概要
CV:谷原章介
神室署組織犯罪対策課の刑事。常に捜査の陣頭指揮を執り、神室署でも高い検挙率を誇るエリートで人望も厚く、本庁の幹部からも強く信頼されており、その上男前と綾部和也曰く「隙が全く無い完璧人間」で、事実彼の汚職も既に見通している。
ネタバレ注意
ゲームクリアした後で閲覧することを推奨します。
彼こそが今回の一連の事件の犯人である、殺し屋「モグラ」であり、本作品のラスボス。
元々黒岩は綾部と同じような立場の情報屋、すなわち警察の情報を外部に横流しする悪徳警官であった。最初は裏の世界との繋がりは無かったようだが、作中の20年程前に悪徳警官であった上司が密告者により飛び降り自殺して居なくなると、その地盤を引き継ぎ、前任者の取引相手であった羽村京平と組むことに。
最初の頃は情報屋らしく、銃の横流しや密告をする程度だったが、どうやら裏の世界で生きる才能があったらしく、どんどん依頼が増えていったことで仕舞いには殺人の依頼すら請け負うようになった。この頃になると羽村もすっかり黒岩には頭が上がらなくなり、後述の卓越した実力から決して裏切ってはいけない相手と恐れられるようになる。
(綾部曰く自殺した上司を密告した同僚の刑事も自殺したらしいが状況から他殺であった可能性があり、羽村と組む前から殺人を犯していた可能性が示唆されている)
戦闘能力は警官の範疇を逸脱したもので、二人がかりで挑んだ海藤と東をたやすく叩きのめし、武装した複数人の松金組の組員をたった一人で射殺、仕向けられた刺客や終盤に駆け付けた警官隊も返り討ちにするなど銃の腕前も格闘技術も常人離れしている。
当然、単なる戦闘要員としてだけではなく、殺し屋としても優秀な腕前を持ち、被害者を昏睡状態に陥らせ口を封じた状態にしつつ一定の期間を置いて死に至らしめる傷を負わせることで、警察に計画的な殺人と見破られないように偽装して殺害できるほど暴力に知悉している。
そこで今作の黒幕生野洋司、厚生省の事務次官の一ノ瀬と結託して、アドデック9の人体実験に関係する眼球くり抜き連続殺人事件を引き起こすが、警察官としての立場もあって久米殺しの一件では協力者の羽村を逮捕する。
その後は羽村を無罪にされたことで証拠集めに協力した八神を目障りな存在として目をつけ、初めて相対した際には意趣返しと言わんばかりに三年前の事件を引き合いに皮肉を吐き、その後も連続殺人事件を追い続ける八神の行動を見透かしているかのような、意味深な態度をとっていた。
またこの頃、真相に近付こうとした新谷を手に掛けているが、まだ尻尾は出さずに八神の前ではあくまで警察側の権力者として振る舞っていた。
終盤
Chapter11「バックステージ」にて、モグラに繋がる情報を得るために八神が羽村を追い続け、ついに羽村の身柄を押さえて共礼会たちに引き渡すと、共礼会の殲滅と羽村の口封じを目論み、彼もついに表舞台に登場する。
松金組と共礼会の戦闘が膠着状態になったのを見計らって全身黒のレインコート姿で登場し、松金組を蹴散らして羽村を銃撃しようとするも、松金組長が羽村を庇ったことで初撃を外し、そのまま火事による建物の崩落で分断されてしまい羽村の始末に失敗する(羽村の救出に来た松金組が建物に放火していた)。
この時点では羽村は厚生労働省との繋がりやモグラの所業など様々な情報を吐いていたもののモグラの正体が誰であるかまでは喋っていなかったものの、立場が逆転する程実権を握っていたとは言え親として慕っていた松金組長を殺されたこと、自身が口封じされる立場に回ってしまったこと等から黒岩と決別の腹を決め、燃え盛る建物からの脱出の間際に、モグラの正体が黒岩である事を八神に教える。
