CV
キャラクター性
偶然タイムパトロール(T・P)の(見習い)隊員となった主人公ぼんを付ききりで指導する先輩隊員で、キリリとしたキャラである。藤子・F・不二雄のヒロインとしては珍しいロングヘアを持ち、『ドラえもん』に登場した『ロッテ・ミュンヒハウゼン』や『雪の精』と同系列のキャラと言える。
なお、リームとブヨヨンは漫画では第一部にしか登場しておらず、1989年版と2024年版のアニメでも実質的に安川ユミ子へとヒロイン交代が行われている。また、第一部の設定とは異なり、第二部の途中から「タイムパトロール隊員はペアでの行動が原則」という新たな設定が突如として作られたため、安川ユミ子は見習いの終了後もぼんとのペアを継続している。
これには月刊少年ワールドの休刊によって突如として作品が休載になり、新たに第二部として再出発したこと、藤子・F・不二雄の体調悪化によって第二部と第三部の連載が不安定化して(これによって不二雄は以降は大長編ドラえもんの執筆のみを専ら行うようになった)、そして不二雄の死によって結局は事実上の打ち切りになったこと(関係者によれば、不二雄は自分の死の直前にも作品の継続を望んでいたとされている)などが関係しており、リームの退場とユミ子の登場と白木陽子の退場(こちらもユミ子に立場を取って代わられて途中から登場しなくなった)はセットで発生している。
その代わり、不二雄が体調悪化のために連載を打ち切った後でありながらも存命中に作られた1989年版のアニメではリームのヒロイン性(ぼんへの恋愛感情など)が高められており、ブヨヨンの登場も継続しているなど漫画版から大きく変更されている部分が目立つ。このアニメには不二雄は少なくとも監修または内容のチェックなどを行っていたはずであるため、リームやブヨヨンの復帰とぼんとの恋愛模様も作者が本来描きたかった内容の可能性も否定できない。
- ヒロイン交代はまだしも、マスコットキャラクターとして設定されたはずのブヨヨンも第一部で退場しているので、作品が出発した時点では本来は第一部の路線とリームの登場の継続が作者の念頭にあった可能性を指摘する声も存在する(参照)。
2024年版では、上記の「タイムパトロール隊員のペアでの行動」という設定の矛盾を解消するためなのか、リームは「処理課への突然の異動」という新たな設定によってシーズン1を終えた。
人物
通称「リーム」。名前から外国人と思われるが何人であるかは明らかにされていない(「お前、アメリカ人だな」と言われるシーンはある。Netflix版においては国籍・出身はともかく、アメリカに住んでいることは作中の会話で明確に示された)。なお「外国人同士でも普通に会話ができる」という漫画あるあるは、本作では圧縮学習で外国語が簡単に習得できるため通用しない。
実際の年齢は不明。ぼんの先輩でもあるためにぼんよりも年上にも見えるような場面もある一方で、アメリカのミドルスクールの3年生である事を考慮するとぼんと同い年の可能性もある。
しっかり者ではあるが、ぼんをT・P隊員にした原因が、自分のうっかりミスで絶対秘密のT・Pの存在を知られてしまったこと(しかもその原因がタイムボートの手入れのサボりによりボートが事故ってテンパったため)、さらに秘密を知られたぼんを消しに行ったらカナヅチで海で溺れて逆に助けられたり、装備の整備を怠っていたぼんを叱っている最中に自分もそうだったことをバラされたり、ホログラムを「めったに効果のあったためしはないけど」と言いつつ作戦が失敗すると「まいったなぁ、次の手なんにも考えてないのよ」だったりと、実はけっこうドジっ娘だったりするのかもしれない。間違ってもしっかり者のユミ子とドジを踏んだ回数の比較をしてはいけない。
二人でドジを踏んだ最悪のケースとしては、ぼんが退屈しのぎにタイムボートでドライブしようとしたら点検サボりで逆流時間を洩らしてしまい、それを見つけたリームがぼんを正座させて「点検整備を怠るなんてT・Pの恥よ、そもそもあんたは……」と説教垂れたところで、自分も点検サボりでしょっちゅう故障させているのをブヨヨンにバラされて赤っ恥をかいて、その後の任務で二人仲良くタイムボートを故障させて、修理しようにもバッテリーがあがってて途方にくれるが、打ち上げられたのがたまたま20世紀で、さらにカメラを持ったジャルパックツアーの男性(おそらく藤本弘本人)がたまたま通りかかったことから「人助けのためです、許して!」とカメラの水銀電池を二人がかりで強奪して任務続行するも、タイムボートが本調子でないことから最終的に巨大牛の角で胸を突かれて二人とも一度死ぬが、たまたま近くを漂流していたぼんのぽんこつタイムボートが逆流時間を撒き散らしたことで助かる、というもの。こいつら結婚してもこのノリの夫婦になるのであろう。
