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概要編集

海上自衛隊が運用していた護衛艦の艦級で、先行するやまぐも型をもとに、主兵装をアスロック対潜ミサイルからQH-50 DASH(無人対潜ヘリコプター)2機に改めた派生型である。型の船体・機関は、おおむね37DDKに準じているが、船体後方をDASHの運用スペースにあてるため、甲板配置の都合上から煙突を一本化した。なお37DDKでは艦橋構造物と煙突が一体化して前部上部構造物を形成していたが、本型ではディーゼル主機の振動の影響を軽減するために分離されており、これはやまぐも型後期型においても踏襲されることになった。3番艦「むらくも」は艦橋上部に防空指揮所を追加しており、前方向からの印象が若干異なる。後部上部構造物は、前端に第2方位盤、その直後に2番砲塔が設置され、後端はDASH用のハンガーとされた。その後方の艦尾甲板はDASH用の発着甲板とされている。またたかつき型後期型と同様に、凌波性を向上するため艦首外舷にはナックルが設けられ、主錨配置もこれに準じている。なお、後にDASHの運用設備を撤去してアスロックを搭載する際、船体強度を確保するため、全長の約7割にわたる細長い鋼板ベルトが片舷2枚ずつ取り付けられた。


装備編集

本型のセンサは、電波探知装置は37DDKのものが踏襲されているが、レーダーは性能向上型のOPS-11B、ソナーは同型のAN/SQS-23と同等の性能を備えた国産のOQS-3に更新された。また、むらくもではSQS-35(J)可変深度ソナーが搭載されたが、これは本機を就役時から搭載した海自DD初の例であった。


武器システムにおいては、上述の通り、アスロック対潜ミサイルのMk.16 GMLS(Mk.112 8連装発射機など)にかえてQH-50 DASH(無人対潜ヘリコプター)2機の運用設備を設置していることが最大の変更点である。DASHは、アスロックをはるかに上回る長距離の対潜火力として期待された、期待の新装備であった。しかしアメリカ海軍においては、事故が多発したために1969年には運用中止となり、予備部品の供給途絶に伴って、海上自衛隊でも1979年運用中止となった。このことから、DASHの運用設備をSH-2F LAMPS Mk.Iヘリコプター用に転用する案があったが実現せず、結局1979年及び82年にこれを撤去し、アスロックに換装して、兵装面ではやまぐも型と同一になった。主砲は、37DDKと同じく68式50口径3インチ連装速射砲を2基搭載した。砲射撃指揮装置(GFCS)としては、1番艦「みねぐも」においては、前方の第1方位盤としてはMk.56、後方の第2方位盤としてはMk.63と、37DDKの構成が踏襲され、2番艦「なつぐも」以降では第1方位盤を国産のFCS-1Bに更新した。アスロックと同様、DASHにおいても、対潜攻撃中は第1方位盤を使って追尾してやる必要があるため、対空射撃は手動のMk.63のみとなり、やまぐも型と同様に経空脅威対処能力の低下が課題とされた。アスロックよりもDASHのほうが攻撃所要時間が長いため、この課題は、本型において特に重大であった。


来歴編集

第2次・第3次防衛力整備計画中の1965年から1967年度計画で計3隻が建造されたが、DASHの運用成績が不良であったことから、1969年度計画以降の建造艦は再び37DDKの設計に準じて建造されることになった。また本型も、後にDASHの運用設備をアスロックに換装している。やまぐも型とともに8艦6機体制時代の護衛艦隊を長く支えたのち、1990年代後半に相次いで練習艦に種別変更され、1999年から2000年にかけて除籍された。


同型艦編集

  • みねぐも(DD-116、TV-3509)

⇒旧海軍朝潮型駆逐艦8番艦「峯雲」に続き2代目。

  • なつぐも(DD-117、TV-3510)

⇒旧海軍朝潮型駆逐艦7番艦「夏雲」に続き2代目。

  • むらくも(DD-118、TV-3511)

⇒旧海軍東雲型駆逐艦2番艦「叢雲」、吹雪型駆逐艦5番艦「叢雲」に続き3代目。


関連タグ編集

護衛艦 海上自衛隊

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