概要
1999年12月4日のダイヤ改正で中央本線名古屋-中津川間(中央西線)に設定された快速列車。
従来、毎時2本が運行されていた同区間の快速のうち1本を置き換える形での誕生だった。
大きく
の2パターンの運行形態があった。
最大の特徴は乗車には1枚310円の乗車整理券が必要な点で、その分着席が保証され、後述するように乗り心地も上がっていた。
停車駅も従来の快速より減らされており、所要時間を短縮していた。
使用車両
専用車両として、313系電車のアップグレード版「8000番台」が用意された。
同時期に投入されていた一般的な313系との主な差異は
- 運転台周りの「白塗り」塗装が無くなり、側面もオレンジ色の面積が大きい専用デザインに
- 座席は同じ転換クロスシートだが、シートピッチを875mm→910mmに拡大
- 固定されていたドア横の座席も転換可能に
- 車端部は固定式のボックスシートだが、大きめのテーブルを設置
- 窓の日除けがブラインドからカーテンに
- ドア横に遮風板を設置(373系のデッキ・客室仕切りに近い構造)
- セントラルライナー運用中は中間ドアを締め切り、それを示す表示器を設置
- 着席前提のため、車内のLED案内をドア上から通路上に移設
設計最高速度130km/hの313系を、実際に営業運転中に130km/hで走らせた初の列車でもある。
ただし運転開始直後は110km/hで、10km/hずつ増速したものの全て停車時間の増加などに充てられたため、速度向上後も所要時間には変化が無かった。
編成は3両が基本で、2本繋いだ6両での運転もあった。
運転開始直後は車両が不足しており、特急用の373系や383系が代走したこともある。383系にはグリーン車があったが、流石に非営業で普通車5両のみで客扱いをしていた(この名残で373系は今も「セントラルライナー」の表示が可能だったりする)。
特例
セントラルライナーは乗車整理券を持っていない場合は原則として乗車できなかったが、多治見から中津川の間の各駅を相互に利用する場合は乗車整理券不要で乗車できる特例があった。
冒頭に述べた通り、従来の快速を置き換える形で設定したことによる救済措置である。
なお、当該区間内であっても乗車整理券を所持する乗客が後から来た場合、席を譲らなければならなかった。
廃止へ
当初は名古屋駅のJRセントラルタワーズ開業景気などもあり人気を博したが、通過とされた駅での停車列車の間隔が不均等になり、それらの利用者からはあまり評判が良くなかった。
グレードが上がったとは言え所詮は他の313系と同じ転換クロスシートであり、310円の価値は無いとして「銭取られるライナー」などと揶揄する向きもあった。
それをいつまでも擦り続けたのは鉄道ファンくらいのものであったが、次第に利用率が低下していったことは確かで、ついに2013年3月のダイヤ改正で廃止された。
廃止に際しては、1999年以前のダイヤへの復旧ではなく、従来多治見止まりであった快速のうち毎時1本を中津川まで延長運転して代替するという形が取られたため、トータルでは減便になった。
その後
車両は専用仕様を維持したまま一般の313系に混ぜられて使用された後、新型315系の投入に伴い2022年3月のダイヤ改正で全車が静岡車両区に転属。以降は現地の313系に混ぜられて東海道本線静岡口を中心に使用されている。
乗車整理券を取らなくなってからは一転して「乗り得列車」と言われるようになっており、特に静岡では長らくロングシート車両のみが投入されてきた所に突如現れた救世主のような存在として崇められている
…というのはせいぜい「18きっぱー」くらいの話。最大10両編成を組めた中央西線時代はまだしも、3両単独もあり得る静岡の普通列車に上記の仕様は明らかに力不足(「役不足」ではなく)であり、地元では混雑や遅延の原因としてありがた迷惑に思われているのが実情である。
8000番台以外の313系は、同じ東海道本線でも元々転換クロスシート車の多かった名古屋口に移動したものが多く、冷静な鉄道ファンもこの采配には首を傾げている(「18きっぱー」を喜ばせるような長距離列車用に持ってきたという風でもなく、これらである意味が見出せないとのこと)。
関連タグ
185系:「特急なのに転換クロスシート」ということでぼったくり呼ばわりされた例。リクライニングシートへの交換で解消。
新快速(JR西日本):一部列車に「Aシート」を連結するという形で着席保証と追加料金の徴収を行っている。ちなみにリクライニングシート。私鉄各社にも同様の運行形態を取るところがあり、近年はこちらの方式が主流と言える。