その他に、寒さしのぎでぼんがたまたま持っていたブタの着ぐるみを着てタイムボートに乗っていた姿を玄奘三蔵に見られて、しかもフォゲッターを働かせるのを忘れていたため猪八戒として伝説を残しブヨヨンに「ブタ」呼ばわりされてしまう失態も。
実生活では2016年に住むミドルスクールの3年生。時間移動で通る際の超空間の謎の生物ブヨヨンを引き連れている。2016年から8年も経った2024年に公開されたNetflix版では2056年に変更されていた。
原作では単なるぼんの良き先輩だったが、日テレアニメ版では恋愛感情があった模様で、危機に陥ったときに「酸素のお裾分けの口付け」をしている……もしかしたら消されそうになったぼんが「女の子とデートしたこともないのに」とゲロしたのを同情しただけかもしれないが。ただ原作も最終エピソードで危機に陥ったときに「今度の仕事だけは、どうしても一緒にやりたかった」と涙ながらに告白する面を見せている。しかもこっちは誰もいない未来の世界でテントの中で一夜を共にしている(ただしブヨもいた)。
なお補足しておくと、ぼんは1979年で14歳なので、リームが住んでいる2016年でも存命していれば51歳でリームと36歳差となる。よって二人がその気になれば歳の差婚は十分可能である……実際のコンビである過去の時間軸のぼんと、リームの生きる時間軸のぼんが同一人物になるかという根本的な疑問は残るが。
ぼんの正隊員昇格と共に指導から離れコンビを解消した。原作ではその後一度ワンシーンのみ描かれただけでそれ以後出てないが、二度目の休暇旅行でぼんがリームを懐かしむシーンが登場する。なおコンビ解消の本当の理由は掲載誌の休刊により連載が一旦打ち切られたためで、その後、後継誌で連載が再開されユミ子編が描かれることになる。
ユミ子編は連載中に「T・Pは原則二人で行動すること」というルールが追加されたことで、ユミ子は正隊員に昇格した後もぼんとコンビを組んだままとなっている。リームは泣く泣くコンビ解消したというのに、何故にロングヘアのFヒロインはこうも扱いが薄幸なのか……
ぼんを仕事に誘うのにぼんが帰ってくるのを待つときは、ぼんの部屋のベッドで寝っ転がって待っていることが多い。いくらぼんの両親が共働きで昼間不在になるとは言え他人の家でやりたい放題である。それ以前にタイムボートがあるのに何でわざわざ待つんだよという話になるのだが、ぼんのベッドが恋しいのか、はたまた自分の匂いをマーキングしているのか。
日テレアニメ版では実の兄がT・P隊員として登場しており、原作でセミクジラを救おうとして殺人を行おうとしたタイムパトロール員の役割を担っている。
Netflixアニメ版では回想シーンのみであるが、リームの見習い時代の先輩隊員として、リームによく似た(というより姉にしか見えない)女性隊員が登場する。リーム自身はぼんの正隊員昇格と共に「特異現象処理課」に異動になり、ぼんとのコンビを解消する流れになった。
全くの余談だが、ゴーグル付きヘルメット・ノースリーブ・ミニスカ・ロングブーツの出で立ちが「丸善ガソリン100ダッシュ」の小川ローザと一緒なのは時代性だろうか?
オー、モーレツ!
なおリームの制服のVネックの部分は白地の生地であり肌が露出しているわけではない……と思われがちだが、実際のところ現在確認できるカラー画稿でも肌が露出している場合と白のインナーが描かれている場合、さらには色合いが微妙でどっちつかずの場合があり安定していない。なお、Netflix版アニメは肌が露出したバージョンでデザインされた。
映画ドラえもんでの客演について
同作者の人気漫画を原作にしたアニメ映画のリメイク作品「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」にてリームと思わしき人物がゲスト出演を果たした。(この際、ぼん、安川ユミ子と思わしきキャラも登場している。)
劇場版のスタッフロールでは正体は明かされなかったものの、同作をモチーフにしたゲーム版ではリーム隊長と記載されており、正体が彼女であることはほぼ確実に。
そしてさらに2017年に同作品がテレビ放映された際、TP隊長のセリフ字幕にもリーム隊長と表記されており、彼女が正体と確定したと言っても、間違いないであろう。
監督のインタビューを要約すると「作劇上クライマックスでのび太の家出を見届ける大人が必要となったがママがその場にいるわけがない。そう思った時にT・Pぼんに女性のTP隊員がいることを思い出した」という流れで起用された。
奇しくも同作はリームの時代と同じ2016年上映の作品であるものの特にゲスト出演の経緯に関係はなく、監督はのちにそのことを知ったという。
関連タグ
リング・スノー・ストーム:『クレヨンしんちゃん』シリーズに登場したパロキャラ。なお名前は「吹雪丸」を直訳したもの。