概要
1972年10月から1973年3月にかけて、日本テレビ系で放送された。
国内におけるロボットアニメとしては『鉄人28号』に次いで2作目。さらに、あの『マジンガーZ』より2ヶ月早くロボットに人間が乗り込んで敵と戦うという概念を映像化した。
それゆえ、ロボットアニメ史の中でもそこそこ重要な作品に当たる。
2021年現在では、第25話のワンシーンを切り抜いた走るガンガー、並びに止まらないオルガの元ネタとして一部の人にはお馴染みとなっている。
あらすじ
生物の住む惑星の酸素と緑を奪い、死滅させる宇宙の侵略者ブラスター星人の手によって数多くの惑星が滅ぼされた。
ブラスター星人に滅ぼされたカンタロス星の女性科学者マヤ博士は自身が開発した「生きている金属」を持って地球に亡命。地球人の星博士と結ばれ、カンタローと言う息子を授かった。
やがてブラスター星人の魔の手が地球に迫っていることを察知したマヤは、生きている金属を海底火山のエネルギーで成長させ、スーパーロボット・ガンガーを完成させた。しかし脱出する際に追った光線の後遺症によって、マヤは地球とカンタローの未来をたくし絶命した。
カンタロス星が滅びてから10年後、遂にブラスター星人は地球に狙いを定め数多くの怪事件を引き起こす。マヤの遺志を継いだ星博士は地球人にブラスター星人の侵略を警告するも、世間の理解を得ることは出来なかった。
成長したカンタローはガンガーと共に、ブラスター星人の侵略から地球を守るために戦い続ける。
登場人物
地球人とガンガー
星カンタロー(CV:東美江)
ガンガー(CV:飯塚昭三)
星博士(CV:吉沢久嘉)
マヤ(CV:鈴木弘子)
早川リエ(CV:小沢かおる)
早川次長(CV:大宮悌二)
国際科学警察部長(CV:緑川稔)
ブラスター星人
ブラスター1(CV:寺島幹夫)
ブラスター2(CV:鈴木泰明)
ブラスター3(CV:清川元夢)
バッドスノー(CV:渡部猛)
ブラックフェアリー(CV:京田尚子)
コルヒドラ(CV:加藤精三)
レンズマー(CV:丸山詠二)
ブラスターデビル(CV:小林清志)
キャラクターとしてのガンガー
出生・設定
身長40m、体重2t。
カンタローの母「カンタロス星人・マヤ」が、ブラスター星人の侵攻に対抗するため、カンタロス星の「生きている金属」を用いて作り出された。
自らの意志を持ち、自律行動も可能。
カンタローの持つペンダントにより呼び出され飛来、カンタローを光と化し、胸部の円盤状の部品の中へ吸い込み融合することで、本来のパワーを引き出す。
融合した状態でも、カンタローとガンガーの意思は双方とも健在し、会話も可能。
巨大ロボットというより、巨大な金属塊の生命体とも言うべき存在で、厳密に分類するなら『ウルトラマン』をはじめとする巨大ヒーローに近い。武器は一切有しておらず、その巨体と怪力、徒手空拳で戦う。
また、背中にある噴射口からのジェット噴射で、飛行が可能。宇宙空間を航行し、別惑星で活動する事すら可能。
弱点は錆と急低温。劇中でもこの点を突かれ、何度もピンチに陥った。しかし生きている金属の特性により、熱を帯びると成長し、さらに攻撃への耐性を持つ事で、なんとか乗り切っている。
非戦闘時に関しては描写されていなかった。なので、普段はどこで何をしているかは不明。
性格
自分の意思を有しているため、ブラスター星人や、ブラスター星人に雇われた助っ人などに対し、舌戦を挑む事も多い。しかも結構口が悪い。
15話、「オーロラの秘密」にて、宇宙の魔女ブラックフェアリーと相対し、
ガンガー「そうか、お前は太陽の黒点の怪物だな!」
ブラックフェアリー「おや、レディに向かって怪物とは何だい、怪物とは!」
ガンガー「ハハハハ、うまく化けていても、お前の正体は醜い黒点の化物さ!」
ブラックフェアリー「おだまり!」
