地獄へ堕ちろ
概要
2010年に公開された、劇場版BLEACH第四作。『BLEACH』連載10周年記念作。
時系列は設定からして明らかに破面・空座決戦篇と被っており、完全にパラレルである。(破面篇終了後は一護が死神の力を失っており、死神代行消失篇以降は容姿が変わり虚化もしなくなるため。)
恐らく日番谷が雛森ではなく藍染を刺せたパラレルなのであろう。
なお、原作でも当初は尸魂界と別の世界のように言われていたが、千年血戦篇においては現世、尸魂界、虚圈の三界しかないという設定が出ており地獄について全く触れてないため、どのくらい原作と設定が同じなのかは不明。(原作では尸魂界のどこかにある設定なのかもしれない。)
また、作中の設定の仕様で魂魄バランスが保てるのかも不明。
本作は原作者監修だったが、作者と監督との間にトラブルが発生し、本来出来ていたシナリオが全く反映されていないものが出来上がってしまったという経緯がある上、ゲームの劇場版シナリオで唯一個別シナリオが存在しない、のちに読み切りとして掲載された新章における地獄の設定が全く異なることなど、半ば黒歴史扱いの状態のため、本作の出来事や設定が本編に反映されることは殆どないと考えられる。
ストーリー
地獄―。
生前、大罪を犯した者が送り込まれ、死神も関わることを禁じられている場所。
そこに囚われている凶悪な咎人たちが反乱を起こした。彼らが狙ったのは一護たちの住む空座町。
圧倒的な力を持つ咎人に、一護たちは次々と捻じ伏せられ、一護の妹・遊子が攫われてしまう。
そんな彼らを救ったのは、謎の男「コクトー」。
一護は現世を護るため、ルキア・雨竜・恋次と、そしてコクトーと共に、禁忌の場所・地獄へと乗り込む。
今、一護たちと咎人との終わりなき死闘がはじまった。
オリジナルキャラクター
地獄とは?
原作では巨大な門しか登場しなかった、現世で大罪を犯した極悪人の堕ちるもう一つの「あの世」。虚や破面は死神に倒される=浄罪を行われると、虚・破面になってからの罪は償われるが、生前の罪に関しては一切ノータッチとなる。その判断を下す閻魔大王的な人がいるのかどうかは不明。
地獄には護廷十三隊のような行政機関は一切無く(設定にはあるのかもしれないが映画中では登場しなかった)、クシャナーダの圧倒的な暴力が支配する無法地帯となっている。
地獄内部は猛毒の瘴気が充満しており、生物ならば死にかねず、整や死神でも正気を保っていられないという。瘴気だけに。
また、この瘴気は潜在能力解放の作用もあるため、その影響で、一護は意思に反して虚化・完全虚化している。
階層
地獄の門
原作2巻で初登場した、巨大な骸骨が象られた門扉。ここからクシャナーダは亡者を捕らえ、地獄に堕とす。
朱蓮たちはこの門を破壊し、瘴気を一気に現世に流し込み、その気に乗じて現世に脱走するつもりだった。瘴気が全て流出すれば、やがて地球(現世)総てが地獄となる。
クシャナーダが開けた場合は地獄の門が出現するが、咎人が開けた場合は黒膣のような穴の形で現世と繋がる。
一護達はコクトーの案内で地獄に来たため、当初は後者の形で地獄に潜入した(中盤からは前者の形になるが)。
穴の開け方や穴の中の構造は作中の描写が一切ないため不明。
第1階層
地獄の門、あるいは強引に現世から抉じ開けた孔から侵入した場合、最初にここに辿り着く。
血のように赤いどんよりした空の下、虚圏を思わせる白い柱が無数に立ち並び、その隙間を青い道路が走っている。
ここにいる咎人は下の階層からの脱走者であり、クシャナーダとの戦いで心が折れ、廃人と化して嘆き続けているいわば「負け犬」。ひとたびクシャナーダが現れれば、泣き叫び、逃げ惑うばかり。いずれ殺され下の階層に堕とされてしまうのだ。
