「俺がなぜここにいるか、だと?」
「最強の派閥(ゼウス)が消えた。ならば相応の戦場を求めるまで…それで納得できないか?」
「願わくば、数多の『英雄』が子の前に立ちはだからんことを」
プロフィール
概要
神時代最強と謳われた【ゼウス・ファミリア】の元幹部で、二つ名は【暴喰】。
派閥内では【ロキ・ファミリア】でいうとガレスのような立ち位置だったとの事。
三大冒険者依頼の一角である『陸の王者ベヒーモス』討伐の立役者でもある。
本編から7年前の物語『アストレア・レコード』では、エレボスの勧誘に乗り、神時代を終わらせるために闇派閥(イヴィルス)に協力することになる。
人物像
容姿
臙脂色の短髪と目元には獣に斬り裂かれたような深い傷跡がある筋骨隆々の大男で、現在確認されている登場人物の中では一番の巨漢の持ち主。本作では珍しくかなりの重装備で、戦闘時は黒い全身鎧を身に纏っている。
性格
見た目通り無骨な武人肌の性格の持ち主で、その姿は現都市最強の冒険者であるオッタルにも多大な影響を与えており、作者曰くオッタルにとってザルドの背中=武人だったとの事。また、『殺す』事と『喰う』事は同義だと思っており、そのためか戦闘を食事の様に表現する事が多い。
一方で飲み比べでガレス達に勝った後、潰れた彼の額に「牛肉(ミノ)」と書いたりと愉快な所もあった模様。(ちなみに同じ目にあったロキは、後日フレイヤに大笑いされ、腹いせにフレイヤに落書きを試みたが、オッタルたちに神殺し覚悟の殺気を飛ばされて断念した)
そんな彼もヘラは恐怖の対象だったらしく、ファミリアの一番下っ端だったサポーターがヘラの眷族を孕ませたと聞いた時は、ファミリアが壊滅状態であるに関わらず、一人でずっと怯えていたらしい。
昆虫やモンスター、そして人の死肉とありとあらゆるものを食らってきた『強食』にして『悪食』の持ち主で、彼の二つ名である【暴喰】もこの異常な食生活から来ているものと思われる。もっともこれはザルドの趣味や嗜好だけではなく後述のレアスキルの影響もある。
ちなみにこんな異常な食生活をしている事もあってか、内臓もかなり強靭で、シルの殺人弁当も完食可能との事。また、意外なことに割と食にはこだわるタイプらしく、彼が作る料理は絶品らしい。
作中の行動
本編から7年前の『暗黒期』に、闇派閥に加担してオラリオに襲い掛かる。アルフィアと共に『古代』のように神に頼らぬ英雄の時代を求めており、オラリオを破壊することで神時代の崩壊を画策するが、当代最強の冒険者であるオッタルとの死闘の末に敗北。最期はフレイヤに看取られ、満足げに息を引き取った。
能力
戦闘では大剣を使い、派閥内では超前衛を務めていたとの事。神時代最強と謳われたゼウスの眷族らしく高水準のステイタスの持ち主で、中でも『力』と『耐久』のアビリティは極めていた。技と駆け引きも当然高レベルで動きに予備動作がなく、作中で対峙したアレンはザルドの挙動が全く見えなかった。
作者曰く、ザルドのクラスになるとLv.差を普通に覆せるので、Lv.8だった【ゼウス・ファミリア】の団長にもワンチャンで勝つ事が可能で、仕組みさえ分かれば70階層の『ジャガーノート』にも圧勝できるとの事。幾つもの修羅場を潜り抜けて来た事もあってか洞察力も非常に高く、対峙した相手の戦歴や状態なども一目で看破する事が出来た。
このように規格外の実力を有していたが、大抗争の時点ではベヒーモスの猛毒に蝕まれて弱体化しており、全盛期の強さではなかった。その為、ザルドに勝利したオッタルも真っ当な勝負ではなかったと語っている。
ステイタス
Lv.7
力 | 耐久 | 器用 | 敏捷 | 魔力 |
---|---|---|---|---|
S999 | S999 | S902 | C673 | D515 |
狩人 | 耐異常 | 破砕 | 剛身 | 覇撃 |
D | E | F | F | I |
スキル
- 神饌恩寵(デウス・アムブロシア)
ザルドの二つ名の由来でもあるレアスキル。能力は強喰増幅(オーバーイート)。獣・人・モンスターなど万物を喰らうことでスキルの発動中、自身の能力を向上させる。食らう物によっては微々たる上昇しか見込めないが、対象が強ければ強いほど上昇値は高まる。
弱点は、自分のLv.と大きくかけ離れた力を発揮することはできないこと。具体的には、Lv.7の器でLv.10相当の力を行使すると肉体が弾け飛んでしまう。そもそも自分のLv.以上の力を発揮すること自体、喰らう獲物のポテンシャルの高さも求められるために、かなりハードルが高い。
