概要
アゼルリシア山脈の西に広がる封建国家。現王はランポッサⅢ世。
体制や法制度、実務、気風も旧弊的で全領土のうち三割を王が、三割を大貴族が、四割をそれ以外の様々な貴族が治め、それぞれに派閥を形成し運営を停滞させており、それが『八本指』の様な非合法組織の跳梁を許す土壌ともなっている。
総じてモンスターの脅威が低めの比較的安全な立地で、農業に適した肥沃の大地、ミスリルを始め大量のレアメタルを有する鉱山、海産資源豊かな海域に面した港など、資源国家としては人類勢力最強である法国にさえ勝る程豊富な土地と物資に恵まれている。
東のバハルス帝国とは慢性的な戦争状態にあるが、権力闘争による王侯貴族の足の引っ張り合いのせいで最大の武器である豊かな資源を背景にどうにか致命的な破綻を避けて持ち堪えているも、打開策を見いだせぬまま国力をすり減らしており、その体たらくにアインズからもかつての故郷の社会の有様と重ねられている様で、「何の魅力も無い国」と呆れられている。
ナザリックが転移してきたエ・ランテル近辺も、一応この国の領土である。
政治情勢
物語世界内でナザリック勢力が最初に接触した国にして、アニメ版四シーズン全てにおいて登場した国家であり、かなり深く国内情勢が掘り下げられている国である。
政治形態と社会問題
政治は王と貴族の合議で行われるが、現在は王派閥と貴族派閥が対立している状況にあり、様々な弊害が発生している。しかし、これは何代にも渡る膿が蓄積していった結果であり、現王が別段に暗愚という訳ではない。
一方で現王のランポッサⅢ世は慈悲深い人間ではあるが、決断力に欠け問題を先送りする悪癖から国内の権力闘争を掣肘できない人物であるとされ、個人的な尊敬を集める事はあっても王としては有能と言い難い部分も確かにあり、出血を伴う改革を断行したバハルス帝国の皇帝とは対照的。
異種族からなる国である評議国に隣接しており、異種族を警戒する法国からは防波堤としてあるいは人々の安全地帯として機能させ、『異種族と戦う勇者達』の育成の土壌となる事を企図され様々な支援が投じられた国でもあった。
ある程度はその目論見も成功しある程度の安定した国とはなったが、その結果上層部は危険から遠ざかり、異種族への危機意識が欠如した言うなれば平和ボケした国になってしまうという完全に裏目の結果となった。
それ故国内の王侯貴族達は同じ人間を敵とした権力闘争に明け暮れる様になってしまい、そうした背景故に上級貴族の多くは強い特権意識を持っており、領民を大事にしている様子は少ない。
また腐敗も進行しており、巨大犯罪組織『八本指』が両派閥の貴族に伝手を作り御膝元の王都でやりたい放題に暗躍しているなど、他国に比べ統治が上手く機能していない事が端々に感じられる。
まともな人材が全くいないという訳ではないのだが、国内問題に取り組みたくてもバハルス帝国が国境地帯を脅かしたり、目先の既得権益に囚われた国内の腐敗貴族らが挙って妨害するので、全く本腰を入れる事が出来ていない。
人類存続を至上命題とするスレイン法国も、もはや王国の立て直しは不可能と結論して崩壊を早めるよう工作するなど、事実上帝国に肩入れしている状況である(しかし大本を辿れば、王国が腐った背景の一因は上述の通り王国を甘やかしすぎたという戦略ミスを犯した、スレイン法国にも責任があるのだが)。
軍事力
その最大動員兵力は20万人を超え、上述の戦争の際は過去最大の25万人を徴兵してみせるなど、広い国土と豊富な人口に見合った圧倒的な数を有する。
ただし兵農分離が行われていない王国の兵士らは、徴兵した農民に適当な訓練を施して急場養成しただけの農民兵に過ぎず、個々の戦闘力は一般人に毛が生えた程度。
このため、帝国軍に対抗するには数の差を活かした人海戦術しかなく、とにかく数を揃える必要があるので軍事行動中は農村の働き手が減って生産力が低下、結果として農繁期を狙って侵攻してくる帝国に国力を漸減させられ続ける原因となってしまっている。
また、専業兵士の充実で年中生産力を落とさず戦い続けられる帝国に対し、その様な性質から大規模戦力による遠征も苦手で、帝国に対して有効な反撃さえままならなくなっている。
例外として、ガゼフ・ストロノーフ率いる国王直属の『王国戦士団』は、厳しい訓練を積み重ねて入念に養成された精鋭の戦士達であり、その戦闘力は帝国兵にも劣らない。
