概要
作中最強のモンスターにして本作のラスボス。オラリオの冒険者たちがいずれ達成しなければいけない『三大冒険者依頼』の最後の一角。これを討伐した者は、名実共に『最後の英雄』の名を冠することになる。
太古の昔、『陸の王者ベヒーモス』や『海の覇王リヴァイアサン』と共に大穴より放たれた漆黒の竜。『迷宮神聖譚(ダンジョンオラトリオ)』最終章に登場し、『竜の王』『黒き終末』『生ける厄災』とも言われている。神々が下界に君臨する前、英雄史上最強と謳われる人物によって片眼を奪われ、オラリオの地から逃亡したとのこと。また、詳細は不明だが本作のメインヒロインの一人であるアイズ・ヴァレンシュタインの過去にも深く関わりがある模様。
現在は世界三大秘境の一つである『竜の谷』に結界で封印されているらしいが、本編の21年前にはアレンとアーニャの故郷を滅ぼしているので、完全には抑え込めていない可能性がある。『学区』はこの結界の強化方法を探していたらしいが、現在でも竜の谷からは凶悪な竜種が流出し続け下界の荒廃を進めている為成功したのかは不明。「アストレア・レコード」の特典SSによると7年前まではかつての覇者達が番人として結界を抜け出した竜種を討伐していた。
本編から15年前に神時代の象徴にして頂点と謳われた【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の二大派閥が討伐に挑むも失敗し、逆にファミリアが壊滅に追い込まれてしまう。この二大派閥の敗北はオラリオのその後の情勢には大きな影響を与え、ファミリアが壊滅状態に陥ったゼウスとヘラの両主神はオラリオを追放され、その後【フレイヤ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の二大派閥が新たに台頭。また、ゼウスとヘラという抑止力を失った影響により、活動を自粛していた『闇派閥(イヴィルス)』が活発化し、オラリオに暗黒期が到来するなど、時代が大きく動くことになる。
黒竜に戦いを挑んだ【ゼウス・ファミリア】の団長がLv.8、【ヘラ・ファミリア】の団長がLv.9、両ファミリアの幹部陣ですらLv.7という傑物揃いであったことが後に判明するが、この両ファミリアの総力を以ってしても敵わなかったことから、最低でもLv.10以上の力を有している可能性が高い。落ちた鱗すら通常のモンスターは怯えて近づかない程の威圧感を有しているので、『エダスの村』のようにモンスターの魔除けとして鱗を崇める集落も存在する。
作者によると対象の人物のLv.を1つ上げることが出来る『階位昇華(レベルブースト)』という規格外の魔法を有している春姫だが、黒竜の対抗策として登場させた面も少なくなかったとのこと。また、自分の一定範囲内にいる全ての眷族のステイタスを強化する事ができるアーディのスキルは黒竜戦必須級レベルと明言していた。
『メモリア・フレーゼ』の四周年イベント「アエデス・ウェスタ」で判明したことによると、黒竜討伐の失敗は神々にとってもかなりの想定外だったらしく、『オリンピア』の穢れた炎の除去は本来、黒竜討伐の後に行われるはずだった模様。
その為、プロメテウスはこの失敗を誰よりも悲しみ、ゼウスも負い目をずっと感じていたと言う。
考察
隻眼の黒竜のモデルとなっているのは、ベヒーモス、リヴァイアサンと共にユダヤの伝承で語られる幻獣・ジズではないかと予想されている。頭上は天の高さまで届き、更に翼を広げると太陽を覆い隠してしまう等、隻眼の黒竜と共通し得る設定を持っているのだが、隻眼の黒竜と異なってジズは怪鳥として描かれている。
また、「陸」を司るベヒーモス、「海」を司るリヴァイアサンが旧約聖書で語られているのに対し、「空」を司るジズの存在は語られておらず、それ故にベヒーモスやリヴァイアサンに比べてジズの知名度は極めてマイナーにもなっている。