かつてベヒーモスと戦った際にもこのスキルを使い、トドメを刺すためにベヒーモスの猛毒の肉体を喰らうという無謀ともいえる賭けに出る。結果、修羅と化したザルドの一撃でベヒーモスの討伐には成功したものの、ザルドの身体はベヒーモスの猛毒に侵され、呪いのように身体が内側から腐っていくというあまりに大きな代償を支払い、戦線を離脱する事となった。これがザルドが冒険者を半ば引退した真相である。
- 冒力冒身(アル・クエスター)
詳細不明。
- 肉蹂肉塊(ニグル・グルメン)
詳細不明。
発展アビリティ
- 狩人
Lv. 2ランクアップ時にのみ会得可能なアビリティ。一度交戦し、経験値を獲得したことのあるモンスターとの戦闘時に能力値が強化される。
- 耐異常
状態異常の症状を防ぐ事が出来る。
- 破砕
詳細不明。
- 剛身
詳細不明。
- 覇撃
詳細不明。
魔法
- レーア・アムブロシア
詠唱式:【父神(ちち)よ、許せ、神々の晩餐をも平らげることを。】【貪れ、炎獄(えんごく)の舌。喰らえ、灼熱の牙!】
顕現した極大の焔を武器に纏わせて放つ炎の斬撃。明記されたわけではないが『陸の王者ベヒーモス』もこの魔法で討伐したと思われる。
ちなみにアムブロシアとはギリシャ神話に登場する不死を意味する食べ物である。
装備
- グラトール
彼が保有する漆黒の大剣。メモリア・フレーゼでは《暴烈の大災塊》と表記されていた。
ザルドの真意
以下、ネタバレにつき注意。
『神時代』を破壊して『古代』の時代を再現させるという目的はただの建前で、ザルドの本当の狙いは、ベヒーモスの猛毒に侵されて残り少なくなってしまった自分の命を『踏み台』にしてオラリオの冒険者を強くする事。
ファミリアが『黒竜』に敗れて壊滅した後は、下界が滅ぶのを少しでも遅らせる為に【ヘラ・ファミリア】の生き残りであるアルフィアと共に世界三大秘境の一角である『竜の谷』で門番として生きていたが、毒に侵された体を治す術はなく寿命は確実に尽きようとしていた。
残り少ない命をどう使おうかと思い悩んでいたある日、彼らの元に訪れたエレボスから、オラリオの冒険者たちに試練を与える為、あえて悪役を演じてオラリオを襲う事を提案される。この提案を呑めばどんな結末に至ろうと、未来永劫人類の大罪人として名を残すことになるが、「死後の名声には興味ない」とアルフィアと共にこれを承諾。そして始まったオラリオと闇派閥の最終決戦で、ザルドはオッタルに敗北。結果、ザルドが命を賭けて残した希望と未来は、当代最強の冒険者であるオッタルに託される事となった。
上述にある通りファミリア壊滅後は『竜の谷』で門番として生きる事を選んだので、【ゼウス・ファミリア】の最後の子供であるベルとは生涯会う事はなかったが、「あの馬鹿の息子なら間違いなく俺達の家族」「一目見ておくんだったか」と語っていた。(ザルドは死の間際に一つだけで後悔している事があると言っていたが、恐らくベルに会わなかった事だと思われる)
ベルがもし父親の血に導かれ、オラリオにやって来たその時は、多くの『英雄』から洗礼を受け、いくつもの壁を越え、強い冒険者になる事を。そうして成長したベルもまた、『英雄』へと至らん事を心から願っていた。
そして今、ベルはオラリオへと辿り着き、ゼウスの系譜に受け継がれる「勝者は常に敗者の中にいる」と言う教えと共に、数多の壁を乗り越えて英雄への道を突き進んでいる。ザルドたちが望んだ道を、図らずともベルは歩み続けているのだ。
また、ザルドが最後に認めたオッタルは作中でベルに洗礼を与えたが、かつてゼウスの眷族に『真の最強』の力を教わった男は、奇しくもゼウスの義孫であるベルに『真の最強』の力を教える役割を担う事になったとも言える。
余談
- 『グランド・デイ』のタイトル画面
『メモリア・フレーゼ』1周年イベント『グランド・デイ』のタイトル画面で、一振りの大剣が砂漠に突き刺さっていたが、後に作者からこの大剣はザルドの元愛剣である事が明かされた。
万が一『グランド・デイ』が小説化した際は、ベルに引き抜かせたいとの事。
- アルフィアとの関係
ファミリア壊滅後はアルフィアと暮らしてたザルドだが、彼女との関係は恋人や夫婦などではなく、グータラな姪の面倒を見る叔父の気分だったらしい。実際、彼女の身の回りの世話は全部自分がやっていた模様。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ
宇髄天元・・・猛毒を操る災厄との激闘の末に引退した中の人繋がり。なお、こちらは完全に引退したため、最終決戦後も無事生き残った。