「俺はお前を倒して、唯一無二のヒーローになる……!!お供もいらない……俺一人で十分だ!!」
「ドンモモタロウ…やはりお前は邪魔な者……」
演:石川雷蔵
概要
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の登場人物である桃谷ジロウに隠されたもう一つの人格で、通称「危ないジロウ」。
こちらの人格が表に出ると、ドンドラゴクウではなくドントラボルトに変身するようになる。
彼は元々臆病な自尊心と尊大な羞恥心を持つ問題人物だが、自分が思い描く理想のヒーロー像を(直接間接問わず)否定されると、それが一気に臨界点を超え、明確な別人格として発言する。
その正体は、恐らくタロウへの憧れと尊敬の延長線上か裏にある「嫉妬や嫌悪等の負の感情」。
それがだんだん膨れ上がった結果、ひとつの人格として形成され闇ジロウになったと思われる。
また、素でも「処刑」などのサイコパス発言をするが、もしかすると闇ジロウの部分が小さく染み出ているのかもしれない。
こうなったジロウは極めて凶暴でドンブラザーズのメンバーにも容赦なく攻撃を仕掛けるなど、まさしく戦闘狂を体現したような存在。タロウを敬愛する通常のジロウとは逆で、とことんタロウを毛嫌いしている。
声も普段の明るい喋り方でなくドスの効いた口調になり、外見も白い羽織を纏うようになり顔に隈取りがつく。
また、時折首を鳴らす仕草を見せる。
『欲求不満や願望を拗らせた末に、暴走する』というその行動概念は、本来ドンブラザーズが討伐すべきヒトツ鬼と本質的に同じであり、これもまた一種のモンスターより人間の方が、生々しくて怖い…といえよう。
下記のドン23話でジロウの体から分離して実体化、ジロウと「邂逅」。互いに心の奥底に秘めた本質をさらけ出し合い、流れで(結構大雑把だが)共闘。
以降は再びジロウの体に戻るが、戦闘狂な一面は相変わらず。
だが本質を理解し合った影響か、ジロウに体の主導権を奪い返されやすくなった。
活躍
ドン16話「やみおちスイッチ」
他のメンバーから鬱陶しがられ、タロウにも「後継者」である事を否定され「お前はお供だ」と言われた事で初めて表に出現(見た目は変わっていない)。何故かホラー染みた雰囲気且つタロウが悪役になっている内容に改変した桃太郎を空読みしながらメンバーを夜道で襲撃し、ドンブラザーズの証のサングラスを奪って変身不能にする暴挙に出る。
「むかーーし、むかーし、あるところに···おじいさんと おばあさんが 住んでいました。
おばあさんが川で洗濯をしていると···大~きな桃が流れてぇ···きました。
桃の中からとても汚い赤ん坊が出てきました。
タロウです。
仕方な~~くおじいさんとおばあさんは···タロウを育てました。
やがてタロウは、わがままで乱暴な青年に成長しました。」
更に翌日、恐竜鬼と戦闘中のドンモモタロウの前に現れ、ドンブラザーズの力を全て奪って自分が唯一のヒーローになるべくタロウを襲撃。
「傲慢なタロウにおじいさんとおばあさんが困り果てているとき、天から真のヒーローがやってきました。
ジロウです。
ジロウはタロウを成敗しました。
めでたし めでたし···。」
イヌブラザー、サルブラザーに連続変身してタロウの攻撃を封じつつ立ち回ったが、乱入して来たキジブラザーに妨害され、はるかの平手打ちを受けてしばらくなりを潜めるが…。
ドン20話「はなたかえれじい」
暴次郎戦隊ドラゴンファイヤーズとして大活躍し、すっかり天狗になっていた所にマスターから「実は隠れてタロウが手助けしていた」という事実を聞かされたことで、プライドを傷つけられて絶望し再び出現。以前よりショックの度合いが大きかったため、完全に顕現したらしく闇ジロウの姿となった。
今度はドントラボルトに変身しドンモモタロウを襲撃するが、戦闘の邪魔になるという理由から五星鬼にターゲットを変更し撃破。再びドンモモタロウに襲いかかるが、当人はドンオニタイジンに合体するところだったため、軽くあしらわれた。
