になってのことで、全く知らなかった。それほど、本来の龍馬が歴史の表舞台ではなく裏舞台で生きてきた存在でもある。
明治後の趣味では写真撮影や狩りの他、刺繍、釣り、囲碁、自転車など。フランス語も習っており、豚肉や牛乳を好んで口にしたと言う。
