カンタベリー・コラール
かんたべりーこらーる
カンタベリー・コラール(Canterbury Chorale)とは、ベルギーの作曲家ヤン・ヴァンデルロースト(Jan Van der Roost)の作曲によるブラスバンド(英国式金管バンド)のための楽曲である。
ベルギーのブラスバンドであるブラスバンド・ミデン・ブラバント(Brass Band Midden-Brabant)のチェアマン、ロベール・ルブーグルからの委嘱(いしょく)を受けて書かれた作品で、作曲者がイングランド南東部のケント州にある英国国教会の総本山、カンタベリー大聖堂を訪れた際に得た印象をもとに作曲されている。
1991年に出版され、曲のスコアには”ロベールとアニーのために”とルブーグル夫妻に宛てた献辞が書かれている。また、吹奏楽版については、出版社であるデ・ハスケ社の求めに応じて1993年に新たに編曲されたものである。
コラール(讃美歌、聖歌)の名のとおり、暖かく澄み渡るようなメロディーと繊細かつ壮麗なハーモニーが特徴の優美な曲である。
曲全体を通して降り注ぐ美しく柔らかな響きは、さながらパイプオルガンのような厳かな厚みをもって聴く者を包み込んでいく。
Ben tenuto e espressivo (quasi legato sempre) ♩=63、4分の4拍子
コルネット(吹奏楽編曲版ではオーボエ)を中心とした高音楽器の静かで敬虔(けいけん)な歌い出し、それを支える変ニ長調(D♭)の幅広く緩やかな伴奏による、厳かな雰囲気を伴いながら曲は幕を開ける。
徐々に歌う楽器を増やしつつ、時に暗く、時に明るくと和音の色彩を変えていきながら曲は進み、変イ長調(A♭)に移り変わったハーモニーとともにユーフォニアムの暖かな旋律が響き渡る。
しばしの陰りののち、ティンパニのロールに導かれるようにしてトロンボーンがsonore(よく響く、豊かな音で)の指示のもとに輝かしい音の重なり合いを奏でると、曲はクライマックスの全合奏に向けて緩やかな盛り上がりを見せる。
天から降り注ぐかのようなきらびやかな高音、重厚かつ堂々たる低音が渾然(こんぜん)一体となった壮麗な響きがあふれんばかりに満ち、それが過ぎ去るとともに曲は落ち着きを取り戻してふたたび冒頭の雰囲気へと戻っていく。
輝きを放つコルネットに導かれながら、テナーホーン、ユーフォニアムがそれぞれ受け継がれた旋律をつないでいき、最後は厳かなチャイムを伴いつつ、ミュートのトロンボーンとバスによる深く清らかな和音のうちに閉じられる。
吹奏楽編曲版
アウロス・ウインドバンド(Aulos Wind Band)
大阪市音楽団(Osaka Municipal Symphonic Band)
ブリッツ・フィルハーモニックウインズ(Blitz Philharmonic Winds)
たんさんすいぶ - コミックス第2巻、TRUCK,8「WE'RE FREE」に吹奏楽編曲版が登場。
修繕に出していた楽器を久々に手に取った丹波第三高校吹奏楽部の面々が演奏を披露するが、その演奏は……
響け!ユーフォニアム - 原作小説の公式ガイドブック『北宇治高校の吹奏楽部日誌』収録の短編『冬色ラプソディー~北宇治高校 定期演奏会~』に吹奏楽編曲版が登場。
2年生の傘木希美が定期演奏会の希望曲のひとつに挙げ、同定期演奏会の第2部のプログラム最後の曲として演奏されることとなる。