概要
英語のLookismのカタカナ表記。
主に身体的…平たく言うと「見た目」が魅力的ではない事を理由とした差別や偏見を指す(匂いや声等も判断基準に含まれる例もある)。
近年叫ばれているダイバーシティの真逆を行く差別行為ということで、世界中で問題となっている。ルッキズムがいじめ、パワハラ、セクハラ、DVといった社会問題と結びついているケースも多い。
「人を見た目で判断してはいけない」と学校のみならず漫画やアニメで繰り返し教わっているにもかかわらず、ベリーショートでマッチョな見た目のほうが性格も「男らしい」、ロングヘアでスカートをはいているほうが内面も「女らしい」と判断したり、肥満体型の人物や不衛生な人物と関わる事を避ける傾向にある。
勿論、美醜が能力の優劣の根拠とならない事は理解していても、どうしても見た目で評価を行い偏見を抱いたり決めつけを行ってしまうのが、ルッキズムの厄介なところである。
こうしたルッキズムは視覚的情報に強く依存する人間の視覚システムの働き方の産物であり、行動選択の際に美醜を判断基準としないという判断を行う事は出来るものの、内心から根絶することはほぼ不可能と思われる。
その理由は、美醜という嗜好が生物の本能に由来する部分を多分に含む為である(赤子や人間以外の生物にすらルッキズム的行動が見られる)。
注意しなければならないのは、美しいもの・可愛いものを好む事自体は悪では無く、その様な個人の嗜好まで批判の範囲を広げる行いは権利・自由・多様性を否定する危険思想であり、行ってはならない。問題点の根源は、個人の嗜好自体にある訳では無く、個人の嗜好を押し付ける事で他者に不利益を与える事にあり、批判が許されるのはその点のみであるという事を肝に銘じる必要があるのだ。
フィクションにおけるルッキズム
創作物で主役(主人公側)を 「清潔感」が漂う美男美女に描き、悪役やモブを化け物のように醜く描くというキャラクター設定は古来より定番となっている。
また、デブよりスリムのほうが、貧乳よりも巨乳のほうが見た目で価値があるとする視点に立った日本の漫画やアニメは非常に多い。
俗に「かわいいは正義」「かわいいから許す」といった言い回しがあるが、裏返すと単純に対義語は「ブサイクは悪」「ブサイク有罪」となる。
これも人間は美しいほうに重きを置くというルッキズムによる。
(ただし、論理学の観点からは「かわいいは正義」から「ブサイクは悪」という結論を導き出すのは誤謬にあたる。そのため、「かわいいは正義」と主張している者=「ブサイクは悪」と主張している者という図式は成り立たないので注意が必要である)
フィクションにおいて人間以外(特に、人型から遠い生き物)が主役で人間が脇役の作品は非常に少ないのは、大衆の嗜好(作者含む)が人間に近い造形を好むという実情を反映しているという面もある(人間以外のキャラを描く作画上のハードルの高さ等の理由もあるが)。
人間以外に対するルッキズム
スーパーで果物や野菜を買う時などに選別の決め手になるのはもちろん「見た目」である。店先に並ぶのは均整な見た目の品を並べる傾向が強い。しかし実際には見た目の均整さと味等の品質は比例関係にあるとは限らない。ちなみに均整さを欠くが高品質な品はその価値を理解している者達が取引・消費している。
装飾目的の宝石や金属等も、産業的有用性は考慮されず評価基準は「美しさ」と「希少性」に重きを置く。
ルッキズムによる被害事例
「見た目が悪い人間を見た目の悪さを理由に容姿を磨くのを阻止する」という苛めも存在しているとか。
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