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概要編集

主人公の一人、キャスティ・フローレンツがかつて率いていた薬師のチーム。青い制服が団のトレードマーク。メンバーはキャスティを含めた6人であり、ヒールリークスを拠点にソリスティアの東大陸と西大陸の両方を股にかける遠征によって多くの人々を救ってきた。


団の理念は「ひとりでも多くに、救いの手を」


団員たちの薬師としての腕も申し分なく人間関係も良好であり、このまま幸せに暮らしながらソリスティアの人々にとっての希望であり続けるはずだったが、物語が始まった時点では団長のキャスティ単独行動であるのみならず、薬師としての能力以外のほとんどの記憶を喪失してしまっている。そればかりか、薬師としての本分を全うしようとすると街の人々から「疫病神」と罵倒され疎まれてしまう。

ここからキャスティが自身の記憶を取り戻し、再び一人でも多くに救いの手を差し伸べる旅が始まる。


メンバー編集

キャスティ編集

団のリーダー。29歳。

リンク先に詳細あり。


マレーヤ編集

27歳。天才肌故にかつてはキャスティを一方的にライバル視していたが患者を思う心の強さに感銘を受けて考えを改め、今はキャスティの右腕として薬師団を支えている。

救助された港街カナルブラインで彼女と偶然にも再会を果たしたことから、キャスティの物語は動き出す。


アンディ編集

28歳。熱血漢で行動力旺盛。かつては兵士を目指していたがキャスティと出会い命の尊さを知り、薬師を志した。

世話焼きのキャスティを「お母さん」と呼んでからかうが、実はそんな彼女に好意を持っている。


ランディ編集

25歳。アンディの弟だが兄とは逆の堅実な性格。

兄によって最初は半ば強引に団へ引き入れられたが、今では兄以上に活動熱心。

兄に対して「暑苦しい」「マレーヤさんのような知性があれば…」などと言いつつも、二人の仲はキャスティから名コンビと評されるほど。


エルマ編集

24歳。周囲を安心させる雰囲気の獣医の女性。

数年前に疫病から家族をキャスティに救われたことをきっかけに入団。

ランディとは将来を誓い合った仲。


トルーソー編集

24歳。エイル薬師団の理念に共感し、3年前に入団した若手の薬師。だが腕は申し分なく、誰かを救いたいと強く願い寝る間も惜しんで努力する患者思いな性格であり、その親身な姿勢から村の子どもたちからも好かれている。

不治の病に罹った妹のために何年も勉強したが、その命を救うことのできなかった過去を持つ。


ジーハ編集

薬師団の愛馬。主に世話をするのはランディとエルマだが、勿論他の皆からも愛されている。


医療日誌編集

カナルブライン編集

ハーバーランド地方の港街。

水源に住み着いた魔物が病魔に侵されておりそのまま病原として水源を汚染したことで街中が疫病に襲われるが、キャスティの活躍によって魔物は倒され病気への対処も正しく行われたことで一件落着となった。


サイの街編集

ヒノエウマ地方の街。

再び訪れた際には移民と国境を守る兵士とで争いが起きていたが、キャスティが移民の負傷者と魔物に襲われた国境兵の両方の命を救ったことが双方の和解のきっかけとなった。


ウィンターブルーム編集

ウィンターランド地方の街。

記憶の無い状態のキャスティを恩人と呼び暖かく出迎えるほど住民たちから慕われている。領主ローサは以前から病床に伏しており、執事リリーと娘メリアによる看病と家督相続を奪い取ろうとする貴族との諍いが続いている。

最終的にはキャスティの滞在中に貴族はメリアと協力して街のために尽くしていくことを誓い、それを聞き届けたローサは娘を祝い、幸せを願いながら息を引き取った。


ユキシズク編集

希少な薬草。強い止血効果を持つ。

花言葉は「繋ぐ想い」。


人なき村編集

ブライトランド地方にある廃村。

廃屋の中には家具などがほぼ手付かずの状態で残されており、村には旅人と不審者、そして村としての機能のためのバーテンダーのたった数人しか人がいない。ソローネテメノスを最初に選んで冒険を始めた場合であれば危険を冒すことなくすぐに行ける場所にあり、ファストトラベルも利用可能なため深く考えずに訪れ、明らかに何かがあったことを思わせる雰囲気に恐怖したプレイヤーも多いのではないだろうか。

こう書くとエイル薬師団とは何の関係もないが…?


