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姑獲鳥(鬼滅の刃)の編集履歴

2021-07-09 20:41:36 バージョン

姑獲鳥(鬼滅の刃)

うぶめ

「鬼滅の刃」の公式小説「風の道しるべ」の登場人物。

※本記事は鬼滅の刃の小説「風の道しるべ」の大半の『ネタバレ』を取り扱っています。閲覧する時は完全自己責任でお願いいたします。


また他の記事とは違い、当該キャラクターと物語の仕掛けの説明の都合上、状況と時系列を小説文をそのまま抽出し、大まかな叙述と演出形式でまとめて書いてあることをご了承下さい。


原作文の演出上、微々なホラー的演出要素がありますのでご留意ください。


飛ばさず(スクロール)に見出しの上から順々に追って細かくお読みすることを推奨しています。









噂(うわさ)


ある町の外れにある空き家の屋敷付近で


消えるという。


いなくなるのは必ず子供である。


鬼の仕業と鑑み、屋敷の調査に入った鬼殺隊隊士達も



3人を残しあとは全員消えた。



帰ってきた隊士曰く



屋敷には


鬼も見かけない


子供たちも


共にいた隊士たちすらいない




誰一人その屋敷には残っていない。




階級が『甲』になった 不死川実弥粂野匡近の2人に

狐につままれたような話の指令が持ち出された。


渦中の屋敷を2人が共同任務調査することとなる。








周囲を鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた

静謐で陰気な町外れの古い屋敷。



一面に咲いた曼珠沙華(ヒガンバナ)の花すらも美しいというよりおぞましい。




陽が傾き薄暗い中、屋敷の敷地へ踏み入れると






屋敷の中に漂う香りは耐え難いほど甘く





生き物の死骸が放つ腐臭に似ていた。


















私はね、ただ幸せになりたかっただけなの。




彼女の過去


匡近が門の外で聞き出した老人の話によると



この屋敷の居住者の名は、弥栄(やえ)

