概要
2022年2月16日のプレスリリースでJR西日本が導入を発表した直流特急形電車。同社では283系以来実に27年ぶりとなる振り子式特急形電車であり、他社を含めてもJR九州の885系以来23年ぶりの新形式振り子式特急形電車である。
岡山駅〜出雲市駅間(山陽本線・伯備線・山陰本線経由)の特急「やくも」に使用されている381系電車を置き換えるために製造される。2023年10月に実車が落成し、44両(4両×11編成)が投入される。
2024年4月6日より運用開始。
当初は下り「やくも5・7・11・21・23・27号」、上り「やくも4・6・10・20・22・26号」の6往復で、順次本数を増やしていき、6月15日に定期列車(11往復)が全てが273系になる。これにともない、381系は6月14日をもって定期運用を離脱する。
車内チャイムは山陰地方発のバンド・Official髭男dismの曲が起用される予定。
上り・岡山方面はPretender、下り・出雲市方面はI LOVE…がそれぞれ流れる。
外装
10/20にデザインが公開された。
現在走っている白色に赤の塗装がされたものとは大きく異なり、「やくもブロンズ」という銅色をベースにした車体となる。ブロンズカラーは鉄道車両では珍しいメタリック塗装を採用している。
ライトは287系のものを縦に引き伸ばしたような形となっており、前照灯も横配置から縦配置になっている。
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内装
JR西日本の在来系列とは明らかに趣の異なる意匠が採られており、シートモケットは普通車が緑/青緑、グリーン車が赤/黄色となっている。また、各車両に大型荷物スペースが設置されており、この部分の窓が潰されている。
新たな設備として、クモロハ272の連結面側には「グループ席」なる2または4人用サロンルームが設けられた。座面を展開することでフルフラット化することも可能。
全席コンセント付・Wi-Fi装備。
振り子装置
381系電車(国鉄→JR東海・JR西日本)で採用された自然付振り子方式や、2000系気動車(JR四国・土佐くろしお鉄道)以来全国各社の車両で採用されてきた制御付自然振り子方式をさらに発展させた、「車上型の制御付自然振り子方式」が国内で初めて採用される。
これはJR西日本・鉄道総合技術研究所・川崎車両の3社が共同開発し、本系列で初めて実用化するもので、車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させることにより乗り心地を向上させる。
要するに、地上設備への投資なしで振り子制御が可能というものである。また、在来の制御式振り子車と比べても「乗り物酔い評価指数」という何だかよく分からない値が最大23%低減されるらしい。