また、ボウロロープ候お抱えの5000人の専業兵士達も王国戦士団に匹敵する力を持つとされ、帝国軍とまともに戦える戦力がない訳ではない。
しかし魔法面では魔法を軽視してきた歴史から、技術・人員共に全く育っておらず、その辺りの支援は冒険者や神殿勢力に頼り切りとなっており、魔法戦力など当然存在しない。
フールーダ・パラダインを始めとする帝国魔導部隊が本格的に戦場に出張って来た場合には、王国の敗北はほぼ確定するとされるが、その脅威すら国内では殆ど認識されていない。
劇中での経緯
ナザリック登場後の政情
八本指(厳密にはその中の警備部門である『六腕』)がナザリックに喧嘩を売ってしまった事が原因(とは言え元を辿れば、セバス・チャンの浅慮で撒かれた災いの種が花開いてしまった結果でもあったが)で、デミウルゴス主導の作戦『ゲヘナ』が発動された事により、衛士や冒険者を中心に少なくない犠牲者が出たばかりか1万人もの国民が拉致(ナザリック行きになった後、アインズの配慮で苦痛なき死を与えられアイテムや魔物にされる)され、王都の倉庫街の物資が奪われるなど人的・経済的にも痛手を負う。
表社会だけでなく、ナザリックからの制裁として八本指も最高戦力の六腕を全滅させられたばかりか、首脳陣が恐怖公の洗礼に屈服して支配された事により裏社会はナザリックにより支配され、王国はあずかり知らぬ間に実質国の半分を乗っ取られてしまう事になった。
この時、兵を出し渋った事によって貴族派閥は強気の姿勢を取れなくなった反面、王派閥の評価は上がり、貴族派閥に対して政治的に優位な状況を作り出す事に成功する。
王派閥はこれで改革に向けて一歩前進出来たと見えたが、今度はバハルス帝国を通したナザリックからの宣戦布告を受けた際に、その政治的に優位になった状況が災いして強硬姿勢を貫かざるを得なくなる。
そのため、アインズ・ウール・ゴウンの規格外の強さを知る王国戦士長ガゼフからは戦争を避ける様に訴えるものの、彼を信頼するランポッサⅢ世も本心ではガゼフの忠告に従いたかったのだが、前述の状況のせいで引き下がりたくても引き下がる事が出来ず、戦争に踏み切ってしまう。
大虐殺以後の政情
帝国・アインズとの開戦に至った王国だったが、それでもランポッサⅢ世やレエブン侯爵といった良識派はガゼフの進言を可能な限り聞き入れアインズの実力を最大限警戒。兵力5000相当と見積もり帝国軍ごと迎え撃たんと、過去最大の徴兵を行い24万5千という大軍を動員。
だが実際にはそれすら認識が甘く、アインズの超位魔法《黒き豊穣への貢(イア・シュブニグラス)》を受け王国軍24万5千人中計18万人が死亡。阿鼻叫喚の地獄絵図が展開された。戦士長ガゼフもアインズとの一騎討ちの果てに戦死し、軍事的空白を生じる事となった。
一方でカルネ村への調査として、本隊より割かれた5000の兵と共に別働隊として派遣された第一王子バルブロは、先の悪魔王都襲撃事件における汚名を返上しようと功を焦る余り恫喝まがいの強権的な言動の末に、彼らをアインズへの人質にすべく襲撃。村の住人と村長配下のゴブリンの半数近くを殺傷する。
だがその愚行の末に、新たに召喚された5000を超えるゴブリン軍団の反攻によって軍は壊滅。バルブロ自身は敗走後にアインズの命を受けたルプスレギナ・ベータに生き残り共々秘密裏に嬲り殺しにされた事で、死体が発見されず行方不明扱いとなり、第二王子ザナックが次期の王として躍進する原動力となった。
終戦後、王国は王家の直轄領地であるエ・ランテルとカッツェ平野を、アインズを国家元首とするアインズ・ウール・ゴウン魔導国に割譲を余儀なくされる。
辛うじて生き残った王国における数少ない知恵者レエブン侯爵も戦意喪失に伴う隠居を行い、王派閥はここに来て大きく弱体化し、再度貴族派閥とのパワーバランスは逆転する事となった。
こうしてリ・エスティーゼ王国は、醜い権力闘争の泥沼によりアインズとの武力衝突という最悪の事態と、取り返しのつかない大敗北を招いた。
敗戦後の政情
王国兵として動員された者の多くは農民であったため、食料生産能力を大きく損なわれた王国の国力はかつてない大打撃を受け、将来食糧危機に陥る事が避けられない状況となる。