綺麗なお嬢様で数十年以上前に数人の使用人と共に屋敷で暮らしていた。



早くに両親を亡くしていたので、寂しさからか若くして結婚をした。

弥栄は役者のような容姿をしていた、物静かで穏やかな男を旦那として迎えた。






だが一人娘の紗江(さえ)が生まれた時、夫が本性を現す。


夫の本当の姿はひどい暴力男であり

母の弥栄(やえ)、娘の紗江(さえ)の母子は暴力を振るわれいつも傷だらけになっていた。

おまけに弥栄が屋敷とともに両親から譲り受けた掛け軸や骨董品など

妻のものを売り払っては、賭け事や酒に湯水のごとく金を使ったという。


咎めようものなら、それこそ失神するまで弥栄(やえ)は夫により殴られ続けていたらしい。


これらの事もあり、屋敷の使用人は皆、夫を恐れて逃げ出してしまう。



だが、ある大雨の翌朝、夫が近くの川で溺死しているのが町の者に発見された。


その前日は視界が悪く、さらに足場も悪かった事から、今までの報いか天罰か、足を踏み外して川に転落したものと思われる。

町の者は誰一人として彼の死を悔やむことはなかった。



暴力夫から母子が解放されようやく幸せになれるだろうと皆が胸を撫で下ろした。




だが、弥栄(やえ)の悲劇はこれで終わらない。





夫が死ぬや否や娘の紗江(さえ)が病に倒れてしまう。


町の人々は皆、母親を気の毒がり、なんとか力になろうとした。

ある者は、紗江と年齢が近かったこともあり、見舞いの品を手に何度か屋敷へ上がっていた。



母の弥栄(やえ)は娘の紗江(さえ)の頭を冷やしたり、重湯を呑ませたり、体を拭いてやったり、吐いた物を片付けたりと


休む暇もなく、かいがいしく必死に娘の看病をしつづけた。


薬湯や消毒薬の匂いを消すためか、病床の娘の心を癒やすためか、彼女の屋敷には常に、芳ばしいお香が焚かれていたという。










そんな母親の健気で献身的な看病も虚しく、娘の容態は回復に向かったどんでん返しに急速に悪化。




やがて声を出すこともままならなくなり、









一人娘、紗江(さえ)は“十歳を迎える前に”幼くして息を引き取ってしまう。






通夜の晩、

母、弥栄(やえ)は娘の紗江(さえ)の部屋にある座鏡の前で泣き崩れていた。




その鏡は弥栄(やえ)が代々受け継いできた魔除けの鏡であり


「この鏡がきっと自分たち(母子)を守ってくれる。」


そう言い、賭け事のため骨董を売り払う夫から必死に守り切った鏡だった。



だが守ったこの魔除けの鏡も悲劇的な母子をけっして救ってなどくれなかった。



さらに葬式が終わって間もなく、

野犬に取られたのか庭に埋めた紗江(さえ)の遺体は掘り起こされ失踪。

現場には少女の着物のみが遺されていたという。








家族を皆失い一人娘をも失った弥栄(やえ)は悲しみのあまりふらりとどこかへ行き、行方知れずとなってしまう。




 


それ以来屋敷はずっと無人の空き家である。






夫の暴力に耐え、必死の娘の看病も報われず

ついに愛する我が子すらも病に奪われた絶望の淵にいる女に、鬼舞辻無惨が血を与えた。








鬼となってしまった彼女(弥栄)は病により死んだ愛する娘を忘れられず、子供をさらい続けている。




















屋敷の中


匡近は門の外から自分を注意し


この屋敷の昔話をした老人の背中を見送ったあと


鬱蒼とした木々に囲まれた屋敷を仰ぎ見る。





老人の弥栄(やえ)の話を聞いたあとでは、


この屋敷は薄気味が悪いというより、物悲しく感じられた。




弥栄(やえ)は娘を失ったあと、どこへ消えたのだろう。



仮に 彼女が鬼だとして



娘まで病に奪われ、絶望の淵にいる時に鬼舞辻無惨により血を与えられ



鬼となった彼女は病気で死んだ愛娘を忘れられずに子供をさらい続けてるとしたら




だが、どこへ?





屋敷に入り となりを歩いていた実弥は消えた。




煙のように。





さらわれた子供や消えた隊士、実弥はどこへ消えたのか。



匡近は台所、納戸、厠や風呂場と


甘ったるい腐敗した匂いの充満する屋敷内をくまなく探し回る。




実弥も、消えた子供達や、隊士の姿もない。



無論、鬼の姿も。




一緒にやってきた友だけが消えた。

おそらく鬼の異能だ。



自分の気に入った人間だけを神隠しのようにさらい、

どこかへ連れ去っているのだろう。




なぜ自分ではなかったのか。






実弥と消えた子供や隊士達との間に共通項があるのだろうか。







その時ふと脳裏にひらめくものがあった。











匡近は、消えた友と弥栄(やえ)のその後の手がかりを探すべく



屋敷内のとある座敷にいた。






自分でもどうしてあの鏡が気になったのかわからない。

 



ただ仮に弥栄(やえ)が鬼だとするなら、


彼女の手掛かりになりそうなものはこれぐらいしかない。




座敷には老人の話に出てきた


弥栄(やえ)が代々受け継いできた

年代物の厄除けの座鏡があった。


は美しい刺繍の施された布で覆われている。



座鏡のひきだしの取手の部分の材質が日輪刀のそれとよく似ていて



“魔除けの鏡”というからには、もしかしたら鬼を、



悪しきものを退ける力が宿っているかもしれない。






座鏡の引き出しを開ける。




中は空っぽだった。




だが念のため利き手を中へ突っ込むと、





上の方に糊でくっついているガサッとしたものが指先に触れた。





破らないようそっとひきだしから剥がす



不格好に折りたたまれた「ざらがみ」を発見する。


   

























特に気負うこともなく中を開けて見る。


 









































