「消え失せろ、雑音共」
「英雄の作法を教えてやろう」
「願わくば、数多の『英雄』が子の前に立ちはだからんことを」
プロフィール
概要
神時代最恐と謳われた【ヘラ・ファミリア】の元幹部で、二つ名は【静寂】。
【ヘラ・ファミリア】の中でも異端の実力者で、幹部の中で群を抜いて若かったとの事。
三大冒険者依頼の一角である『海の覇王リヴァイアサン』討伐の立役者でもある。
外伝『ファミリア・クロニクルepisodeフレイヤ』にて、若かりし頃のオッタルが敗北した相手として存在が示唆されている。本編から7年前の物語『アストレア・レコード』では、闇派閥(イヴィルス)の首魁となったエレボスの協力者としてオラリオを攻撃した、闇派閥の切り札の一角。
人物像
容姿
長い灰色の髪と美しい顔をした女性で、目を開けるのも億劫と普段は閉じている。ちなみに目の色は右目が翠、左が灰色のオッドアイとなっている。スタイルはかなり良く、その為ファミリアが健在だった頃はゼウスに何度も胸を触られそうになっていたが、すべて魔法で迎撃しており、その後はヘラにチクっていたらしい。(話を聞いたエレボスは「よく送還されなかったなぁ、ゼウス……」と苦笑していた)
常に身に纏っている漆黒のロングドレスは、一見戦場に似つかわしくないように思えるが、実は魔導士であれば一目でわかる程に過剰なほどの魔力耐性を持つ『魔法衣』。そして、この装備は外部の攻撃を防ぐためのものではなく、強力過ぎるが故に余波や反動だけで防具をボロボロにしてしまう己の『魔法』から身を守るための装備であり、どこまでも規格外なアルフィアに相応しいと言える。
性格
かなり神経質でわがままな性格をしており、口より先に手が出るタイプ。二つ名通り静寂を愛しており、それを害するものは容赦なく叩き潰す。このように傲慢で面倒と、最恐最悪の女神と称されたヘラの眷族らしい女性だったと言える。
もっとも自分より体が弱かったメーテリアという双子の妹だけは愛しており、彼女の話だけは邪魔することなく最後まで聞いていた。但し、自分とは違い全く才能がなかった妹の事を「母の胎で妹の分の才能も奪った」と考えており、彼女に対して負い目もあった。
作中の行動
本編から7年前の『暗黒期』に、闇派閥に加担してオラリオに襲い掛かる。ザルドと共に『古代』のように神に頼らぬ英雄の時代を求めており、オラリオを破壊することで神時代の崩壊を画策するが、アイズ、リヴェリア、ガレス、そして【アストレア・ファミリア】との激戦の末、持病が限界に達し敗北。最期はオラリオの冒険者が黒き終末を乗り越える事に期待しながら、燃え盛る炎に身を投げ死去する。
能力
神時代以降、眷族の中で最も『才能』に愛され、周囲からは『才能の権化』にして『才禍の怪物』と恐れられていた。十代半ばの時点で既にLv.7に到達していた模様で、ステイタスは『器用』『敏捷』『魔力』に特化しており、『魔力』に至っては限界突破していた。
戦闘では超短文詠唱の魔法を駆使し、桁違いな攻撃はおろか、魔法による砲撃も『無効化』する。接近戦では規格外の身のこなしで対処し、どの距離においても隙がない。また、一度目にした動きは完璧に模倣する事が可能で、作中では同じLv.7のザルドの剣技の再現をしている。このように『才禍の怪物』という異名は伊達ではなく、作中でガレスから「才能という理不尽な武器で敵を蹴散らす暴力の化身」と称されている。
作者曰く、アルフィアのクラスになるとLv.差を普通に覆せるので、Lv.9だった【ヘラ・ファミリア】の団長にもワンチャンで勝てたらしく、もしゼウスとヘラの団長が同じLv.帯だったらアルフィアが確実に勝ってたとの事。ちなみに仕組みさえ分かれば70階層の『ジャガーノート』にも圧勝できるらしい。
このように規格外の才能を持っていたが、生まれつき不治の病を抱えており、その難病は『神の恩恵』で悪性のスキルとして発現してしまい、長時間は戦うことができないという欠点を持つ。リヴェリアからはこの病がなかったらLv.7程度には収まらなかっただろうと称されていた。
妹のメーテリアもこの病を抱えており、これが原因で自分より先に死去する事になる。
ステイタス
Lv.7
力 | 耐久 | 器用 | 敏捷 | 魔力 |
---|---|---|---|---|
E548 | G202 | S999 | S999 | SS1001 |
魔導 | 耐異常 | 魔防 | 精癒 | 覇光 |
