概要
J・K・ローリングによるファンタジー小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場するキャラクター。
主人公ハリー・ポッターの名付け親(代父)、シリウス・ブラックの生家ブラック家に仕えるかなり年老いた屋敷しもべ妖精。
ブラック家の屋敷しもべ妖精
ブラック家は魔法使いの世界の中でも生粋の純血の魔法族であり聖28一族にも数えられる名家。
クリーチャーの一族は少なくとも母親の代からブラック家に仕えており、ブラック家が純血主義だったため、彼自身にも純血主義的な言動が見られた。
ブラック家の魔女、エラドーラ・ブラックが作った伝統に『屋敷しもべ妖精が年老いてお茶の盆を運べなくなったら首を刎ねて壁に飾る』というものがあり、クリーチャーの母親の首も飾られているが、当時のクリーチャーにとってそれは名誉の死であり、いずれ自分の首も飾れることを願っていた。
しかし、ブラック家は本家のシリウスが家風に反して出奔後に不幸が続いた。
シリウスの唯一の兄弟である弟のレギュラスの早すぎる死、シリウスの両親の死によって冤罪でアズカバンに収容されたシリウスが本家筋唯一の生き残りとなってしまい、かつて繁栄を極めたブラック家は没落貴族の様相を見せる。
心底ブラック家の理念に染まったクリーチャーはブラック家の主人たちが死んだにも関わらずグリムオールド・プレイス12番に留まり、既に結構耄碌しているため家事が殆どできない中、肖像画となったシリウスの母を慰めながら薄汚れた屋敷に暮らし続けた。
シリウスの帰還
アズカバンを脱獄後、実家に帰ってきたシリウスにクリーチャーは仕えることになる。
シリウスにとってクリーチャーは自分の憎たらしい家族と幼少期を思い起こさせる存在であったため、屋敷しもべ妖精全般には優しいシリウスも、クリーチャーに対しては冷酷で苛烈な態度をとった。
ブラック家の理念に反する上、自分を無視という形で虐待したシリウスにはクリーチャーは必ずしも従順ではなく、嫌味な独り言を言う癖があった。
更にシリウスはグリムオールド・プレイス12番を不死鳥の騎士団の本部として提供し、ハリーたちが屋敷を掃除しようとするとブラック家の家宝や写真を次々と廃棄していくシリウスに憤りを募らせていった。
クリスマス頃、アーサー・ウィーズリーがヴォルデモートのナギニに襲われた際、アーサーの子供たちに対して嫌味を言ったクリーチャーに対し、シリウスが「(部屋から)出て行け」と命じるとクリーチャーはその命令を敢えて「屋敷から出て行け」と拡大解釈し、別の場所へと移動した。
シリウスの死
クリーチャーはシリウスの命令に乗じてブラック家の分家筋の血を引くナルシッサ・マルフォイの元へと向かった。
ナルシッサは分家筋から本家に嫁いだシリウスの母、ヴァルブルガの姪であり、死喰い人のルシウス・マルフォイと純血結婚をした魔女であり、シリウスが死ねばブラック家の遺産を相続する可能性が高い人物であった。
そして、クリーチャーが二重スパイとなったことでヴォルデモート側に不死鳥の騎士団の情報が筒抜けとなり、シリウスが死亡する遠因となってしまう。
相続人ハリー・ポッター
シリウスの死後は彼の遺言によりハリーに仕えるが、母親がマグル生まれの魔女である半純血のハリーのことをクリーチャーは快く思っていなかった上に、ハリーは自分の名付け親を間接的に殺害したクリーチャーを許せなかった。
しかし、ハリーが相続を拒否すると不死鳥の騎士団の活動を傍で見ていたクリーチャーがナルシッサの姉でアズカバンから脱獄した死喰い人のベラトリックス・レストレンジのもとに相続されてしまうためハリーは当初いやいやながらクリーチャーを相続した。
正式な相続であったため、クリーチャーはハリーの命令に従わねばならなかった。
そしてハリーの意向により、ホグワーツ魔法魔術学校で働き、ハリーの命令でドビーと共にドラコ・マルフォイを見張る役などを務めた。
その際にはベラトリックスが脱獄しなければブラック家を相続していたであろうドラコへの賛辞が込められた報告になってない報告を述べている。
RABとの繋がり
実はクリーチャーはシリウスの弟で、自分のことを可愛がってくれたレギュラス・アークタルス・ブラック(RAB)のことを大切に思っていた。
16歳の時に死喰い人に加わったレギュラスは崇拝していたヴォルデモートが自分が大切にしていたクリーチャーに過酷な仕打ちを行ったことから彼に失望し、ヴォルデモートを裏切ることを決意。
最後の抵抗としてヴォルデモートの分霊箱であるサラザール・スリザリンのロケットを、ブラック家の家宝のロケットと命がけですり替え、破壊しようとするがそれが不可能だったため、破壊を命じ、それができるものが現れるまでクリーチャーに預けることとした。
ブラック家の主たちが死亡したにも関わらずクリーチャーがブラック家にとどまったのはレギュラスの命令でロケットをヴォルデモートから守りつつ、破壊してもらう者の訪れを待ち続けたためだった。
分霊箱を破壊する旅の途中でレギュラスの足跡に触れたハリーが、本物の分霊箱を破壊し、レギュラスのロケットを形見として贈られて以降、主人の最後の心残りを果たし、忘れ形見をくれたハリーに甲斐甲斐しく仕えるようになり、「穢れた血」と蔑んでいたハーマイオニーにさえ敬意を払った。
ただし、長年の習慣は改善し切れず彼女にお辞儀しようとすると体がいう事を聞かず痙攣する。
さらに分霊箱による副作用が無くなったためか非常に元気になり、ブラック家を清潔に保ち料理を振る舞うようにもなった。
ホグワーツ城での最終決戦では、ホグワーツの屋敷しもべ妖精を率いてホグワーツの戦いに参戦した。