関連タグ編集

オクトパストラベラーⅡ キャスティ・フローレンツ
















































【警告】これより先、キャスティ編3章〜4章のネタバレを含みます。未プレイ、未クリアの方は注意して下さい。


















































旅を続ける中で記憶を取り戻してゆくキャスティ。しかし肝心な所がなかなか思い出せない。


記憶喪失になった直接の原因は何なのか。

なぜ根拠の曖昧な風評被害が広まっているのか。

エイル薬師団の他の仲間達はどこへ行ってしまったのか。


すると唐突にマレーヤが現れ「ヒールリークスの村で待つ」とだけ告げて去ってしまう。

初めて聞く地名にプレイヤーは地図を見て目的地を確認しようとする。が…その目に飛び込んできたのは

「キャスティ 3章」と表示が突き立つ人なき村のランドマークであった。

(申し訳程度に村の近くの夜間に闇市が出現する場所周辺にヒールリークスと書かれた道標があるが、よほど注意深くなければ道標のことなど気にも留めないだろう…)


意を決して廃村へと足を踏み入れ、マレーヤから「聞き出す」と回想が始まる。

そして取り戻した過去は、目を覆いたくなるような凄惨な内容であった…
































「キャスティ。さぁ、思い出せ。私もその一助となろう…」


ある遠征からヒールリークスの村へと帰ってきたエイル薬師団。あいにくの雨だったが、ようやくの我が家に団員たちは安堵していた。


しかし、どうも村の様子がおかしい。

家畜の動物たちが雨の中倒れ込んでおり、救助を求める叫びを聞き駆けつけると村の子供がぐったりと横たわっていた。

容体を確認すると脈が無い。遊びに出て帰ってこないのを雨の中を村総出で捜索し、発見した時には既にこの状態だったと村人が語る。

留守番を担当していたトルーソーは何故か所在がわからなくなっていた。


「なぁ薬師さん、俺たちも変なんだ…さっきから震えが止まらねえんだよ……」


何かの中毒症状だとキャスティが気づくが時すでに遅く、たった今会話していた村人たちまでもが次々と倒れてゆく。直ちに蘇生を試みるが、一人も救うことができなかった。


しかし落ち込む暇もなく更なる異変が襲う。

雨水が紫色に変色しているのだ。村人の治療に勤しんでいる間に色が濃くなり、気づくのが遅れたのだ。この雨に毒が含まれており、これを浴びたことが中毒の原因だった。

非情にも、今まで雨の中で働いていた薬師たちの体も毒に侵され始めていた…

そして、村からそう遠くない山から煙が立ち昇っているのを発見しそれが毒を撒き散らしていると推定。村の外への被害を食い止め、一人でも多くを救うために火を消し止めるべく村にエルマを一人残し団員たちは山へと向かう。

火の元へ辿り着く一行だったが、そこで目の当たりにしたものは…




「皆…死んだ…。皆、皆、皆、皆…。もっと降れ…もっとだ……!」

「ああ…おかえりなさい。せっかく皆さんのいない時を狙ったのに。やっぱり駆けつけちゃうんですね…」


行方がわからなくなっていたはずのトルーソーがそこにいた。

純粋で患者思いだった彼の面影は完全に無くなり狂気に支配されており、最早事情を伺うどころではなかった。燃え上がる紫色の炎を傍に、トルーソーは喋り始める。


立ち昇る煙は自分が用意した毒を燻したものであること。

降り注ぐ紫色の雨はこの世に生き、苦しむ者たちの涙だと。

もし子供が急にいなくなったら皆が雨に打たれることも厭わずその捜索に乗り出すことまで計算して、村の子供を自分が攫い毒を仕込んだこと。


「団長…苦しみって何だと思いますか?

…”生きること”ですよ。」

「ここが穢れた墓場で、僕らは腐肉にたかる蛆だってね…!」


救いと称し一人でも多くを巻き込もうとしたトルーソーの凶行を止められなかった一行。それをよそにトルーソーは別の国を標的にすることを告げて姿を消す。


トルーソーが去った直後、最初に口を衝いたのはアンディだった。

弟のランディに呼びかけ、二人で炎へと駆け寄る。


「マレーヤ!団長を頼む!いいか、覚えときなトルーソー!これが”ひとりでも多く救う”ってやつだぜ!」


「…よせッ!!」


二人は煙を吹き上げる炎へと飛び込んだ。毒に侵された自分たちの体がもう保たないと悟っての判断だった。

上から覆い被さったことで直ちに炎は鎮火したが、その代償に二人の団員がキャスティとマレーヤの目の前で焼け死んでしまった…


かつての仲間の豹変、裏切り、永別。散々に打ちひしがれ、やっとの思いで下山しヒールリークスまで辿り着くも、もはや生存者はいなかった。


するとその横で、団の愛馬ジーハが嘶いた。村に残されたエルマは最後の力を振り絞り、雨に打たれ力尽きるまでジーハだけでも生かそうとしていたのだった。それに気づいたマレーヤはジーハを駆り、キャスティただ一人を生き延びさせるために全てを投げ打つことを決意する。