ガンガー「ほーらほらほら、正体を現しだした!(中略)お前なんか太陽からはじき出された嫌われ者じゃないか。もっとも、太陽の側になんか近づけるもんか」
16話「ブラスター宣戦布告」では、ブラスターの助っ人コルヒドラに対し、
コルヒドラ「ファハハハハ、ブラスターではない、ブラスターの助っ人だ」
ガンガー「(にやりと笑いつつ)ブラスターの助っ人をするなんて、お前もよっぽどおめでたい奴だな」
コルヒドラ「なに! 誇り高いコルヒドラをよくも侮辱したな!」
ただし、口が悪くなるのはブラスター星人とその協力者に対してのみであり、カンタローにはその限りではない。むしろカンタローに対しては常に優しく接しており、兄弟のような関係にある。
カンタローが及び腰の時には厳しく言い放ち、戦いに巻き込まれ落命した人間に対しては苦悩し葛藤するなど、人間同様に知性と感情を有した、まさに生きている存在なのだ。
ロボットアニメ史的な評価
概要でそこそこ重要な作品だと紹介したが、ロボットアニメの先駆者の1人(1作)として語られる機会はごくわずか。これにはガンガーのメカニズムが関わっている。
「キャラクターとしてのガンガー」で解説したとおり、本作は巨大ヒーローもののニュアンスで、逆に言えば主人公は乗り込むだけで直接操縦するわけではない。現代のアニメファンには『SSSS.GRIDMAN』のグリッドマンを例に出すと分かりやすいだろうか。
昨今はともかく、当時のロボットアニメといえば、やはり「人が乗って(操って)なんぼ!」な風潮が圧倒的。同じロボでも意思が宿っており、合体や変形は非搭載、ましてや人が乗らず操作もしないとなれば完全に別物扱いである(一応例外はあるが)。
また、肉弾戦しかないのも影響が大きい。
マジンガーZ以降のロボットアニメといえば、合体と変形、整備シーン、強化にカスタマイズ、なにより必殺技・必殺武器といった要素が、視聴者たる子供達には魅力であった。
しかしガンガーには、マジンガーZのブレストファイヤーや、ウルトラマンのスペシウム光線といった絵的に映える要素を持ち合わせていなかった。ゆえにこのことが、ロボットアニメとして魅力に乏しい印象を与えてしまった。
また、ガンガー自体は人間と同じ人格と意志を持ち、普段から普通に会話できるに関わらず、非戦闘時の描写が皆無であった。この設定をうまく活用できず、物語自体の魅力につなげる事が出来なかったのも、本作の残念な点の一つ。。
『UFO戦士ダイアポロン』より先に合身を達成し、こちらこそ元祖合身なはずだが、一応触れておく程度なのもこういった事情がある。
ちなみに初期稿では、カンタローが合身するのではなく、彼が操縦するヘリコプターが変形し、そのまま操縦席になる予定だったがスポンサーの横槍が入り、変身ヒーローテイストに変更しざるを得なかった経緯がある。
もしこれが採用されていればホバーパイルダーを先取りするかたちとなり、先駆者の箔がついたことは想像に難くない。
後年、ヘリをコックピットとしたロボットアニメが企画されたが、これも様々な経緯でボツとなった。
関連イラスト
大半が走るガンガー、あるいは止まらないオルガなので、適宜マイナス検索を推奨。
- いたって普通のイラスト
- 走るガンガーとそうでないもの両方含む
関連タグ
UFO戦士ダイアポロン……アストロガンガーの4年後に放送されたロボットとの融合繋がり。このダイアポロンで、人間とロボットとの融合・一体化は「合身」と命名された。
勇者指令ダグオン……アストロガンガーから24年後、ダイアポロンからピッタリ20年後に放送された人間とロボットとの融合・一体化の完成系。ロボットとの一体化は融合合体と命名された。
勇者エクスカイザー……少年とロボットとの邂逅という意味で共通。少年(コウタ)とロボット生命体(エクスカイザー)がともに戦い、ともに考える姿はアストロガンガーを彷彿させる。ちなみにガンガーの中の人は本作では敵の大ボスを演じていた。