すきま妖怪の式(東方ロストワード)
ようかいのしきのしき
「おおう、人間発見。しかし、ここは……博麗神社?お前、あいつを、橙を見かけなかったか?もしくはご主人様でもいいのだが。いや、人間ごときがご主人様を知るワケがなかったな。私は八雲藍。大妖怪・八雲紫様の式神にして護衛役、結界管理者代行だ。」
曖昧さ回避
原作の「すきま妖怪の式」はこちら。→すきま妖怪の式
すきま妖怪の式とは、東方ロストワードにおける八雲藍の二つ名だが、同時に同作品におけるメインストーリーに登場したパラレルワールドの八雲藍の二つ名となっている。この記事では主に後者の方を指す。
実装形態 | 恒常 |
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式 | 攻撃式 |
気質 | 狐の嫁入り |
拡散 | テイルスピナー |
集中 | 狐竜昇天 |
スペカ1 | 式神『橙』 |
スペカ2 | 式神『前鬼後鬼の守護』 |
ラスワ | 『那須と三高田の殺生石』 |
概要
冬が終わらない世界の八雲藍。
八雲紫の式神として主に「結界の管理業務」の代行や「主人の護衛任務」も担当しているのは原典とはさほど変わりない様子。本来ならば春雪異変の時の藍は、紫から『冥界と顕界を隔てる結界』などの結界の管理を任されていた。
幻想郷全体の調和のため、監視対象としては絶対に外せない『妖怪の山』には藍の使役する式神である橙が根城とするマヨヒガがある。八雲藍が、妖怪の山に棲む神々や妖怪にとってどのような存在かについては、あまり明らかではない。だが、もし八雲紫が藍を『実力行使まで想定した監視者』として置いたとするならば、本来の藍と立ち位置が大きく変わってる可能性がある。
狐の妖怪の存在は、稲荷神や狐憑きに管狐、荼枳尼天や飯綱権現、そして玉藻前伝説など多岐に渡りつつ有名なものが多いほか、陰陽道や修験道に深く関与するためその歴史は古い。妖怪の山を実質的に支配下に置いてる天狗たちが狐と呪術的に深い関係にある事実は、とある大天狗と管狐の関係を見ても明らかである。
修験道の開祖である役小角(えんのおづの)が弟子とした修験道の信仰神『前鬼』と『後鬼』を、『式神』として使役し藍の守護にあてていると見るならば、前鬼は鬼であり天狗でもあるとも言われているためこれは『八雲紫による強烈な牽制』とも読み取れるが、果たして紫の真意は如何に……?
メインストーリー第1章EXにて先行登場した。
L1世界線の藍は稲荷色の髪と尻尾だったが、こちらの藍は黄色になっている。耳も少し大きい。原作キャラの中ではExtraボスの実装はこれで3体目。
ストーリーでは
第1章EX2「異変時空の片隅で」
終盤で登場。『異変の前線』を能力で操っていた。自分が藍ではないかのような話し方をしているようだが……?
プレイアブル化
実装形態 | フェス限定 |
---|---|
式 | 支援式 |
気質 | 狐日和 |
拡散 | 明神招来 |
集中 | 貴狐招来 |
スペカ1 | 幻神『飯綱権現降臨』 |
スペカ2 | 式神『憑依荼吉尼天』 |
ラスワ | 『散華 我が身中の縛妖索』 |
2022年7月14日に開催された『結界に穴をあけてみたフェス』で実装された。支援式らしく味方全体へのバフが得意だが、最大0.90もの霊力や命中バフで味方を大幅に強化させられるほかブーストとグレイズで最大6段階の陰攻バフが積めるため、安定性と高火力の両立が可能である。
東方妖々夢ネタ
恐らく拡散ショットはExtraの時の6回目の通常弾幕、集中ショットはPhantasm中ボスの時の通常弾幕の再現。
採用されたスペルカードは、それぞれ幻神『飯綱権現降臨』はExtraボスの時、式神『憑依荼吉尼天』は橙の鬼神「飛翔毘沙門天」の強化版にしてPhantasm中ボスの時の最後のスペルカード。
- 「私は橙とは桁が違くてよ、色々と。」→「私は橙とは桁が違くてよ、色々と。」(自機:博麗霊夢)
- 「そんじょそこらの妖怪が私に勝てると思うな。」→「何の話よ。私は殆どの時間を式神の姿で暮らしている。そんじょそこらの妖怪よりは強いはず。」(自機:霧雨魔理沙)、「式神とはいえ、そんじょそこらの妖怪より力はある。ましては、人間や犬なんて。」(自機:十六夜咲夜)
- 「うう……今日はもう疲れたし、そろそろ帰って寝よう。」→「また来たの? 今日はもう疲れたし、そろそろ寝ようと思っていたのに。」(自機:共通・Phantasm)
ボイス
- ボイス1「橙とは桁が違う程度の声」
→「私は橙とは桁が違くてよ、色々と。」(自機:博麗霊夢)
- ボイス2「色々当てられない程度の声」
→「何を分ったのか分らんが、目どころか、色々当てられない状態にしてやるよ。」(自機:霧雨魔理沙)
- ボイス3「橙の仇を取る程度の声」