八神が脱出した直後、あたかも火事の現場に駆け付けたばかりの警察を装って現場に刑事として姿を現し、八神を火事の重要参考人として連行する。
取調室では「鍵がちょうど見当たらなくてね」等と八神に手錠をかけたまま取り調べをする横暴な態度を見せ、八神にモグラである事を問い詰められても、正体を誤魔化すどころかアドデック9の利権で自身が守られている事を理由に彼に対して傲岸不遜な態度で接した。
元々の相棒である羽村を失っても余裕のある態度は崩さず、生野と一ノ瀬の有能な手駒として暗躍を続ける。
センター長の木戸を拉致して情報を聞き出した八神が生野の秘密ラボに侵入しているころ、黒岩は一人で木戸の居場所を突き止め、監視していた海藤と東の2人を1人で叩きのめし木戸を救出している。
この時黒岩は既に八神一味には正体を知られていると分かっているからか素顔のままで登場している。
八神の方は証拠を押さえるために味方として呼んだはずの検事正さえもアドデック9の利権の息がかかっていて証拠を押さえる事に失敗しており、いよいよ八神の打つ手が閉ざされた…と思っていた。
しかしFinal Chapter「トカゲの尻尾」にて、裁判で八神に過去に2度も無罪を勝ち取られて面子を潰されており八神を毛嫌いしていたものの、正義感だけは本物であった泉田検事が上司である森田検事正の立場に反して八神に協力したことで事態は急転。
八神側に寝返ったと厚労省には知られていない泉田検事が、「事件と創薬センターを無関係だと印象付けるために裁判の席でアドデック9についての説明をお願いしたい」等というそれっぽい理由で一ノ瀬事務次官を証人として裁判に招く。さらに「ケジメ」として羽村が一ノ瀬との「実験体調達の依頼」に関する会話を録音した音声を八神に提供した上で弁護側の証人として出廷し、一連の犯行の裏が裁判で完全に明らかにされてしまった。
これにより黒岩刑事も自身がモグラの正体だとバレることが避けられない状況になったが、「アドデック9さえ完成すれば全てが解決する」という考えに憑りつかれ、独自に生野の元に向かう。
同時に、裁判で一連の闇が明らかにされてしまい逃げ場を失った一ノ瀬が、傍聴席にいた部下に往生際悪くアイコンタクトで指示を出し、黒岩自身も厚労省から命を狙われる事に。
創薬センターでは、まだ裁判の経緯が伝わっておらず黒岩をモグラだと知らない部下の警官を大勢従えて突入。追いかけてきた八神らを警官に妨害させるも突破される。
しかしながら生野を確保したのは黒岩が先で、黒岩は生野に銃を突きつけた状態で現れる。黒岩が言うには生野に復讐するのではなく生野が必要だから生きていてもらうためだと語るが、駆け付けた警官が「黒いレインコートの男が生野に銃を突き付けている」状況のために黒岩に銃を向けて警告すると、黒岩は躊躇なく発砲し警官らを殺害。
(創薬センターに部下を引き連れてきた時は刑事のスーツ姿だったが、どこかで着替えたのか単独行動で生野を確保した時は黒のレインコート姿だった)
警官との銃撃のドサクサで逃げようとした生野、それを庇った杉浦をも撃ち、最後に残った八神を始末するために八神を追う。
姿を現した八神に「もう終わりだ」と突き付けられるも黒岩はそれを認めない。一連の闇を全て暴かれている上、センター内で大勢の警官を殺害しているにも関わらず、「アドデック9さえ完成すれば俺は終わらない」と繰り返し、八神にも「正気じゃねえ」と呆れられしまう。
そのまま、弾が切れた拳銃を投げ捨て、八神との素手での最終決戦に挑む。
