「大丈夫?仮面ライダー…チェイサー?」
「私は味方よ…迷えるロイミュード達のね…」
演:山崎真実
概要
ドライブサーガ第一弾『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』に登場するエンジェルロイミュードの人間態である妖艶な雰囲気を醸し出す美女。
ロイミュード099が人間の精神を癒すことに人生をかけていた精神科医の“羽佐間翔子”をコピーした姿で、 (エンジェル曰く)“満たされない心を癒す感情の泉”『フェザーサーキット』という回路や『ライノスーパーバイラルコア』を独自に開発するなど高い知識と技術力を持っており、また、常に冷静沈着であまり感情を表に見せない超然的存在の様な雰囲気を纏っている。
目的
自身が作成した羽根型の回路『フェザーサーキット』を用いてロイミュードたちに人間と同じ心を持たせることで心が満たされる状況を作り出す事で彼らの持つ人間への劣等感を無くして完璧なロイミュードへと進化する事を促し人間たちと彼らが共存共栄出来る世界を築き上げる=究極の平和を実現させる事。
これはコピー元である羽佐間翔子の思想に共感と感銘を受けたからであり、それ故に人間を力と精神において超え、超進化に至り彼らを支配すると言うハートの考えを“バトルマニアの妄想”と嘲笑っており、寧ろ彼のやり方だといずれロイミュードは滅ぶとして危惧している(なお、この考えは後に奇しくも現実のものとなる)。
そんな彼女の妖艶な美貌や思想はハートのやり方を息苦しく感じている他の同胞たちを引き込むだけのカリスマ性を持ち、新たな派閥を立ち上げる。また、自身の理想実現の為の協力者の一人として自身の派閥に引き入れようと、かつてロイミュードたちの番人として活動させられていたチェイスこと仮面ライダーチェイサーに接触。彼をまるで支援するかのように手助けを行い、ある事を切っ掛けに人間と同じ感情を持ちたいという悩みを抱くチェイスに『フェザーサーキット』を譲り渡す。
更に『フェザーサーキット』の副作用でチェイサーに変身出来なくなったチェイスに『ライノスーパーバイラルコア』を与えて超魔進チェイサーに変身できるように援護するなどその名の通り“ロイミュードたちを正しい道へと導こうとする天使”の様にも見える。
しかしその言動は退廃的かつ不気味な印象を漂わせており、単純に味方とも思えないような所もあるが……?
隠された天使の本性
「私がコピーした羽佐間翔子は何度も何度も考えていたわ、究極の平和というものを……」
「結論は一つ。全ての生物が心満たされ、活動を停止した世界。それが平和だわ…そして私は感謝される……みんなを導いた天使として」
その本性は天使などではなく自身の心を満たすだけの目的で動くエゴイストそのものであり、堕天使という言葉が相応しい危険思想の持主。
目的こそ「究極の平和」と謳っているが、その方法は全ての感情を人間とロイミュードから取り除いて人形となった人々、つまり生きているが死んでいるのと同じ状態になった人間やロイミュードを自身が統治するという歪んだ方法で創造される“ディストピア”そのもの。
『フェザーサーキット』の真の効力とはこの回路を使って全ての物事に満足した者は次第に思考能力が摩耗して行き、やがて動かなくなってしまう……要は人格を消し去ってしまうという危険極まりない代物で、そうなったロイミュードたちをエンジェルの体内で目覚めることなく理想の夢を見続けるための道具に過ぎない。
その為、彼女の語る理想論は全て上っ面だけのものであり、自分基準での幸福の押し付け&個々にある存在の否定はある意味では最もロイミュードらしい悪辣さと傲慢さを持っている。彼女の本性を一発で見抜けたのはハートとベルトさんだけであり、特にハートからは「それでは死と同じだ!」と全否定されている(エンジェルの思想に傾きかけたブレンも「天使って天国に導きますもんね!?」と動揺を見せていた)。
尚、この思想はコピー元である翔子が「人を癒す」という命題について悩み考え続けた末に到達した結論であり、エンジェルはそれを拡大した形で実行しているに過ぎない。
いみじくも本編で進ノ介が口にした「ロイミュードは、人間の悪意をなぞっただけだ」という言葉を体現している(翔子の思想は一応「善意」の範疇ではあるのだが)。
彼女は既に超進化態となった状態で登場しており、どのようにしてその境地へと至ったのかは不明だが、本人曰く「私の心は、最高に満たされている。この星の救世主になるという希望でね」と言っている。その事から、少なくともその自信に満ち溢れた感情が引き金となっているようで、「究極の平和」に対する過度な信仰心や崇拝が代行者たる天使の姿を象ったのかもしれない(更にその為なのか、戦闘能力は既に超進化態に進化しているハートやブレンよりも高い)。
顛末
自身の本質をハートとベルトさんに暴かれた後、遂に本性を曝け出すと自身の考えに賛同していたロイミュードたちや反抗するハートのコアを有無を言わさず自身の精神世界へと取り込み、更に人間にもその魔の手を伸ばし始める。
ハートのコアが奪われた事で彼女と戦う決意を固めたチェイスをも彼に渡した『フェザーサーキット』の効力で戦闘不能寸前まで追い詰めた上で、再び甘言を吹き込み揺さぶりを掛ける。しかしブレンやクリム、ハートの言葉を思い出したチェイスが奮起し、彼は生きとし生きる者全ての自由ために戦う戦士=仮面ライダーに戻る事を決意。
チェイス「エンジェル……お前は俺に束の間の夢をくれた。でも、もういらない」
自身と一体化していた『フェザーサーキット』をライノスーパーバイラルコアでえぐり出される形で血まみれになりながら無理やり引き剥がされてしまい、「元の機械へと戻った彼」に仮面ライダーチェイサーへの再変身を許してしまう。
チェイス「お前が求めているのは『平和』では無い。『支配』だ。」
この行為を「愚か」と蔑むエンジェルだったが、逆にチェイスからは自らが求め築き上げた究極の平和を単なる「支配」と完全に切り捨てられる。その言葉に激昂した彼女は再びロイミュード態に姿を変え、チェイサーを排除するべく襲い掛かる。
しかし、冷静さを失い錯乱して激情のままに挑んだことやチェイスが迷いを振り切り戦ったことで圧倒されていき、『アクロスブレイカー』を胸部中枢に受け取り込んでいたロイミュードたちのコアを全て解放されてしまい、さらにはフェザーサーキットも効力を失ってしまう。追い討ちをかけるように「これはお前に返す」と自身がチェイスに与えたもう一つのツール『ライノスーパーバイラルコア』をブレイクガンナーで撃ち出され大ダメージを負い、逃走することすら出来なくなってしまう。
「そんな、チェイス……あなたを救える天使は、私だけだったのにぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」
怨嗟の絶叫を上げた後に立て続けに放たれた『チェイサーエンド』を喰らい自身の野望諸共粉砕され絶命した。
なお、彼女の配下だった6体のロイミュードはいずれもこの時点では生存し、ハートたちの派閥に合流したが、程なくして蛮野天十郎が台頭した事により実質的に蛮野の傀儡に成り果て、一部はプログラムを書き換えられ自我すらも奪われて全員使い潰しにされるというエンジェルの傘下にいた頃よりも悲惨な末路を迎えている。
余談
山崎真美女史は過去に『轟轟戦隊ボウケンジャー』で風のシズカを演じていた。