→「ふん。橙を苛めたのお前だろ?橙は私の式神だ。その仇は取らないとな。」(自機:十六夜咲夜)
余談
気質は『狐日和』。晴れたかと思えば雨粒が降ったりもする天気のこと。天気雨のことを指す『狐の嫁入り』とは似通った気質である。
「明神招来」は日本の神仏習合の思想における仏教的な神号の一つ。中世から近世にかけては、神社名を冠した「明神」や「権現」で呼ばれる事が通常であった。(例えば「飯綱権現」は長野県の飯縄山に対する山岳信仰から発祥したため、"飯綱"の名前を取っている。)1868年3月28日、神仏判然令によって神号における仏教由来の言語は取り除かれるよう指令されたが、現在でも明神号・大明神号を使用している神社は存在している。
- 「護法善神」は、仏法および仏教徒を守護する主に天部の神々のことで、梵天(ブラフマー)や帝釈天(インドラ)などのすべての神々は仏法を守護する神として護法善神に含まれると考えられている。(これらは一般的に守護神と呼ばれるが、特に仏法および仏教徒を守護する神を護法善神、護法神などと呼ぶ。)
「貴狐招来」は荼枳尼天(だきにてん)の日本における別称「貴狐天王(貴狐天皇)」のこと。荼枳尼天とはヒンドゥー教由来の神で魔女ダーキニーが仏教に取り入れられたもの。「荼枳尼」という名も梵語の「Ḍākinī」を音訳したものであるが、「天」は日本独自のもの。夜叉の一種とされていて、人の死を6ヶ月前に知る力を持ち、臨終を待ってその心臓を食うとされる。日本では狐の精とされるため稲荷信仰(稲荷権現)、飯綱権現と混同・同一視されることもあるほか「辰狐王菩薩」という尊称も存在する。
日本の荼枳尼天は、平安初期に空海により伝えられた真言密教の時点で奪精鬼として閻魔天の眷属となっている。
「妙童鬼義賢」と「善童鬼義学」はそれぞれ「前鬼」と「後鬼」のことを指す。"妙童鬼"と"義賢"は前鬼の別称と本名、"善童鬼"と"義学"は後鬼の別称と本名。東方Projectにおける前鬼と後鬼は八雲紫の式神として登場し、東方儚月抄では紫の命で月の都の偵察をしていたところ、どちらかが綿月豊姫によって処理されてしまった。ご愁傷様です。
「散華 我が身中の縛妖索」(さんげ わがしんちゅうのばくようさく)の元ネタは「封神演義」にて蘇妲己を捕らえた「縛妖索」という道具。「〇〇身中の縛妖索」の〇〇は『絵本三国妖婦伝』において九尾の狐が乗り移った人物たちである。
- 玉藻前・・・平安時代末期に鳥羽上皇の寵姫であったとされる伝説上の美女。正体は一般には九尾の狐である白面金毛九尾の狐とされており、正体を見破られた後、下野国那須野原で殺生石になったという。1385年には玄翁和尚によって打ち砕かれ、そのかけらは全国に飛散した。殺生石が飛散した先は、日本各地の「高田」という地名の3ヶ所とされている。なお、高田以外の地にも破片が散ったとする話もあり、飛騨では牛蒡種に、四国では犬神に、上野国ではオサキになったという。ちなみにこの殺生石にまつわるエピソードは、L1世界線の藍のラストワード「那須と三高田の殺生石」の元ネタでもある。
- 若藻・・・行方知らずになっていた褒姒が後に化けたとする16歳くらいの少女。吉備真備の乗る遣唐使船に乗って来日を果たしたとされる。
- 華陽夫人・・・秦の王后であった華陽太后または華陽后のこと。始皇帝の義理の祖母でもある。ある時楚の公女として昭襄王の次男の嬴柱(後の孝文王)に嫁ぐ。昭襄王が嬴柱を安国君として太子に指名した時、「華陽」の号を得ることとなった。九尾の狐はインドに渡り華陽夫人の姿となって、班足太子を裏から操り様々な悪政を行わせたが、後に正体を見破られ北の空へ飛び去った……という話がある。
- 褒姒・・・西周の幽王の2番目の后。かつて王を惑わせて西周を破滅へ導いた美女。緊急事態の知らせの烽火に右往左往する諸将を見て時初めて笑ったことを知った幽王は、度々無意味な烽火を上げさせたため、次第に諸将は烽火の合図を信用しなくなっていき、さらに部下に政治をまかせた幽王は、人民は悪政に苦しみ王を怨むようになった。そして当時の王后を廃して、褒姒を王后にして伯服を太子にした。当時の王后だった申后の父申侯はこれに怒り反乱。王は烽火を上げさせたが、兵は集まるわけもなく反乱軍に殺される。この乱によって、西周は滅びたのだった。「傾国傾城・傾国の美女」とも言われている。玉藻前の伝説では、褒姒は玉藻前の前歴の一つとして挙げられている。
- 妲己・・・
”我が身中の~”ということは「自分の身体に千年狐狸精 / 九尾の狐が乗り移った」かのような言い回しのはずだが……?
フェスの名前『結界に穴をあけてみた』は実は藍の台詞ではなく紫の台詞。「迷惑系Youtuberの動画のタイトルみたい」「結界を管理する藍が穴をあけてどうするの」などのツッコミが多発。あらぬ風評被害を買ったのであった。しゅーん。