そこにはどす黒く変色した血文字がのたうっていた。





















































お母さんが私ののどをやいた。

お母さんが私の耳をつぶした。

お母さんが私のかみをむしった。

お母さんが私のつめをはいだ。

お母さんが私のほねをおった。

お母さんが私をだきしめてなく。

お母さんが私をいらない子だという。

お母さんがわたしをだいじだという。

おかあさんはわたしをころそうとしてる。

助けてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて———————————————————




















……最後の方はまともな文字になっていない。








小指の先を噛みちぎって書いたのか。




苦しみにのたうつ文字から

十にもならない少女の恐怖と絶望が伝わる。





助けを求める血文字はところどころ涙でにじんでいる。






老人の話を聞く限りこの座鏡が置いてある座敷部屋は、病で死んだ娘 紗江(さえ)の部屋だ。











つまりこの厄除けの鏡はずっと見ていたのだ。







我が子をけんめいに看病する

慈愛に満ちた母親の本当の姿(行い)を…。








今まで老人から聞いていた




健気で哀れな女(弥栄)のすべてが真っ黒く塗り潰されていく。


 
















「ほら、可愛くしましょうね」


少女の髪を結い上げながら、どこまでも慈しみ深く

 

姑獲鳥(弥栄)が笑う。















鼻腔をずっと覆っていた甘い香りがふっと弱まり




友の声がはっきり聞こえた気がした。



弾かれたように見回した際、

匡近の日輪刀が座鏡にかけられていた布にあたり


鏡が露わになる。

 






の中には姑獲鳥(弥栄)と実弥がいた。



匡近は奇妙な違和感にも気がついた。



鏡には自分の姿が映り込んでいない。



身を乗り出すと友と鬼の姿は消え



代わりに 縋るような顔をした自分一人だけが映り込む。



鏡の中を再び凝視していると鏡のすみに飾り棚が見えた。



“鏡の中”の飾り棚の上段には

妖しげな香炉が置かれている。




思わず振り向いたが

現実の背後の飾り棚には何もない。



混乱した頭で もう一度鏡を見やると



再び“鏡の中の”飾り棚には 香炉が映り込んでいる。



穴が開くほど 鏡を凝視すると



香炉からうっすら赤く色づいた煙が立ち上っていた。


 




















たすけて





呪詛か。

あるいは母にこれ以上罪を重ねて欲しくなかったのか。


幼い声を絞り出すようにして。






殺された娘、紗江(さえ)がささやいた。


































真相

今日は新しい子が来たのよ。仲良くしてあげてね











大丈夫よ。あなたたちは私がずうっと守ってあげるから







あなた、親に虐げられてきたでしょう?目を見ればわかるわ。



父親?母親?それとも、両方かしら



可哀想に…








あなたはもう私の子供なの。



母さんがずうっと守ってあげる。



ずうっとそばにいてあげる。



だからもう無駄なことはやめて。



ほら、抱っこしてあげるわ。



それとも、子守唄の方がいい?








姑獲鳥がやさしくその両眼を細める。


実弥を見る目は匡近を見る目とまるで違った。


愛しい我が子を見るような目だ。









伝聞では悲劇の女性のように聞こえていた


弥栄(やえ)の実態はまるで違うものであった。



病が悪化して息を引き取ったと思われていた十歳にも満たぬ幼き娘の紗江(さえ)



実際病は順調に回復に向かっていたものの、裏で母の弥栄の加えた虐待と拷問(服毒、喉や耳を潰す、足を折る…等)の果てに衰弱。


拷問の中娘は必死に床を這いずり逃げ出そうとしていたところを、見つけた母に殺されていたのが真実であった。






後に弥栄(やえ)が夫を事故に見せかけて殺害した事や、

紗江の死体は誰かや野犬に盗まれたものでもなく消えたのは母親の弥栄が鬼となり、最初に喰ったのが紗江(さえ)の死体だという真実を姑獲鳥本人が暴露している。


なお夫を殺した動機は、賭場で出会った女と駆け落ちして幸せになるべく家族を捨てよう(自分から逃げよう)としたからである。後の所業から擁護の価値はないがこの件に関しては夫の自業自得と言える。



