概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。別名「タンマウオッチ」。初登場エピソードはTC24巻収録「時間よ動け~っ!!」。
懐中時計型の道具で、スイッチを押すと使用者以外の時間を停止させることが出来る。有効範囲は全世界(実際にドラえもんがこの道具を使用して時間を停止させた際、彼は「世界中が止まっているんだよ。(時間停止を解除しない限り)太陽も地球も動かない」と説明している。参考として、アニメ版『ドラえもん』公式サイト「ひみつ道具カタログ」でも「自分以外の全ての時間を止めることが出来る」と解説されている)であり、スイッチをもう一度押すと、停止した時間が元に戻る。
それだけでなく、時間が停止している物体及び生物に対し、使用者及び時間停止の影響を受けていない人物が触れたとしても、それらの時間が動き出すことはない(実際に上記及び下記のエピソードでは、ドラえもんやのび太がこの道具を使用して時間を停止させた後、彼らは静止している動物に触れたのだが、その動物の時間が動き出すことはなかった)。
使用者以外の人物が時間停止の影響を受けないようにする方法については、エピソードによって描写が異なっている。
上記の初登場エピソードでは、使用者に触れられている人物は時間停止の影響を受けないという描写になっている。作中ではドラえもんが最初にこの道具を使用して時間を停止させた際、ドラえもんが触れていたのび太は時間停止の影響を受けていなかった。それに対し、のび太がこの道具を使用して時間を停止させた際、のび太の傍で走り回っていた犬と猫は時間停止の影響を受けて静止した状態になっていた。
一方、TC35巻収録「なんでもぬいぐるみに…」では、使用者の周囲にいる人物は(使用者に触れられていなかったとしても)時間停止の影響を受けないという描写になっている。作中ではドラえもんがこの道具を使用して時間を停止させた際、傍にいたのび太はドラえもんに触れられていなかったにもかかわらず、時間停止の影響を受けていなかった。
時計故に壊れやすく(派生作品を含めれば、学習漫画『ドラえもん 宇宙大探検』では太陽の至近距離でも問題無く使用可能という凄まじい耐久性を発揮しているが)、時間が停止している状況でタンマウォッチが故障してしまった場合、使用者は時間が止まった世界で永遠に生きることになってしまう。
ただし「タイムマシン」が保管されている時空間は時間停止の影響を受けない。実際に上記の初登場エピソードの作中では、タンマウォッチを壊してしまったのび太は「止まる前の時間に戻って、まだ動いているドラえもんに直してもらおう」と考え、急いでタイムマシンに乗り込み、時間が停止する前の過去に遡っている。
関連道具
外観及び効果は「タンマウォッチ」とほぼ同じで、使用者以外の時間を停止させることが出来る道具。詳しくは項目を参照。
この道具を使用すると、周囲の時間を加速・減速・停止させることが出来る。詳しくは項目を参照。
- 時門
小さな水門型のひみつ道具。
この門を閉めると、水門が水の流れをせき止めるように、時間の流れをゆっくりにすることが出来る。例えば門を3分の2ほど閉めておくと、宿題や仕事等で5~6時間作業し続けていたとしても、実際には30分程度しか時間が経過していない状態になる。また、TC31巻収録「時門で長~~い一日」(初登場エピソード)の作中で、ドラえもんが「日本中、いや、世界中の人が、君のせいで酷い迷惑したんだぞ!」と言っていることから、この道具の効果は全世界に及ぶことが分かる。
ただし「狂時機」とは違い、こちらは時間の流れを遅くしても人間の動くスピードや体感時間等は変化しない。上記の「時門の長~~い一日」の作中では、時門の効果で時間経過が遅くなっていた際、草むしりをしていたドラえもんは「(長時間の草むしりで)腰がメリメリ言うよ。二時間がこんなに長いはずがない!」と言っており、この道具を使用して一日中遊んだのび太はウトウトしながら「眠いはずだ。ほんとなら、もう夜中になってるはずだもんね」と言っている。それだけでなく、パパもウンザリしながら「二日分ほど働いた気がするのに、まだ会社が終わらない」と言っている。
大山のぶ代版アニメ「時門」では、門を閉めている時間が長過ぎた場合、閉めた門を開けた直後の時間の流れが早くなってしまう様子が描かれている(原作版にはそのような描写はない)。
門を全て閉めてしまった場合はどうなるかについては、原作版では描かれていない。漫画版『緑の巨人伝』に登場した際は、門を完全に閉め切ると地球全体の時間が停止するという設定になっていた(ただし地球以外の時間が停止することはなく、作中では別の惑星にいたドラえもん達は時間停止の影響を受けていなかった)。
- むだ時間とりもどしポンプ
風船とペダルが付いたひみつ道具。
ペダルを足で踏むと、使用者がこれまで無駄に過ごした時間を回収することが出来る。ペダルを踏めば踏むほど時間を回収することが可能で、その時間は風船に蓄積され、徐々に膨らんでいく。
しかし無駄にした時間全てを回収することは難しく、過ぎ去った時間を遡るほどペダルが重くなってしまう。
時間を回収した後、風船に付いているコックをひねることで、使用者以外の時間が停止する。回収した時間の分だけ世界中の時が止まることで、その間に使用者がやりたいことを実行出来る仕組みになっている。
- ちょっと待っタイマー
映画『のび太の結婚前夜』に登場したひみつ道具。
こちらは時間停止時に「ちょっと待った」、解除時に「もういいよ」という掛け声を掛けることで発動する。
作中では、トラックに轢かれそうになった未来ののび太と迷い猫を助ける為にドラえもんが使用した。
- タイムコントローラー
同作者が描いた漫画作品『T・Pぼん』に登場するタイムパトロール隊員専用アイテム。
魔法のステッキを模した道具で、上部のダイヤルを回すと時間軸をずらすことが出来る。これにより周囲を加速・減速することが可能で、時間停止も行える。
余談
強力過ぎる効果である為か、派生作品では独自の弱点が追加されることが多い。
『ドラえもん』を題材としたゲーム作品『のび太と光の神殿』や『みんなで遊ぼう!ミニドランド』では敵の動きを止めるアイテムとして登場しているが、一定時間経つと敵の行動不能が解除されてしまう。
『魔界のダンジョン』では敵を永久に行動不能にするアイテムとして登場しているが、有効範囲は一部屋程度となっており、プレイヤーが攻撃すると敵の行動不能が解除されてしまう。それだけでなく、ボスに至っては一定ターンが経過すると行動不能が自動的に解除されてしまう。
水田わさび版アニメ「ようこそ、地球の中心へ(後編)」では、一定時間が経過すると時間停止が自動的に解除されてしまう設定になっている。それだけでなく、映画版『緑の巨人伝』では時間停止こそ永続するものの、地球以外の時間は停止させることが出来ない設定になっていた(漫画版では上記の通り「時門」を使用しているが、どちらの作品も「別の惑星にいたドラえもん達は時間停止の影響を受けていない」という描写になっている)。
尤も、これらのエピソード及び映画作品が例外であり、その他の原作エピソード(2008年版「時間よ動け~っ!!」、2015年版「なんでもぬいぐるみに…」)がアニメ化された際は原作版通りの効果及び設定になっている。