王派閥に対して優位に立った貴族派閥も、先の敗戦で盟主ボウロロープ侯爵と次期国王に推していた第一王子バルブロを始め、上層部に位置していた当主や次期後継者の多くを喪うという人材面で回復不可能なレベルの大きなダメージを負う。
そのせいでフィリップ(『関係者』の項目を参照)を筆頭に、次男坊・三男坊といったそれまで一族内でおざなりにされていたろくな教育を受けていない者達が次期当主として繰り上がってしまい、元より酷かった派閥の上層部が更に愚鈍化。
更に八本指を介したアルベドの政治工作を受けて王国政府の首脳の大半が魔導国の傀儡と化し、王国最大の知恵者である第三王女のラナーも既に末期に陥った王国を完全に見限って魔導国に鞍替えしており、既定路線だった亡国への道は更に加速して進み、今や滅亡は時間の問題となっていた。
なお、ラナーがザナックにさりげなく「帝国を真似て属国を申し出ればよい」と最後の助け船を出していたが、貴族派閥による反乱で王国内で内戦になるという理由で即決断出来なかった(もっとも内戦になっても、属国となればアインズの力を借りる事が出来るため、鎮圧は容易だったろうが)。
…そして、ローブル聖王国でのヤルダバオト騒動終結後、疲弊した聖王国への食料支援のための魔導国の馬車が、とある王国貴族によって襲撃されるという衝撃の事件が発生。
これによって岐路に立たされていた王国の命運は、坂を転げ落ちる様に急転し始める。
滅亡
上述の襲撃事件を大義名分とし、王国滅亡計画を2~3年前倒しする形で遂に魔導国が王国へと宣戦布告をする(件の事件への制裁は初めこそ滅亡にする予定は無かったのだが、アインズの発言がデミウルゴスのいつものアレによっておかしな具合に転がった結果、処罰の内容がより厳しいものとなった)。
国内には緊張が走るも、息子を人質に取られた事で離反せざるを得なかったレエブン侯爵の行った情報封鎖と、魔導国軍の隠密行動によって侵攻の察知が遅れ、気付いた時には既に北部から攻め込まれている状態だった。
魔導国軍に対し交渉の余地なしと判断した王子ザナックは、国王ランポッサⅢ世を幽閉して実権を掌握。貴族や王都民、冒険者らを糾合して戦力をかき集め、総勢40万人という『大虐殺』時をも遥かに凌ぐ大軍で迎え撃ったが、数だけの寄せ集めで階層守護者クラスも出陣していた魔導国軍に対抗出来る筈もなく、配下の裏切りでザナックが死亡した事もあり王国の組織的な抵抗は終わりを告げた。
同様の襲撃は王国全土へと波及し、冒険者らも組合の決まりに反して防衛戦に参加するなどして奮闘したが衆寡敵せず、『蒼の薔薇』などの一部の著名な有力者も、王国より仲間の命を優先して国外へ亡命した(なお、漆黒聖典に引き抜かれた冒険者や実力者も転移によって脱出している)。
王国領土は王都を含め貴賤老若男女を問わずほぼ完全に殲滅され、建造物に対しても徹底的な破却が行われた。建国から200年の歴史を持つ人類種最大の国家は、『魔導王に逆らった愚か者の末路』を象徴する瓦礫の山と成り、その歴史に幕を引いた。
魔導国に協力したレエブン侯爵のエ・レエブルなどの一部の地域を残し、リ・エスティーゼ王国は消え去った。
滅亡の決め手となった最後の一押しは、魔導国の陰謀でも第三者の一手でもなく王国自身の愚かさのミニチュアの様な愚者の暴発だというのは、何とも皮肉な話である。
Ifの可能性
書籍版14巻に掲載されたザナックのキャラクター紹介文には、『ザナック、ラナー、レエブン侯、ガゼフの四人が本心で協力しあえば帝国の侵攻を撥ね除け、強い王国が取り戻せた』と書かれている(ちなみに、書籍版でザナックが協力を得る事が出来ていたのはレエブン候のみだった)。
しかしそこに至るまでの前提条件が、『ラナーが王国を裏切らない様にアニマルセラピーではないメンタルケアを施しておく』、『ナザリックが転移して来ていない状態で第一王子のバルブロが死んでいる』事となっているので、『バルブロが生まれない世界線』か『バルブロが既に死んでいる世界線』でない限り、どのみち王国の再建は不可能だと思われる。
そもそも本編基準で考えた場合、ナザリックが転移していないとガゼフは確実に陽光聖典に殺害されていたため、結局のところ前述の王国再建は夢物語でしかない。
