概要
少年ジャンプ+で連載されている夜諏河 樹の漫画作品。全5巻。
2020年に読み切り版が配信され、2022年1月30日から連載開始、2023年2月12日に連載終了。
あらすじ
神出鬼没の黒い鳥居。周りの景色とは明らかに異質な、異空間にも見えるそこには、アンテン様に招かれたものだけが来られる神社がある。
その神社では、「強い思いが込められた大切なもの」をアンテン様に捧げることで、捧げものへの思いに見合った願いを叶えてくれるという――。
本作はアンテン様に招かれ、運命が変わった人々を描くオムニバスホラー作品である。
共通の狂言回しの不思議な力でゲストが良くも悪くも数奇な運命を辿ることになるという、笑ゥせぇるすまんや銭天堂などと類似の形式をとった物語が、各話完結形式(前後編・前中後編に区切られる場合あり)で紡がれる。
アンテン様
記事トップ画像の人物(神様)。漢字では安天様。
各話共通で登場する現状唯一の人物である(前編後編に分かれた場合、登場しない回はある)。
狐のような切れ長の吊り目と吊り上がった口元で、背中までの黒髪でホイップみたいなアホ毛があり、巫女さんの格好をしている。
不老不死のようで、推定平安時代や江戸時代、Nintendo Switch(2017年発売)らしいゲーム機が最新の時期のいずれでも同じ姿で現れている。
神社に招かれた者にアンテン様への願掛けのルールを説明し、その行使を促す。
ルールには
- 「強い思いが込められた大切な”もの”を捧げれば、それに応じて願いを叶えてもらえる。」
- 「アンテン様にもらったものは、願った人物が死んだときに消える」
- 「願いに見合う思いが捧げものに込められていない場合、その願いは捧げものへの思い相応にしか叶わない」(例えば小遣い超アップを願ったが、1000円の臨時収入に留まるなどスケールダウンする)
- 「どれだけ高価なものであっても思い入れがなければ叶えられる願いは小さく、逆に思い入れが強く込められているものであれば、安物・金銭的価値の無いものであっても困難な願いを叶えられる」
- 「一度捧げた品はアンテン様の腹の中に収まり、別途対価がなければ戻らない」
- 「願い事をしたら神社からは道草せずすぐ帰ること」
といったものがある。
この手のホラーの狂言回しとしては非常に親切で、捧げようとする”もの”への思いが願いに見合うか、尋ねればその場で査定してくれる。
捧げものをしたらどうかとする勧誘行為や、相手が持っていても交換しようとは考えていない大切なものを出してはどうかと提案は行うものの、当人が拒否すればそれ以上の無理強いはしてこない。
稀なケースであるが、来訪者がルールを全く理解できていない場合でも、騙して無理やり捧げものをさせる真似も行っていない。
あくまで来訪者が自発的意志の下で捧げものを行う事が前提となっているようだが、一方で落とし物はそれはそれで受領するようだ。
願いを叶えられる範囲は非常に広いようで、物的な恩恵のほかにも、他者の精神への呪いじみた干渉や、勉強等をせずに技術が身につく現象を起こしている。なお、物的恩恵はくじ引きが当たるなど、何らかの偶然の形を取って行われるようだ。
死者の蘇生を頼もうとした際も、できないとは言っていない。ただしそれと釣り合う供物を持つ人間はなかなかいないとのことで、その際は実行されなかった。
また、願った者の死による貰い物の消滅はすぐに行われ、その際は周囲の人間の記憶はつじつまが合うよう、認識が変わっているような描写がある。
また、思い入れがない品でも受け取りには応じてくれる。
願いがない場合や、捧げものの価値に対してささやかだったと思われる場合でも、おつりで何らかの恩恵を与えているかのような描写はあるが、明確にアンテン様のご利益であるとは言及されていないためただの幸運かは判然としない。
なお、連載版では読み切り版よりも少し身長および頭身が小さくなった。
余談
インターネット上での人気が妙に高く、Twitterでは怪異のシステマティックなルールを悪用して無限エネルギーを得ようとしたり、洗脳などにより思い入れをブーストしたりしようとする邪悪な大喜利大会が開かれ、pixivではマイクロビキニ部が発足している。
本編の面白さもさることながら、話題性も高い作品になっている。