概要
ナザリック地下大墳墓の主であるモモンガことアインズ・ウール・ゴウンは、演技力や冷静さの上では確かに支配者を演じる名人ではあったが、ただ一点のみ足りないものがあった。
それは最も重要で、『真の支配者』たる根幹を成すもの…『頭脳』である。
転移前は一介のサラリーマンに過ぎなかったアインズに、これだけは得意の支配者ロールでもどうにもならず、自身の化けの皮が剥がれる危機は一度ならずあった。
これを救い、支えたのがナザリック一の知恵者である階層守護者デミウルゴスの頭脳…と、アインズを「自分など足元にも及ばぬ神算鬼謀の持ち主」と信じて疑わない彼の絶大なる忠誠心から来る、勝手な勘違い及び深読みだったのである。
アインズに認められたいデミウルゴスは、アインズの神の如き智謀の一端を少しでも垣間見ようと、日々必死に知恵を絞り、作戦や策謀を思案し続けている。
アインズはこれを上手いこと利用し、
デミウルゴス「なるほど…そういうことでしたか!さすがはアインズ様!」
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アインズ「よ、よく分かったな、デミウルゴスよ!分かっていない者も居るようだから、皆に説明してあげなさい」
↓
デミウルゴス「かしこまりました!では…いいかね諸君、アインズ様はこのようにお考えだ」
…という具合に、デミウルゴスの「元からありもしないアインズの考えを読んだつもりになって考えた案」を追認して「自身が元から考えていたもの」として演出する事で、他のシモベ達にも元はただの凡人だという己の実態を誤魔化していたのである。
はっきり言わせて貰うと頭脳面に関してはデミウルゴスに丸投げであり、アインズにしてみれば「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな?」と言えてしまえる程、ナザリックの支配・運営や自身の支配者ロールを支える上で無くてはならない存在になっていたのである。
それはかの有名漫画の主人公であるネコ型ロボットと、彼がいつも手助けしている小学生の関係を彷彿とさせるものであったためか、作者をして「デミえもん」という通称が付けられるに至った。
これは読者の間にも浸透し、ネタとして愛されていくことになるのであった。
…とはいえ、アインズの言動や思考を勝手に深読みして事態を思わぬ方向へ持って行くことも少なくなく、支配者を演じるために追認せざるを得なくなっているというのが実態で、結果的にアインズはデミウルゴスの勝手な行動を抑制できないという結果にも繋がっている。
一応、アインズ自身もこの事態には憂慮しており、流れに身を任せるままになるのは避けようと画策してはいるものの、上述の通り、デミウルゴスの行動を抑制し過ぎることはアインズが最も恐れる支配者ロールの崩壊に直結するので、根本的な問題の解決には至っていない。
このため、デミウルゴスから「なるほど、そういうことでしたか!」「さすがはアインズ様!」という台詞が飛び出した時は、「またか、またなのか!?」「なるほど…分からん!」とアインズは心中で困惑させられ、今は無き胃袋が痛むような気になることが多々である…。
なお、忠誠心由来という根本が同じであるためか、似たような手法でアルベドやパンドラズ・アクターなどの他の知恵者から案を引き出す事も可能である。