また、ナザリックが転移してこないという状況も不可能だと思われる。その理由となる根拠は作者が過去に、「例えアインズが転移して来ずともナザリック勢はデミウルゴスを筆頭に、5年でナザリック半壊と引き換えに地図上の大陸を武力ごり押しで掌握する(意訳)」と語っている事にあり、更に言えば前述の作者のコメントを見る限り、《ユグドラシル》のサービス終了日までにナザリック地下大墳墓や所属NPC達が消えでもしない限り、彼等が異世界に転移して来る事は恐らく止められないため。
アインズという慈悲ストッパーがいないナザリックは八欲王以上に凶悪な存在なので、転移後の世界にとってはどのみち無理ゲーである。
現にアインズがナザリックとは別に転移した外伝では、ナザリックは200年後の時点で「3つの国を滅ぼした悪魔の巣」として恐れられているが、この3つの国の内の2つは王国と法国の可能性が高い(残り1つは帝国の可能性もあるが、こちらは滅ぼすよりも本編と同様に傘下に置いた方がメリットが大きいともデミウルゴス辺りが考察する可能性もある為、法国の次に異種族への敵愾心が強い聖王国の方かもしれない)。
関係者
ランポッサⅢ世
リ・エスティーゼ王国の国王。民が暮らしやすい国を作ろうと苦心している慈悲深い王であるが、優し過ぎるが故に非情な決断を下す事が出来ず、内外を含めた諸々の問題を先送りにしてしまっている
ガゼフ・ストロノーフ
王国戦士長。近隣諸国最強の剣士であり、正義感が強い。元々は王侯貴族に対して偏見を抱いていたが、ランポッサⅢ世との出会いを切っ掛けに考えを改めて以降は、絶対の忠誠を誓っている。
WEB版では書籍版とは異なりアインズとの関係性が希薄なため、『大虐殺』以降も生存している。
バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフ
第一王子。武にこそ優れるが人格面には大きく問題があり、権威を笠に着た傲慢な言動が多い。
父のランポッサⅢ世が王としての素質に欠けながらも国民の事を常に思っているのに対して、バルブロ自身には臣下や民草を慮る気持ちはまるで無く、カルネ村の王国からの離反を決定的なものとした。ゴブリン軍団に敗走した後は、敗走兵ごと始末され行方不明という扱いとなる。
WEB版では名もなき王国兵がカルネ村を襲撃した為、登場していない。また、アインズはザナックとの会談までバルブロの存在を忘れていた。
ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフ
第二王子。小太りの容貌や不遜な態度等により、一部からは無能だと思われているが、実際は王国の現状を正しく理解している貴重な人物。
そして跡継ぎになれない第二王子という立場上、後援してくれる貴族も王宮内に親しい友人もいない中、王家の将来を考えコツコツと自分の出来る事をすべく努力してきた才人でもある。
ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ
第三王女。父からは無垢な子と思われ溺愛されているが、実は作中で最高を争える智謀を誇る策士であり、自分に仕えるクライムとの幸せな生活を獲得するためにのみ、その智謀を用いる。
書籍版では滅亡の一途を辿る祖国には既に見切りをつけ、ナザリックに鞍替えして内通者として裏工作に従事している。
WEB版ではデミウルゴスがラナーに会いに行っていないのでラナーが手にかける人物が激減しており(クライムを嫌うメイド程度の暗殺で済んでいる)、まだ王国と王国民を裏切っていないが、クライムと逃げる為に王の暗殺は目論んでいる。
エリアス・ブラント・デイル・レエブン
六大貴族筆頭の家柄で爵位は侯爵。両派閥にすり寄り立ち位置を変え飛び回る姿から、「蝙蝠」と揶揄される。かつては王位の簒奪を狙う程の野心家であったためにガゼフなどからは嫌われているが、それは仮の姿で本性は国王の同志にして、自国の現状を憂い国の改革を志す忠臣。
しかし『大虐殺』におけるアインズの規格外の魔法によって彼の心は折られ、WEB版では逃げ切れずに死亡してしまったが、書籍版では命からがら生還した。
ボウロロープ
六大貴族の1人。かつては勇猛果敢な猛将として知られ、全盛期を過ぎた現在は若かりし頃に培われた戦術眼を活かし、指揮官の役割を担う事が多い。