「夫の暴力にも耐えた。どうして、こんなに頑張っている自分が幸せになれないのだろうと空しさを抱えながら、病にかかった娘を看病していたら、驚くほどの安らぎを覚えた。」


このままずっと看病し続けたいと、それだけを願いに我が子を“看病し続けた。”

(おそらく血文字の通り娘へ拷問を課したのであろうと思われる)


「なのに床を這いずってまで(娘・紗江は)私を捨てようとしたのよ」

「でも殺してからすごく後悔した。これでもう私は暴力夫に尽くす健気な妻でも、病の娘を支えるやさしい母親でも無くなっちゃったんだから」



つまり弥栄(やえ)__もとい【姑獲鳥(うぶめ)】の正体とは


健気に家族に尽くすも報われなかった献身的な悲劇の慈母


などではなく



正体は「自分を献身的で悲劇の母親として酔いしれるため、家族や他者を自身の演出道具として拷問、自身から逃げようとする者は殺害する狂気に嵌ってしまった女」

なのであった。



夫の暴力に耐えていたのも

「夫に暴力を振るわれる哀れな妻」として。


快調に向かう娘の体を無理矢理壊しながら看病していたのも

「治らない病弱な娘を必死に看病する健気な母親」

という虚像を演じる事に酔っていたからであり


方向性は違えど2人を殺したのも

自分から離れようとしたからである。

彼女は人間の頃から人の皮を被った『鬼』だったのだ。


このように、その本性は人間時代から驚く程に何も変わっておらず、

鬼となっても殺した娘の代用品として子供や気に入った者をさらい、娘と同じ拷問と看病を繰り返し「慈母」を演じている。

また母である自分から逃げようと逆らった者はその場で自殺するよう精神を操っている。

無惨の事は「初めて自分を理解して望むものをくれた御方」として崇拝している。


ちなみに彼女は、人間時代の記憶をハッキリと保っている珍しいタイプの鬼でもある。



彼女がターゲットとするのは

親に虐待された(愛されなかった)子供や、心身が傷つけられた子供。』のみ

(本人曰く「とても心につけ入りやすい」とのこと)


まっすぐな目をした匡近ではなく、実弥の目を見て気に入り欲しがっている。





容姿と能力

鬼滅の刃」の公式小説「風の道しるべ」に登場した

十二鬼月の一人で、この時点の下弦の壱」である。

長い黒髪を玉結びにし髪に朱色の花がささり、両目と舌は血のように赤い。

着物を着た美しい小柄な女性の鬼。


町外れにある屋敷を根城にし、


大量の子供や捜索に来た隊士を拐い慈しみという名の拷問、看病、その果てに捕食している。


「親に恵まれない子供達や傷ついた子たちをここで癒し、彼らの母親になってあげている」とのこと。


一見すると心や体に傷を負った子供を慈しむように看病し接する慈母の様に思えるが、


拐った子供に死なない程度の拷問(喉を潰す等)を行い、弱らせ介抱する。


完全に衰弱した者を寝台に寝かせ、甲斐甲斐しい母親のような言動で身の回りの世話などの自己満足の介抱をし、果てに衰弱死した人間の死体は自分の胎内に還して喰らっている。


さらわれた子どもや隊士たちは姑獲鳥が世話をする隔離した幻術の空間(肉の壁の胎内)にて


寝台の上に寝かされ、ガリガリに痩せこけ衰弱死し、目や体と至る所に蛆が湧いたまま死体となり*


息のある者もガリガリに痩せこけ精神崩壊を起こし、白濁した目でひたすら天井をぼんやり見つめていた。


寝台に寝たせだんだんと弱らせた者たちの嘔吐を拭ったり、汗を拭いたりと、甲斐甲斐しく身の世話をするのが姑獲鳥の何よりもの史上の喜びである。



最中に帰りたい。という子供や隊士に対しては優しい態度が急変。

「母さんを裏切った」「今すぐ死んで」等の暴言を吐き、精神を操りすぐその場で自殺させる。


(同じくさらわれ隔離された中で衰弱していた浦賀隊士がいた。実弥に「死にたくない」と助けを求めたものの泣きながら“母さん(姑獲鳥)を裏切れない”と言い、自らの喉を短刀で掻き切って自殺している)

