概要
『仮面ライダーアギト』の登場人物の1人。
闇の力にそっくりな姿をした謎の存在。見た目での違いは白い服装を着ている点かどうか。
二者の関係について、闇の力の使徒であった沢木哲也は「まったく同じもの。だが、正反対とも言える」と述べている。
物語開始以前にあかつき号船内で榊亜紀に発見され、死亡が確認された…かに思われたが、あかつき号を暴風雨が襲った際に突如息を吹き返し、あかつき号の乗客たちの中に眠っていた「アギトの力」を活性化させるに至る(『愛蔵版 仮面ライダーアギト 超全集 下巻』(小学館)では「アギトの力」を「知恵」と呼んでいる他、水のエルが光の力が発した輝きを「悪しき光」と呼んでいる)。
これが「あかつき号事件」である。
特に津上翔一(当時は沢木哲也)はこの光の影響を強く受けていた為に水のエル襲撃時にアギトに覚醒した。
光の力の影響を強く受けた津上翔一/仮面ライダーアギトが最強形態としてシャイニングフォームを手に入れるのはある種の必然性とも言うべきか。
なお、「アギトの力」はこの光の力を少年化したようなイメージで描かれている。第39話にて、「アギトの力」が真島浩二から葦原涼に移動する際に初登場した。
また、これを取り込んだ闇の力は苦痛で顔を歪ませている。
プロメスとは?
『仮面ライダーアギト ハイブリッドファイル』(メディアワークス)にて名称が明かされた7人のエルロードの一体(『仮面ライダーオフィシャルパーフェクトファイル』(デアゴスティーニ)では光の力=プロメスと同定されている)。
太古に起こった人間とアンノウンの争いで、苦境に立たされた人間を不憫に思い、人間の女性と交わって、「ネフィリム(ギルス)」という戦士を設け、人類にアギトの力を与えた張本人である(イコン画中央の天使がそれと思われる。)。
それまで、人間2億人に対してアンノウンも2億体という個体の能力の高さが全然違うのに数が同じという絶望的な戦力差だったにもかかわらず、太古の人類はプロメスが力を貸すまでに40年間もなんとかアンノウンと戦っていた。戦況はアンノウンが優勢であったが。
しかし、人間にアギトの力を与えたことにより、オーヴァーロード/テオスの手により粛清され、アンノウンも大洪水を起こしてネフィリムを滅ぼしたが、不憫に思ったテオスは動物達のつがいと人間の夫婦を箱舟に乗せて助けている(その後のテオス側の動向はオーヴァーロード/テオスを参照)。
テオスに粛清された死に際、プロメスは2001年へと時空を超えて跳び、沢木哲也…主人公である後の津上翔一のアギトの力を目覚めさせて消滅した。
この時に彼を追って来た水のエルによって起こされた事件こそが、先述した「あかつき号事件」であったというわけである(折しも2001年はテオスらが活動を再開する時期であった)。
ちなみに、イコン画の最上部では6人のエルロードが正面を向いているが、7人のエルロードでは1人だけ後ろを向いている者がおり、これがプロメスではないかと考察できる(参考までに日本語の表現でも叛逆することを「背く」と表現する他、アギトの元ネタにもなった聖書の1エピソードを基にした絵画「最後の晩餐」でも裏切り者の代名詞ユダがイエス・キリストに背を向けている)。
プロメスの名はギリシャ神話の火の神プロメテウスが由来であると思われ、他のエルのネーミングが「(属性)のエル」の名称であることからプロメスを「火のエル」と呼称するファンがいるが、公式の名称ではない。
『小説 仮面ライダーアギト』
津上翔一に備わった「アギト」の根源が本編と大きく異なっている。
本来アギトは上位のロード怪人であり、超能力者を狩っていた。
超能力者であるあかつき村の村民を虐殺するアギトに遭遇した沢木哲也は、死を覚悟の上でアギトを止めようとすると、アギトは光となって哲也に取り込まれた。
アギトの力を取り込み哲也の変身能力となったものの、その代償は大きく、哲也は記憶を失った。
本編の設定では光の力がエルロードである点を鑑みると、このアギトが本編における光の力に相当する存在であるとも言える。
余談
旧約聖書的に彼のポジションに対応するのはグリゴリであると思われる(彼らが登場するのはあくまでも偽典の「エノク書」)。こちらでもギリシャ神話のプロメテウス同様に禁断とされる知識を教えたとされており、彼らがネフィリムの父親だとされる。
また、「光」に関連付けられていたり、知恵を与えた高位の天使であるという点からルシファー/サタンのポジションとも解釈できる。余談だが、ルシファーは旧約聖書に登場するアダムとイブを唆し、知恵の実を唆した蛇や黙示録の獣(赤い竜)とも同一視される。