概要
青池保子の漫画作品。
1976年から少女漫画雑誌『別冊ビバプリンセス』(秋田書店)に連載、その後『月刊プリンセス』(秋田書店)⇒2008年に少女漫画雑誌『プリンセスGOLD』(秋田書店)に掲載誌を移し連載されている。
美術品専門の怪盗エロイカ(伯爵)と、国際条約機構NATO軍所属のエーベルバッハ少佐(少佐)が主人公で、この2名が任務によって敵対したり共闘したりを繰り返す、世界規模の追いかけっこが主軸となる。
伯爵は少佐に対し長年にわたり一途な恋心を抱いており、非常に近しい関係ではあるものの、少佐は伯爵に全くなびかない、いわば報われない片想い関係である。
細部まで緻密に練られたハードでスケールの大きなストーリー展開と、個性的なキャラクター陣によるコメディ要素のバランスの妙が最大の特色のひとつ。
ごく初期は、少女漫画らしいキャラクターが登場するなどラブコメテイストも濃かったのだが、巻を重ねるごとにヒゲ、ハゲなどの親父キャラばかりが生き生きと活躍する世界観が濃くなり、おっさん天国漫画になってしまった。
なお本編のギャグ成分を完全に排除したスパイ漫画として、エーベルバッハ少佐が冷徹に任務にあたる姿を描いた超ハードボイルドな外伝『魔弾の射手』や、部下Zを主人公に据えたスピンオフ『Z -ツェット-』(※)なども発表されている他、
作者の代表作『イブの息子たち』とのクロスオーバー番外編「プリズナー69」「グッド・カンパニー」が存在し、後者では少佐の指令の元に奮闘する部下Gの姿が描かれているがこちらは完全にコメディ寄り。彼"女"がまだ"彼"だった頃の姿を見ることができる。(結局女装はするけど)
また、『ブラック・ジャック』30周年を記念した企画でのコラボマンガも存在する。
本作はアニメ化はされていないものの、ボイスドラマが収録されたレコードが存在する。
CVは伯爵:野沢那智、少佐:中田浩二、仔熊のミーシャ:森山周一郎、ジェイムズ君:古川登志夫、部下Z:森功至。
そして主題歌を担当したのはなんと水木一郎アニキである。
……起用された理由にアニキの絶叫と少佐の部下は多分関係ない。
※『Z-ツェット-』の発表と本編での部下Zの登場はほぼ同時期であり、部下Zが人気を集めてスピンオフが製作されたわけではない。
余談
本作品は第4回講談社漫画賞(1980年)の少女部門にノミネートされたが(惜しくも受賞は逃している)、このノミネート以降約30年程秋田書店作品がノミネートすらされなかった(次にノミネートした作品は第34回少年部門の渡辺航「弱虫ペダル」で、第39回で同部門を受賞している)。