手のひらを太陽に
てのひらをたいように
解説
アンパンマンの原作者として知られるやなせたかしが作詞した童謡。
1962年にNHK『みんなのうた』に採用され、1965年の第16回紅白歌合戦で歌われた事で広く知られるようになった。
近年、文化庁の『日本の歌 百選』にも選出されており、もはや日本で最も知られている楽曲の1つに数えても過言ではないだろう。
生きているから悲しいんだ
生命の尊さ、生きる喜びを謳歌している様な明るい歌詞だが、作詞者のやなせは自殺したいほどドン底に落込んでいた時にこの歌を書いたのだと語っている。
真っ暗な部屋の中で鬱々としていた時、たまたま手のひらで当った懐中電灯の光で血管が透けて見え…
やなせ氏は、以下の様に語った。
子供の頃、レントゲンごっこというのをやっていて、血の色が見えるんだ。
真っ赤でね。すごくキレイだったんで「自分に元気はなくても血はすごく元気なんだなぁ」って思って、それを書いたというわけ。
懐中電灯じゃ具合が悪いんで、太陽にって事にしたんですよ。
生きてなきゃ、「悲しい」という気持ちになる事もないですよ。
そして、悲しみがあるから喜びがある。「悲喜交々」と言うでしょ。悲しみが先にあって、喜びが後にある。
しかし、悲しいってのは、ただ涙を流して泣くっていう事ではなしに、人生っていうには一種の悲しみがあるんです。
いずれ我々は死ぬ、「愛別離苦」のこの世界にいるわけなんです。
ですから、歌詞も「悲しい」の方を先にした。それで2番は「嬉しい」に。
死んでしまえば、悲しいも嬉しいも無いです。
生きているから悲しいの。それから、生きているから辛いとか痛いという色んな事があるわけ。
それは生きている証なんですよ。それで、悲しみというのは、ずーっと続くわけじゃない。
その後には喜びがある。幸せの中にいる時は「幸せ」は分りません。
不幸せになった時、「幸せだった」と分るもんなんです。