アキレスと亀
あきれすとかめ
北野武監督の映画⇒アキレスと亀(映画)
ある時、鈍足の代名詞でもある亀はアキレスという俊足で有名な人物と徒競走することになりました。ルールはシンプルであり、アキレスが亀を追い越したら、アキレスの勝ち。亀がアキレスに追い越されなければ、亀の勝ちです。時間制限や、距離の制限などはなく、アキレスが亀を追い抜きさえすればアキレスの勝ちです。ただし、アキレスは亀へのハンディキャップとして100mほど先行させることにしました。
アキレスは「お前なんかすぐ追い抜いてやるよ!」と自信満々でスタートをきりますが、不思議なことにアキレスは亀を追い越せません。
なぜでしょう?
アキレスの出発点を「A」とし、アキレスが出発した時の亀の位置を「B」とする時、アキレスが「B」に到着した時にも亀は移動を続けているため、「B」よりも数メートル先行した地点「C」にいます。次にアキレスが地点「C」に到着した時、亀はさらに数センチ進んだ地点「D」にいます。この事象を繰り返した時、アキレスと亀の距離は限りなく0に近づきますが、決してアキレスが亀を追い越すことはできません。
この問題では俯瞰的にみれば亀とアキレスの絶対速度が違うために将来的にはアキレスが亀を追い抜くように思われますが、この問題の味噌は時間が相対的であり、その主観が亀にあるということです。ちなみに「機械が測る時間」と「人が感じる時間」は必ずしも一致しないことが前提にあります。長時間働いたと思っても十数分しか経っていなかったり、短時間しか遊んでいないと思っても数時間経っていたりすることです。
つまりアキレスが亀に近づくほど(亀の感じる)時間は相対的に伸び、彼我の距離が限りなくゼロに近づいた時、その距離を走破するのに必要な時間は(亀から見て)無限になるのです。
こう考えると、アキレスは絶対に亀を追い越せなくなります。
「残りカウント10、9、8、7…」とか言ってたのに、残り1カウントになると「0.9、0.8、0.7…」、0.1カウントになると「0.09、0.08、0.07…」と言い出しているのと同じである。
また、ゲーム『Fate/GrandOrder』に登場するアキレウスが水着霊衣で肩に亀状のミニタラスクを乗っけているのはこれが由来である。