第2階層
第1階層から開いた地割れの奥底にある。
菫色の空が広がり、全体が鏡のような濃紺の毒水で覆われている。その中にポツンポツンと蓮の花のような形の巨大な岩が浮かび、クシャナーダの遺骨が納められている。
第3階層
第2階層の海を抜けた底にある。
周囲は岩場がゴロゴロしている荒れ地が広がっており、強酸の湖や滝が点在している。その先には広大な砂漠が広がっているが、その砂の原料はクシャナーダに殺され続けて形を失った咎人の成れの果てである。
その砂漠の果てに存在するマグマが燃え滾る窯の中で、地獄で死んだ咎人は業火に焼かれながら再び肉体を得る。朱蓮たちはここに居を構え、一護を待ち受ける。
最下層
砂漠の下に存在する、分厚い雷雲の下に隠された真の最下層。ここにはクシャナーダの巣がある。
第3階層の窯から吹き出すマグマが湧き出ている火山脈で、最終決戦の場となった。地獄に堕ちた者はここで腐るのを待ち、咎人となって第3階層の窯から再び生を受け、そして死んでいく。
咎人
コクトー「俺たちの力はいわば『怨念』 それは地獄で唯一 自分が自分である証だ」
地獄に堕ちた者の事。常に因果の鎖に似た「地獄の鎖」で魂を縛られ、生前犯した罪を責められ続ける苦役を受ける。咎人は何回殺されてもすぐに生き返り、またあらゆる拷問や処刑を受け続け、その度に姿形がどんどん異形化していく。
咎人は地獄の鎖で魂を縛られている限り、たとえ地獄の門をぶっ壊そうが真の解放とはならず、クシャナーダに首根っこを掴まれている状態になる。
クシャナーダと戦い、何千何万回と死と再生を繰り返すうちに、咎人は限界を向かえていき、最終的に白骨化して砂となって崩れ落ち、地獄の業火に焼き尽くされる。よって、長生きしている咎人はとんでもなく根性のある、善の心を全く持ち合わせない極悪人という事であり、長生きしていればしているほど、そいつの戦闘力は高くなっていく。
なお、地獄で一度でも死んでしまうと、その者が現世や尸魂界の住人であっても咎人となる。瘴気を吸い過ぎた遊子に鎖が生えたのもこのせいである。裏を返せば、鎖を断ち切ることが出来れば元に戻るわけである。
また、咎人は何度も殺されるうちに生前の記憶が少しずつ薄れていき、自分の名前すら忘れてしまうため、体などの特徴を自分の名前にしている。
咎人は現世に出現する際には太極図のような仮面と、黒いフードで身を隠す。これはクシャナーダに感知されないようにするためであり、お約束通りこの姿になると戦闘力が下がる。
クシャナーダ
初出は原作2巻のシューリーカー戦だが、原作では黒縄天譴明王を髣髴とさせる武者の姿をしており今作とはデザインが大分異なる。
今作では顔と胴体が白骨化したヒヒのような巨大な怪獣の姿をしている。
詳細は該当項目参照。
スカルクラッド
一護が今作でのみ変身するオリジナル形態。クシャナーダから与えられた力であり、その戦闘力は完全虚化よりも遥かに高い。
変身する際、力を与えたクシャナーダと融合(吸収?)しているように見えるが詳細は不明。
この形態から放たれる月牙は文字通りの三日月になっているほか、一撃で決める辺りなど無月(黒髪)一護を髣髴とさせるシーンになっている。
なお、この形態になっている間はクシャナーダから味方扱いされるが、変身を解除すると再びクシャナーダが敵に戻ってしまう。
また、あくまでクシャナーダから一時的に与えられているだけに過ぎないため、再びクシャナーダから力をもらわない限りこの形態に再変身することも出来ない。