概要
古くは古代ギリシア時代から提唱されていた概念で、沼地や湿地のような悪い土地だとか悪い水、悪い空気などから発生し、吸った者の体液のバランスを崩してマラリアのような病をもたらすと考えられていた。また、瘴気を吸って病を患った人間もまた瘴気の発生源となるとされていた。
無論実際には瘴気のような物質は存在せず、感染症は細菌や寄生虫などによって引き起こされるのだが、特にマラリアを媒介する蚊は確かに沼地や湿地のような場所に多いし、"悪い水や空気を避ける=衛生環境の向上"という効果をもたらすので、病気を呪いや祟りの類と考えるよりかはよほど合理的で進んだ説だと言える。
19世紀後半にコッホが炭疽症の原因が菌であることを実験的に証明して以来様々な病原体が発見され、瘴気の存在は科学的に否定されることとなった。
フィクションでは
作品によって扱いに幅はあるが、概ね人間や普通の動物にとっては有害な気体として扱われている。
ただし魔族や魔物は吸っても平気、あるいは瘴気の無い人間界よりもパワーアップするという設定が付くことも多い。
また人間を操る、人間を魔物化するなどの作用を持つこともある。
作品によっては「人間を超えた超常の力を持つ者達の内、悪側の者達の力や生命の源となる『気』『魔力』『霊力』など一種」の意味にも使われる。
普及したきっかけとしては、瘴気を発生する腐海をストーリーの中心に据えた『風の谷のナウシカ』の影響が大きい。
腐海に適応した蟲以外の生物は、濾過のためのマスクを通さずに吸い込むとあっという間に死んでしまう設定であった。