C | E | E | E | I |
スキル
- 才禍代償(ギア・ブレッシング)
生まれつき患っていた不治の病が影響で発現したスキル。能力(ステイタス)の常時限界解除(リミット・オフ)を約束する代わり、交戦時及び発作時、『毒』『麻痺』『機能障害』を始めとした複数の『状態異常』を併発し、発動中は半永久的に能力値(アビリティ)、体力、精神力の低下を伴い続ける。このようにデメリットが多いスキルだが、『神の恩恵(ファルナ)』を刻むと同時にスキルが発現されてしまい、主神のヘラにもどうする事も出来なかったらしい。
- 双分運命(アルメー)
詳細不明。
- 奏律曲光(ヴェル・アルドーレ)
詳細不明。
発展アビリティ
- 魔導
威力強化、効果範囲拡大、精神力効率化。魔法を使用する上で様々な補助をもたらす魔法円を作り出す事ができる。
- 耐異常
状態異常の症状を防ぐ事が出来る。
- 魔防
作中で詳しい効果は説明されていない。魔法攻撃に対する耐性が強化されるアビリティと思われる。
- 精癒
少量だが精神力(マインド)の自動回復が出来る。魔導士にとって貴重なレアアビリティ。
- 覇光
詳細不明。
魔法
- サタナス・ヴェーリオン
詠唱式:【福音(ゴスペル)】
音の塊を放って攻撃する魔法。超短文詠唱だが、余波だけで平衡感覚をズタズタにする絶望的な破壊力を誇る。その上、射程距離も長く、音なので攻撃が不可視というチート級の魔法。また、スペルキー【炸響(ルギオ)】を唱えることでその場に残っている音の魔力を起爆することも可能で、その威力は最初に発動した魔法と同等。通常のスペルキーは自動追尾の魔力弾やビームなどを任意のタイミングで爆散させるものだが、このスペルキーはもう一度魔法を発生させる『二段構えの砲撃』となる。
- 静寂の園(シレンティウム・エデン)
詠唱式:【魂の平静(アタラクシア)】
敵の魔法を完全に『無効化』する魔法。しかもこちらも超短文詠唱。作中でアルフィアは、この魔法を使う際は手をかざして盾のように構えているが、実は展開していたのは『障壁』ではなく『鎧』。つまり全身に纏うエンチャントがこの魔法の正体。その為360度どこから魔法を撃たれようが無効化できる。しかし、このエンチャントは『中』にも作用するので、自分の放つ魔法の威力が著しく下がってしまうという欠点があるが、逆に言えばこの魔法を解いた時こそがアルフィアの真の力を見せる時となる。
- ジェノス・アンジェラス
詠唱式:【祝福の禍根、生誕の呪い、半身喰らいし我が身の原罪】【禊(みそぎ)はなく。浄化はなく。救いはなく。鳴り響く天の音色こそ私の罪】【神々の喇叭(らっぱ)、精霊の竪琴(たてごと)、光の旋律、すなわち罪禍の烙印】【箱庭に愛されし我が運命(いのち)よ砕け散れ。私は貴様(おまえ)を憎んでいる!】【代償はここに。罪の証をもって万物(すべて)を滅す】【哭け、聖鐘楼】
自身の頭上に灰銀の巨大な『鐘』を顕現させ、咆哮に似た轟音と共に周囲一帯を全て滅する魔法。超長文詠唱で発動まで時間がかかるのが弱点だが、その分威力は【サタナス・ヴェーリオン】とは比較にならない。当然並行詠唱も可能で、これにアルフィア自身の身体能力と動きが合わされば、詠唱を始めたが最後止めることはほぼ不可能に近い。
三大冒険者依頼の一角たる『海の覇王リヴァイアサン』にトドメを刺したのもこの魔法。もっとも強大極まる威力の分、身体にかかる負荷も尋常ではなく、事実この技でリヴァイアサンにトドメを刺した後、アルフィアの病状が悪化した。
詠唱の内容を見てみると、アルフィア自身や最愛の妹メーテリアに関する言葉が散りばめられている。
アルフィアの真意とその正体
以下、ダンまち本編の根幹に関わる重大なネタバレがあります。
『神時代』を破壊して『古代』の時代を再現させるという目的はただの建前で、アルフィアの本当の狙いは、不治の病に侵されて残り少なくなってしまった自分の命を『踏み台』にしてオラリオの冒険者を強くする事。
ファミリアが『黒竜』に敗れて壊滅した後は、下界が滅ぶのを少しでも遅らせる為に【ゼウス・ファミリア】の生き残りであるザルドと共に世界三大秘境の一角である『竜の谷』で門番として生きていたが、病を治す術はなく寿命は確実に尽きようとしていた。