実弥曰く「慈母気取りの糞鬼女」。



運良く助かったとしても精神崩壊や拷問の末に助からず衰弱死、彼女の愛を求めて自殺したり彼女を庇ったりするなど、

元々虐待を受けていた子供がターゲットなためか母親として看病をしてくれる彼女に依存したストックホルム症候群の兆候を見せる子供もいる。




能力

名称は不明だが特殊なお香を焚いて、嗅いだ者に幻術を見せる珠世と同じ幻惑系の血鬼術を使う。

また、血鬼術に頼らずとも下弦の壱の座を授けられた事や、多くの子供を捕食してその中には稀血を持つ者も含まれていたらしく純粋な基礎戦闘力もかなり高い。

再生速度も速く、作中では匡近に斬られた左腕を瞬時に結合している。




作中の活躍


屋敷に調査に訪れた実弥と匡近の内、

実弥が親に恵まれなかった(父親に虐待を受けていた)事や、さまざまな事で心も体も多くの傷を負っていることを一目で見抜いて気に入り、

彼を新たな自分の子供にしようと屋敷に入った瞬間に実弥をさらう。


他のさらわれてきた子供たちや隊士と同じく幻術の中に閉じ込めて匡近と分断した。




しかし


紗江が座鏡の引き出しの上に貼り付けた

『血文字の手紙』


真実を映し出した『厄除けの鏡』


殺された娘の紗江(さえ)の無念


により導かれてきた匡近により『香炉の幻術』のカラクリの仕組みを破られ、匡近と実弥の2人の合流を許してしまう。



稀血やさらった大量の子供を喰らっているため、

姑獲鳥の基礎戦闘能力は非常に高く

実弥と1対1でも弄び邂逅後の2対1の戦闘でも優勢を保っていたが、



実弥の喉を切り裂き声帯を潰した際、彼の口と首から大量のが畳に流れる。


稀血の子供も沢山食べてきた姑獲鳥だったが


彼の血が『百人分よりそれ以上の価値のある稀血の中でも希少な血』であることに気づいた彼女は、恍惚としさらに実弥を気にいる。


どうにか実弥の母親となり自分の子どもにしようと猫かわいがりするような言葉をかけながら彼にやさしく近寄る。



しかし 血まみれの彼に寄ったことにより、

実弥の稀血に付随している強い鬼ほど効力を発する強力な酩酊効果の香りがひと足おくれて発動する

実弥の血の匂いにあてられた姑獲鳥は蕩揺(とうよう)状態へ陥り



形勢は逆転した。


隙を見逃さなかった匡近は姑獲鳥の頸へ刃を振るう。






…ところが、

…お母さんを…苛めないで。


さらわれていた一人の少女が匡近と姑獲鳥の間に割るように飛び込み、匡近の刃から彼女を庇うように立ち塞がった。


この機を逃さなかった姑獲鳥は少女ごと匡近を殺す攻撃を放つ。




結末



間に割って入った少女を護るべく、匡近が姑獲鳥の斬撃から身を呈し少女を庇った事で、彼に致命傷を負わせる事に成功する。



しかし、激昂した実弥に次の瞬間には頚を斬り飛ばされてしまい、




最期まで“作り物めいた笑顔”を浮かべたまま絶命した。









この件事件の功績で、不死川実弥は新たな風柱として就任する事が決定した。



しかし同時に助けを求めるも精神を蝕まれ目の前で首を切り自殺した同僚、少女を庇い殺された親友の匡近など、

現場で親友の死に哀哭する実弥の心には大きな傷と、鬼へのさらなる憎悪と怨讐を残してしまった。




余談

  • 小説版での登場の為、元を含め十二鬼月の中で唯一キャラクタービジュアルがない。

原作3巻24話の響凱の回想シーンに台詞で顔の隠れた着物の人物が登場しているが、彼女本人なのかは不明。また同じくそのコマには、台詞で顔が見えないが服装の特徴から後に下弦の壱になると思われる鬼もいる。