巨大戦の後は、ダイレンジャーのアバタロウギアが変化したキバレンジャーアバタロウギアを手にしていたが、その後の動向は不明。
ドン21話「ごくラーメンどう」
獣人に襲われたアノーニを救う為に現れたドンムラサメに喧嘩を売る形で登場。
今回は登場と同時に闇ジロウの姿を見せていたが、ムラサメとの交戦後、彼との戦いから何か感じられるものがあったようで、「なぜだ…?やつの悲しみが伝わってくる」と、発言した。
ドン23話「イヌ、いぬになる」
獣拳鬼と戦う、翼を欠いたドンブラザーズの加勢にジロウが駆け付けた際、唐突に彼の体を抜け出して分離。
『これが...まさか...もう1人の僕!?』
ジロウと対面し、互いに「お前はタロウを敬い過ぎている」「君はタロウさんを嫌い過ぎている」と本質を理解。
しかしそれ以上いがみ合うでもなく、同時にアバターチェンジすると獣拳鬼へ襲い掛かり、そのままロボタロウへとチェンジするとさらなる猛攻を加える(ジロウと異なり狙いがかなり大雑把)。
獣拳鬼ングが出現した後もそのまま攻撃を続行しようとしたが、ジロウに捕まりそのまま虎龍攻神への大合体を果たした。
視聴者からの反応
本来のジロウが持つもう一つの人格、と言う一種の暴走状態とも言える姿なのだが、ジロウ本来の性格の方がそもそもどこか危なっかしいものであるのに加え、闇ジロウになる条件が憧れの人に助けられることと言うまさかの条件だったことから、むしろ闇ジロウの方が扱いやすいのでは?と言われ、ドン21話ではドンムラサメの感情を押し測ったことから、本来のジロウよりも闇ジロウの方が性格的にまともなのではないか?とも言われる様になった。
また素のあっけらかんとしたジロウとギャップの激しすぎる闇ジロウを演じ分けられる演技力に、中の人への称賛は高い。
余談
この「闇ジロウ」という名称は劇中では呼ばれておらず、公式が明言したもの。
衣装はh.NAOTOさんがデザインしたものだが、この時はまだ二重人格の設定が固まっていなかったらしく、当初のオーダーが「龍と虎の2フォームある中華戦士です!!」 という非常にアバウトなものになってしまったとのこと。
そして纏っている羽織についてだが、元々の衣装の原案として存在していたようで、二重人格の設定が出来上がった際、井上先生が
「なんか、虎っぽい羽織あるじゃないですか? あれ、闇堕ちするたびに『バサァ……』ってわざとらく翻して羽織ると可笑しくないですか?」
「なるほど、いいね」
(原文ママ)
と二つ返事でOKしたことから闇ジロウの標準装備になった経緯がある。
一部視聴者の間では、虎ジロウの異名でも呼ばれている。
考察
実はこの闇ジロウ、その行動パターンには不可解な部分がある。
まずジロウ自身、人間界に流れ着いた経歴から、タロウと同じドン王家の出であることは確かと考えて間違いはないだろう。
そして、そもそもドン王家の者達は現在の脳人達と同質の存在であり、その行動原理は彼ら同様に自分達の目的について合理的に動くことが殆どである。
付け加えて、ドン王家が跡取りになり得る存在を人間界に送ったのは、完全な一族根絶を防ぐ為であり、しかもドン王家再興の目途は一切立っていない。
この状況下では、必然的に少しでも多くの候補たちが残っているに越したことはない筈である。
しかし、闇ジロウとしての行動は、そんな族滅を回避しようとするドン王家の目的に反する物である。
これが意味する物とは……?
関連タグ
やみおちスイッチ:闇ジロウ定着前はこう呼称されていた。
カゲロウ/仮面ライダーエビル:30分前の登場人物が持つ、もうひとつの闇の人格(こちらは独立した存在)。偶然にもこちらも宿主は名前に「二」と入っている。
カゲロウも当初は主人公サイドに牙を向いていたものの、紆余曲折を得て実質和解済み···なのだが皮肉にもカゲロウとの和解フォームとも言える形態が初登場した30分後のエピソードで完全な闇堕ち形態のドントラボルトが初登場した回となってしまった。
闇バクラ、闇遊戯、ブラックロールパンナ:公式からこれらと同系列として扱われている。
クリスタリア宝路←闇ジロウ