概要
かつて「本物以上の完成度を誇る」と言われた伝説の偽札。
ルパン曰く「世界史の裏で暗躍し続けてきた」偽札であり、このゴート札の流通によりブルボン王朝は崩壊し、後にはナポレオンの資金源として利用され、近代では世界恐慌の引き金にもなるなど歴史の陰に常に存在し続けていた。
カリオストロ公国の財源であり、同時に世界各国の暗部で長年活用されてきた歴史的政治材料でもある。そのため、なかば国際社会から黙認されている偽札であり、公表しようものなら各国政権の信頼が暴落しかねないほどのスキャンダルになるため、国際警察(インターポール)上層部も「政治的配慮」の名の下に見て見ぬふりをしてきた。
イメージシーンを見る限りでは、かつては紙幣だけでなく貨幣の偽造も行っていたようで、これに関しても金属の比重さえ誤魔化せるほどの製造技術を有していた模様。
少なくともルパン程の高度な真贋を見抜く術(能力)が無い限り、素人にはまず見抜けない程巧妙かつ精巧に作られているらしく、冒頭の国営カジノから盗み出した大量の札束が偽札である事を知った次元や、後述の工房にたどり着いた銭形でさえ、これが偽札である事とその量に驚愕していた。
本工場はカリオストロ公国にあるカリオストロ城で、城内の礼拝堂の隠し階段の先にある「地下工房」で製造され、伯爵家が代々ゴート札製造を取り仕切っている。
この秘密を守るために、城は『侵入者抹殺』を重点に置いた過剰なまでの仕掛け・対策がとられており、一度落とされれば二度と這い上がれないと言われる広大な幽閉壕まで作られている。
この幽閉壕には、これまでゴート札を探って失敗・幽閉された者達の夥しい数の遺体が散乱しており、その中に明治時代の日本軍の軍偵だった男(付近の壁に遺言が刻まれており、遺体の状況からして拳銃自殺と思われる)の遺体をルパンが発見している。
地下工房では円(日本)、ドル(アメリカ)、マルク(制作当時の西ドイツ)、ポンド(恐らくイギリスのスターリング・ポンド)、フラン(当時からして恐らくフランス・フラン)、ルピー(インド)、ペソ(スペイン)、リラ(トルコ)、ウォン(南北どちらか不明。制作当時は北のほうが豊かだったと言われている)等々、作中で判明しただけでも10ヵ国以上ものゴート札が製造されて世界各国で密かに流通しており、峰不二子がクラリス付きの召使いとして潜入し、手に入れようとしていたのもこのゴート札の原版である。
だが、最近は最新印刷機の導入や流通経路の拡大など生産ノルマを上げた弊害で、精巧度が過去に比べて(まだ問題になる程ではないが)低下していることが、製造責任者の進言と伯爵の指摘から明らかになっている。
ルパンも過去に一度、このゴート札の出所を突き止めようと城に潜入したことがあるが、若さゆえの慢心から命を落としかける重傷を負い、以降この件からは身を引いていた。
そしてこの時に死にかけていたルパンを見つけたのが、クラリスとその愛犬のカールであった。
その後、地下壕に閉じ込めたルパンと銭形警部の脱出を許してしまい、その所在を発見されることになる。
銭形はこの地下工房の存在を政治的利用価値からもみ消そうとする国際警察上層部の態度に憤慨し、公にするためにルパンの伯爵とクラリスの結婚式襲撃事件のどさくさに便乗。
事件発生と同時にカリオストロ城に機動隊を率いて突入すると、礼拝堂で繰り広げられる警官隊と衛士隊の激しい渡り合いの最中に隠し階段にカメラマンに扮した不二子と共に地下工房に侵入。
「ルパンを追いかけていたら偶然発見した」という体を装って、全世界の衛星テレビ中継のモニター前で白々しい芝居(それを見たインターポール長官曰く「わざとらしくやりおって…」)と共にカリオストロ公国によるゴート札製造の事実を白日の下に晒した。
その後は時計塔の仕掛けの作動で水道橋が壊れ、その影響で幽閉壕諸共地下工房は水没、ほどなくしてインターポールの捜査が入り、ゴート製造工房は完全に機能を失った。
1982年に発売された山崎晴哉の小説版では、元スイス大蔵省造幣局の主任技師を破格の高待遇を持って招聘していた設定で、さらに多くの国の指導者が密かに贋札作りを要請していた。
クラリスの父である大公はゴート札の廃止を伯爵に要請していたが、果たせず大火事で死亡した(小説版に限れば伯爵の謀略である可能性が濃厚)。
後日談として制作されたアドベンチャーゲーム「カリオストロの城-再会-」では、長きに渡る城の暗部を戒めとして残すべく設置されたモニュメントパークの一環として、地下工房の印刷機などが展示品として一般公開されている。
だが、カリオストロの真の宝を得るための調査資金としてジョドーが密かに工房を再建し製造を再開、更には地下幽閉壕も一切の脱出口を封鎖しつつ再建したが、再びルパン一味によって幽閉壕を突破された挙句に工房を潰された。