  • 年齢について

小説版にて、屋敷の前にいた老人は匡近に彼女の悲劇的な過去(前述)について語るが、その時にその老人が自分と彼女の娘の紗江の年が近いとも語っている。

老人の「自分はまだそんな歳じゃない(頑固)」という発言から老人は60〜70歳程と仮定し、紗江の歳を10歳弱、そこから当時の彼女が30歳前後仮定すると、小説版時点の彼女は人間時代を含めると80歳〜95歳、鬼としては55〜70歳程と推定でき、江戸時代後期の鬼である事が分かる。鬼としてはかなり若い方であり、これで下弦の壱にまで上り詰めた辺り、無惨に目をかけられていただけあって高い才能があった様である。


関連タグ

鬼滅の刃 風の道しるべ

鬼(鬼滅の刃) 血鬼術 十二鬼月 下弦の鬼

鬼滅の刃の登場キャラクター一覧


姑獲鳥 母親 ホラー 伝奇 狂気 みんなのトラウマ

不死川実弥 ストックホルム症候群 代理ミュンヒハウゼン症候群(MSBP)



代理ミュンヒハウゼン症候群(MSBP) …実在する精神疾患。わざと子供を傷つけて、熱心に看病しているふりをして周囲の人の注目を集めようとするといった彼女の行動は現代で言うとまさにこれ。ハッキリとした原因は未だに不明だが、幼少期におけるトラウマや家庭環境が関係するものと考えられている。


関連・類似キャラクター

  • 不死川志津…不死川家の母であり実弥が殺した最愛の母親。「夫から暴力を受けていた」「母親でかつ鬼となり子供を複数殺した」繋がり。

凡そ条件としては最も近いであろう。奇しくも母親殺しの実弥は、『姑獲鳥』という同じ条件の母親とあたり、皮肉にも二度目の母親殺しをすることになっている。

  • 魘夢…後の「下弦の壱」。こちらも人間時代から同じ気質の人間だった鬼であり、幻惑系の血鬼術を使用する。
  • 響凱佩狼…元「下弦の鬼」だった者達。こちらは姑獲鳥と違い同情できる過去がある。
  • 童磨…同じ十二鬼月の上弦の弐」。「人を幸せにするという名目で捕食する」「捕食対象を厳選している」「他人を逆撫でする言動」「人間時代から本性は全く変わっていない」、さらに「人間時代の記憶をハッキリと保っている」等の多くの共通点を持つ。
  • 鳴女…同じ十二鬼月の上弦の肆」「夫が最低な人物だった」「その夫を殺害してしまった」「しかし本人も人間時代からとんでもない女性だった」といった共通点を持つ。
  • 珠世…母親鬼であり同じ幻惑系のお香の血鬼術を扱う女鬼にして逃れ者。人間だった頃夫と子供がいたのを共通しているが姑獲鳥と違い「余命わずかであるにも関わらず家族を愛していた」「そこを無惨に漬け込まれ、鬼にされた挙げ句家族を殺してしまう」「その贖罪として無惨を倒す方法を研究する」という違いがある。
  • 嘴平琴葉…「夫から暴力を受けていた」母親繋がり。ただし、琴葉の場合は姑獲鳥とは違い息子を心から愛しており、腐らず虐待する事がなかった母親の鑑であり、ある意味正反対の存在である。また上記の童磨とは因縁がある。
  • エンジェル…似たような思想を持った狂人繋がり
  • …姑獲鳥のような似た条件状況や幽霊が出現する純和風ホラーゲームシリーズ。
  • 影廊…和風の屋敷の中で鏡や怪異といい近しい雰囲気を感じるホラーゲーム。
  • 姑獲鳥の夏…共通の題材を扱った京極夏彦の伝奇ミステリー小説。

関連イラスト

【小説ネタ】先代下弦の壱さん

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