典型的な選民思想の持ち主で、王国の会議に貴族以外の者が出席するのも苦々しく思っているため、正反対の性格のガゼフとは互いに嫌い抜いている犬猿の仲。
クライム
ラナー専属の護衛の騎士。元はラナーに拾われた孤児で、ラナーに絶対の忠誠を誓うと同時に、淡い恋心を抱いている。
才能は無いが、たゆまぬ訓練の成果で王国戦士団の中堅(冒険者で言えば金(ゴールド)級)が務まる程度には強い。
ブレイン・アングラウス
剣の高みを目指す剣士。ガゼフに敗れて以降、彼を打倒に剣の腕を磨いていた。
シャルティアに完敗し心を折られて打ちひしがれていたが、セバスとクライムに出会った事で立ち直った。
アルチェル・ニズン・エイク・フォンドール
WEB版でのみ登場。貴族派閥に属し、王国の使者としてナザリックに赴いた儀典官。
アインズの逆鱗に触れるという取り返しのつかない大失態を犯した事で、バハルス帝国にアインズを帝国貴族入りさせるという後れをとり、後の『大虐殺』を引き起こすきっかけを作ってしまう。
クロード・ラウナレス・ロキア・クルベルク
WEB版でのみ登場。貴族派閥に属し、王国の使者としてナザリックに赴いた儀典官アルチェルを護衛する戦士だが、実はアルチェルよりも高い地位にいる。
アルチェルよりは物事への分別を持っており、彼の度を越した傲慢な態度に思わず眉を顰める事はあれど、それを咎める事を怠ったが為に、最期は巻き添えとしてアルチェル共々ケルベロスに食い殺される事になった。
その結果、アインズをバハルス帝国貴族入りされるという遅れをとり、ナザリックはアインズの判断でバハルス帝国の下につく事になった。
チエネイコ
貴族派閥に属する下級貴族。バルブロ第一王子に腰巾着として取り入っているが、その下衆な人格から他の貴族達はおろか、当のバルブロからも内心では蔑まれ唾棄されている。
フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス
下級貴族のモチャラス男爵家の三男坊。次男は病死、長男は上項の大虐殺で死亡した事で、次期当主の座が転がり込んできた。元々後継者争いからは除外されていたため野心は強い。
しかしその内面は、『前代未聞』『空前絶後』と言っても過言では無いであろう程の愚者であり、作中において誰もが予想し得なかった暴挙及び、とんでもない結果を招いてしまう。
ヴィアネ・デルヴィ
痩身で冴えない風貌をした下級貴族。フィリップ率いる新興派閥に属し、彼同様に冷や飯ぐらいの次男三男から当主に成り上がったボンクラ若手貴族だが、その中では例外的にそれなりには悪知恵の働く野心家。
八本指の傀儡にされているフィリップを排除し、自分が新興派閥の新たなリーダーに成り代わろうとするも、フィリップを唆して愚挙に走らせた事が破滅を招いた(もっとも、魔導国は無能な貴族達を最終的には纏めて始末する予定だった為、予定が2、3年早まっただけとも言える)。
イーグ・ロキルレン
大柄でガッシリとした体格の下級貴族で、前述のデルヴィの相棒。デルヴィ同様新興派閥に属する成り上がり者のボンクラ若手貴族で、デルヴィの横で寡黙に控え、睨みを利かす様な振る舞いを見せている。
…のだが実際のところ、お世辞もまともに言えない程頭が悪いボンクラらしい無能者で、デルヴィに上手いこと利用されてその腰巾着に成り下がっている。
王国滅亡後はデルヴィ共々アルベドによって処刑され、エピローグで首だけの状態となって再登場した。
アズス・アインドラ
アダマンタイト級冒険者チーム、『朱の雫』のリーダー。『蒼の薔薇』リーダーのラキュースとは親戚同士で、彼女の叔父にあたる人物。
ヴェスチャー・クロフ・ディ・ローファン
元アダマンタイト級冒険者チームのリーダー。既に冒険者を引退しており、現在は気に入った人間にのみ剣術を教える道場を経営している。ガゼフの師匠に当たる存在だった。
関連タグ
オーバーロード12巻作者雑感|丸山くがねの活動報告(王様優秀度ランキング)
周辺諸国の中で最も王国に近しい国。王国と同様に腐敗貴族と平和ボケが蔓延っているにも拘わらず、大々的な改革を怠る者が現王を務めている所が共通している。
それ故にかは定かではないが、評判の悪い王国とは唯一良好(寄り)な関係を築けていた。また、国名に『王国』が入っているのも共通している。