「俺はこの国をまともにしたかっただけなんだがな」
CV:藤吉浩二
データ
役職 | ヴァイセルフ王家王子 |
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住居 | ロ・レンテ城 |
職業レベル | キング(一般)1lv、プリンス(一般)4lv、カリスマ(一般)2lv、ファイター1lv |
誕生日 | 下水月14日 |
趣味 | 食べること、寝ること、ぼんやりすること |
二つ名 | ヴァイセルフ王家最後の王 |
概要
リ・エスティーゼ王国の第二王子。父や妹と懇意にしている『蒼の薔薇』リーダー・ラキュース等からは、小太りの容貌や目つきの悪さ、不遜な態度等が災いして無能と思われている。が、彼もまたレエブンと同じく王国の現状を理解し、改革する意志を持っている。
人物像
上述の不遜な態度等は、王座を巡って競合関係にある兄の第一王子バルブロを刺激しないために『能ある鷹は爪を隠す』を貫いていただけに過ぎず、本性は無能どころかむしろ優秀と言っていい人物。作者をして『王様優秀度』のランキングは、12キャラ中ペ・リユロと同率の4位(普通に優秀)だと評されている。
しかし内心では「人望では父に、威風では兄に、知恵では妹に劣る」というコンプレックスを抱えている。
実際、難点として家族へ抱いているコンプレックスの内容通りに、父や妹は元より傲慢不遜な兄でさえも持ち合わせていた求心力の源となる他者を引き付ける魅力がザナック自身には欠けていた。
このせいで臣下の心を掴んだり、時には非情な命令を下さざるを得ない事があっても配下の心情を納得させて動かしたりといった、すなわち人心を掌握する事が不得手であった事が後に彼の命取りとなってしまう。
容姿
上述の通り小太りな体型をしており、『大虐殺』以降はストレスによる暴食が原因で更に太ってしまった。髪形はショートボブに近い。
王としての最期
書籍版14巻ではフィリップの暴走が原因で、王国が魔導国の侵攻を受けてしまう。ザナック自身は父のランポッサⅢ世を監禁して実権を掌握し、皮肉な形で王位を継承する事となった。
風前の灯火となった王国の命運を懸けてアインズへ直談判をするべく、『剃刀の刃(レイザーエッジ)』を除く王家の五宝を身に纏って首脳会談に赴いた。
会談の場では全面降伏する事で帝国と同様に正式に属国となる事を引き換えに、王国の存続と臣下と臣民達の助命を嘆願するも、既に帝国の時とは異なり王国を属国にするメリットが、政治の素人であるアインズから見ても殆ど皆無である事が分かる程無意味に等しい状況であったが故に拒否され、交渉は失敗に終わってしまう。
それでも、ザナックが王族としての矜持と度量の広さを示した事がガゼフとの邂逅以来の感銘をアインズに与え、王としての在り方の模範とされてせめて苦しまないやり方で殺す事を約束される。
ザナックはこの時、アインズのアンデッドらしからぬ人柄と価値観を初めて知った事で「もっと早くかつ違う形で出会えていれば」と心中で嘆いた。
しかしその直後、首脳会談に赴く際に王国軍の指揮官不足を補おうと護衛の騎士達を外してしまっていたという致命的な判断ミスと、ザナックの欠点である求心力及び統率力の欠如が災いし、会談の場から本陣へ帰還するや否や保身のために魔導国への寝返りを考える貴族らに謀反を起こされ、非業の死を遂げてしまう。
そしてもはや人間からの視点はもちろんの事、ナザリックの価値基準と視点から鑑みても卑劣という言葉すら生ぬるい域にある貴族達のこの暴挙は、ガゼフに並ぶ好感をザナックに抱いていたアインズの大きな怒りを買う事となる。
助命嘆願のために届けられたザナックの首を見せ付けてきた貴族達に対し、アインズはザナックが身に着けていた『守護の鎧(ガーディアン)』を筆頭に、残りの王家の五宝の在処全てを聞き出すのと同時に言葉巧みに誘導し、その場に控えていたアウラへ密かに「彼らが死を望まない限り絶対に殺さず、死を望んでもしばらくは殺さないように」という命令を下し、一族もろとも全員ニューロニストの部屋へアルベドの先導の元に送り出した。
これにより我が身可愛さに謀反に走った貴族達は、自らの手で死よりも重い最悪の結末を招く事となり、彼等が助命嘆願の道具として利用したザナックの首はアインズの命により丁重に葬られたのだった。
余談
結局、王の器ではなかった事を自身で認めつつ散ってしまったザナックは、実際のところ宰相や高級官僚など二番手か裏方に努める役割の方が合っていたと言えよう。
なまじ国の頂点に立つ王族よりも、それに近い大貴族に生まれていた方が自分の才覚を生かせる立場に着けていたかもしれず、父親のランポッサⅢ世が生まれる時代と国を間違えてしまったのなら、ザナックは生まれ持った資質と立場がかみ合わなかったのがその不幸の1つだったと言える。
また、ザナックはアインズと同じく自己評価が低いという面があったため、そこも災いしたのかもしれない。
しかし、父には人望、兄には威風、妹には知恵で劣っていたが、この3人よりも王国の未来を案じ、自分に出来ることを努力し、少しでも国をまともに幸せのために行動してきたなど、王族としての矜持や使命感は誰よりも強かった。まさに(求心力があれば)王国にとって王になる人材はザナックだったと言えるだろう。また、ラナーの本性を知っていたり、会談でアインズの人物像を的確に把握するなど他者を見る目が優れていた(実際、ラナーはアインズのことを「恐ろしいぐらい頭が回る人物。国家レベルでの謀略と知略の才人」「あれだけの力を持ちながら、それに頼って事を進めず、智謀で事を進めるところが何より恐ろしい、増長というものが感じ取れないバケモノ」と勘違いしており、そういう意味ではラナーに勝っていると言える)。
関連タグ
父王。優しいだけが取り柄なのだが、反面そのお陰で人望が高く、配下に恵まれている。
裏切者は魔導国に滅ぼされるので、害されないのが唯一の救いか。
兄の第一王子。性格と知恵に関しては難ありだが、威風と剣の腕に関してだけは優れている。
妹の第三王女。二面性があり正直気持ち悪いが、知恵の面では恐ろしく優秀。そして制御の効かない鬼札。王国が滅びると分かった時は、「いつでも逃げていい」と思っていた。
クライムとブレインと蒼の薔薇がいる限り、裏切者に害されないのが唯一の救いか。
国の改革を志す同志。彼の知識(虎の巻)は大いに役立っていたが、魔導王に心を折られた後は自領に引きこもってしまった。
以降はどうやら子供を人質に取られ、情報封鎖という形で王国を裏切った様だ。
妹が執心している存在。その辺の戦士よりも強く優秀で、ラナーの護衛にしておくのは人材の無駄遣いだと思っている。
クライムとブレインと蒼の薔薇が協力すれば、ラナーの護衛だけで王国兵を蹂躙出来てしまう。
王国の戦士長。アインズに好感を抱かれ、一目置かれていた点が共通。
ローブル聖王国の女王。ランポッサⅢ世と同じく、善人の質が裏目に出て強い政策が出来ない。ナザリックの悪魔に目を付けられる前にアインズともっと早くかつ違う形で出会えていたら、少なくとも悲劇的な結末は避けられていたかもしれない者同士。
もっともオーバーロードにおいてはいかにアインズに出会って気に入られるか、ナザリック勢力との衝突を避けるかが重要なのは全キャラ共通である。