そしてニューデルスタ港へ向かうと小舟にキャスティを乗せ特効薬の原料になるユキシズクを鞄に押し込み、海へと舟を放つ。

遠ざかり小さくなっていくキャスティを見送りながら、マレーヤもジーハと共に港の傍の木の下で命尽きた…


「キャスティ…あなたは誰よりも多くを救える薬師だ…だから…生きてくれ…!」




以上が、明かされた過去である。


上述した記憶の肝心な部分も、

・人を死に至らしめる毒に侵されながら目の前で故郷の村人と薬師団の仲間達が次々と死んでいく、心身共に耐えきれないあまりにも大きなショック

・風評被害は濡れ衣そのもの

・仲間達は皆助からず、拠点であったヒールリークスの村は滅び、今まで話していたマレーヤは最初から幻覚(イベントを見返すと解るが、マレーヤはキャスティ以外から認知されていなかった)

という、あまりにも救いのない解答が待っていたのだった。

だがキャスティは立ち止まらない。トルーソーが別の国でも今回以上の多くの犠牲を出す凶行に及ぼうとしていると知ったからには、再び一人でも多くを救うため…























そしてたどり着いたティンバーレイン王国。トルーソーは多くの人が集まる戴冠式を狙って”雨”を降らせると言う。

唐突に明かされた犯行予告に街の人々は最初は取り合わないが、サイの街で救われた兵士長がキャスティの言い分を聞き入れ協力を申し出る。

そうして雨が強くなるまでに市民を避難させることができた。あとはトルーソーを止めるべく決戦に臨むだけであった。



「なぜだ…なぜわからない…!?愛しい人を失う苦しみ…自らの死を恐れる苦しみ…苦しみにまみれて生きることに何の価値がある!?」


「…苦しんででも生きようとするのは、希望があるから!

例えば、”無益な戦いを終わらせたい”。

例えば、”娘に愛情を伝えたい”。

そんな尊い希望を叶えるために、私たち薬師は全力を尽くす!…命を懸けて!」


何とかトルーソーを始末することができたが、避難誘導にあたっていた兵士や逃げ遅れた者、そしてキャスティ自身も雨の毒により生命の危機に陥る。

しかし、ユキシズクを使った特効薬の調合に土壇場で成功。誰一人市民が死ぬことなく、ティンバーレイン王国は救われたのだった。



「あなたが人々を救ってくれたんですね!世界中に向けて、ひとことお願いします!」


「…いいえ、違うわ。彼らを救ったのは…

 “エイル薬師団”よ。」


全てが終わった後、エピソードクリアの一枚絵が一杯に映し出される。

映っていたのは安堵の表情と共に眠りこけるキャスティ。そして、その命を繋いだエイル薬師団の仲間達であった。キャスティ以外は体が白く透けておりもうこの世の人間ではないことが示されているが、暗い表情の者はいなかった。

そしてトルーソーと思しき者だけは皆から離れて背を向けており、明らかに他の団員より幼い、どう見ても10代ほどの少年の姿でキャスティに視線を送っていたのだった…


【警告】これより先、ソローネ編とエクストラストーリーのネタバレを含みます。未プレイ、未クリアの方は注意して下さい。
















キャスティ編は4章で完結を見ているのだが、2つほど謎が残っていた。

トルーソーを狂わせたのは誰なのか、そして「雨」の毒素の正体。


カル族が守っていた遺跡に残された「ある記者のメモ」にその答えが記述されていた。

トルーソーを狂わせたのはソローネ編のラスボスである黒蛇盗賊団の創始者であり大魔術師ダーケストの孫でもあるクロードという男で、「雨」の毒素とは"暗黒"、つまり邪神ヴィーデの力の一片であった。

実はエイル薬師団は黒蛇盗賊団の真の本拠地ともいえる古城ロストシードに入ったことが有り、そこでキャスティとトルーソーはクロードに会っていた。そこでトルーソーはクロードの思想に汚染され、このような凶行に至ったのだった。

クロードは胎内で邪神ヴィーデの血を分け与えられた事により不老になっていたが老衰死できない己に絶望し、最強の子供を産んでその子に殺してもらおうと考えており、そのための子を育成する組織として黒蛇盗賊団を結成した(それによる諸々の顛末がソローネ編の物語と言ってもよい)。そしてロストシードを訪れたキャスティにも目を付け子を産ませたがっていたが、その機会には恵まれなかった。

ソローネ編で描かれた悍ましい出来事の根源とも言ってもいい男がまさかのキャスティ編の黒幕でもある、そしてキャスティもその毒牙にかけようと考えていたという事実にプレイヤーは慄然とするのだった…。

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