残り少ない命をどう使おうかと思い悩んでいたある日、彼女たちの元に訪れたエレボスから、オラリオの冒険者たちに試練を与える為、あえて悪役を演じてオラリオを襲う事を提案される。この提案を呑めばどんな結末に至ろうと、未来永劫人類の大罪人として名を残すことになるが、「世界に希望と未来を残すため」とザルドと共にこれを承諾。そして始まったオラリオと闇派閥の最終決戦で、アルフィアは【アストレア・ファミリア】に敗北。結果、アルフィアが命を賭けて残した希望と未来は【アストレア・ファミリア】の生き残りであるリューに託される事となったと言える。
また、ザルドとエレボスとの会話で、アルフィアの妹メーテリアには息子がいたことが明かされたが、その息子の名は「ベル・クラネル」。そう、英雄への道を邁進する本作主人公。つまり、アルフィアの正体は主人公の伯母だったのである。
もっとも上述にある通りファミリア壊滅後は『竜の谷』で門番として生きる事を選んだので、甥のベルとは生涯会う事はなく、ベルもアルフィアの存在を知らない。ザルドからは「子供に会わなくてよかったのか?」と質問されていたが「おばさんと呼ばれるのは嫌だから会いたくない」と冗談めいた答えを返していた。ちなみに、アルフィアが魔法を発動すると鐘の音が鳴るが『アストレア・レコード』の特典SSにて、これがベルの名前の由来となっていることが判明している。
アルフィアは『正邪決戦』の果てに妹の子が戦わなくて済む未来を望んでいたが、ベルがもし母親の血に導かれ、オラリオにやって来たその時は、多くの『英雄』から洗礼を受け、いくつもの壁を越え、強い冒険者になる事を。そうして成長したベルもまた、『英雄』へと至らん事を心から願っていた。
そして今、ベルはオラリオへと辿り着き、数多の壁を乗り越えて英雄への道を突き進んでいる。アルフィアたちが願った希望ある未来への道を、図らずともベルは歩み続けているのだ。
また、作中でリューはベルの所属する【ヘスティア・ファミリア】に入団したが、奇しくも自分が最後に希望と未来を託した女性は、自身の最愛の妹の子であるベルと共に歩む事になったとも言える。
それは遥か彼方の静穏の夢
原作者が書いたアルフィアIFでは、もしオラリオに行かなかったアルフィアが甥と暮らすことを選んだら…という展開が描かれている。
もし彼女が甥と暮らすルートを選んだら、マザーパワーで長生きし、本編で彼に惹かれるヒロインたちの前に現れ、ラスボスとなると言われている。
「嫁の作法を教えてやろう」
余談
- 【ヘスティア・ファミリア】の最初のホームについて
【ヘスティア・ファミリア】の最初のホームである廃教会は、妹メーテリアが愛していた場所で、アルフィア自身もその教会に思い入れがあった。しかし、その教会は本編6巻を見ればわかる通り、【アポロン・ファミリア】の卑劣な策により完全に破壊されてしまった。その為、もしアルフィアが現代まで生きていた場合、【アポロン・ファミリア】は彼女の怒りを買って一人残らず滅殺されていた事は間違いないだろう。
- ベルの女装姿について
『メモリア・フレーゼ』のイベントストーリー「ダンジョンにRPGを求めるのは間違っているだろうか」では女装したベルこと、通称「ベル子」が実装されたが、どことなくアルフィアの面影が垣間見える。こんな甥の姿にアルフィアは何を思うのだろうか…。ちなみに、姿が解禁される前のシルエットの時点では、ベルの母であるメーテリアないかという予想もあった。
- 甥との共通点
ベルとアルフィアの戦闘スタイルだが、「使い勝手の良い超短文詠唱の魔法を扱う」「魔法やスキルの発動時に鐘の音が鳴る」「アビリティの限界が突破している」など共通点も多い。
本来才能に恵まれなかったはずが、幾つもの出会いを経て覚醒した本編のベルの姿は、アルフィアの甥としての側面も含まれているのかもしれない。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ
トキ(北斗の拳)・・・才能に愛されながら不治の病に冒され、高みへの道を閉ざされた悲運の天才繋がり。
鑢七実・・・こちらも不治の病に冒された姉であり、一度見た動きを模倣できる特技を持つ。ただし、こちらは動きだけでなく相手の特殊能力やパワーをも完璧にコピーできる。ちなみに中身は正義の女神様で、そして彼女の弟の中身は甥っ子の兄貴分。
神裂火織・・・こちらは才能に愛された中の人繋がり。またベル同様幸運持ちでもある。なお、一見歳が近く見えるがアルフィアよりさらに6つ年下である。
土御門元春・・・上記の神裂の同僚で、ある事情から魔法を使うたびに吐血するという共通点がある。