八神に敗北したところで、海藤らにボコボコにされつつも黒岩の疑惑(そしてセンター内での警官の殺害)に気づいた部下の警官たちに逆に包囲されてしまう。
そこに生野が現れ、これ幸いにと隠し持っていた刃物で生野を殺害しようとするも海藤に妨害され失敗。なおもしぶとく生野に向かっていくが、周囲の警官らの一斉射撃を受け、即死はしなかったもののついに倒れる。
虫の息で生野に「これで実験ごっこも終わりだな」と投げかけるも、黒岩と同じく既に正気でなかった生野はそれを認めない。
完成したと言い張るアドデック9を自らに投与し、絶叫と共にアドデック9の副作用を発症した生野の顔を見て、「そういうことか」と言い残して息絶えた。
木戸の証言によると、アドデック9は人間に投与すると、激しい頭痛と共にそれを引き起こすアドデック9由来の毒素が眼球内に蓄積し、眼球が真っ青に染まった状態で絶命する。つまりアドデック9の副作用で死亡した人物は、誰がどう見ても明らかな状態の物証を残すため、その物証を消すために人体実験で死亡した被害者から眼球が抉られていた。
眼球をえぐり出していたのは他ならぬ生野自身であり、黒岩は死体処理を任されていながらアドデック9の具体的な副作用を知らなかった。
それを、死の間際に生野の眼を見て悟って死んでいった模様。
余談(ネタバレ注意)
龍が如く関連作品のラスボスは『5』の彼や『6』の彼等シナリオ面や主人公との因縁の薄さやキャラクターに風格やインパクトが足りないラスボス(笑)が多く、ファンからの評判は芳しくなかった。その批判を受け止めたのか、本作のラスボスである彼は他者を容赦無く殺害する冷酷さと戦闘技術を始めとした実力と劇中で主人公の父親的存在の一人を殺害と因縁の深さも持ち合わせており、ラスボスとしては非常に良質な部類に入る。OPでの扱いや作中でいい意味でも悪い意味でも醜態を見せなかった事も拍車を掛けている。
しかしながらその一方で、本作に登場する悪人たちの中で彼だけが手を染めた悪事の大きさに見合うような理由が語られていないという特徴がある。
生野や森田検事正はアルツハイマー病患者の介護の現場およびそれに由来する辛く重い事件を目の当たりにし、アルツハイマーから人々を救うという強い使命感を抱いているが故の歪みが見える。一ノ瀬や木戸は単なる金や名誉およびその保身だが、指示を出すだけで直接手を下さない上の立場の人間特有のものと解釈できる。
しかし黒岩は直接手を下す実行者でありながら、金以外の目的が見当たらない。上司の地盤を引き継いで羽村と繋がり悪徳刑事の仕事を始めた頃はそうだったかも知れないが、それが殺し屋にまでエスカレートしても金以外の理由が新たに描写される事は無く、殺意と狂気のみに従って暴走するモンスターのような描かれ方をしている。
実際、「高検挙率を誇り周囲からの信頼も厚い豪腕刑事」と「自ら裏社会に営業をかけてまで殺人稼業を請け負う極悪の殺し屋」の二重生活をなぜ彼が求めたのかという動機は描かれずに物語は完結した。
本作のPVには「あらゆる人の心に潜む“闇”が すべての光を閉ざしてゆく」というフレーズが登場しているが、このあらゆる人の心に潜む“闇”を具現化したのが黒岩という人物なのかもしれない。
関連タグ
ジャッジアイズ 八神隆之 綾部和也 こいつおまわりさんです ラスボス(龍が如く)
錦山彰、郷田龍司、峯義孝、渋澤啓司、荒川真斗/青木遼、武市半平太:龍が如く関連作品における良質な部類に入るラスボス達。
相馬和樹:次回作に登場する実際の俳優の顔がモデリングされているボスキャラクター。物語を進めてゆくと彼等にはある共通点がある事が分かってくる。