概要
ガンマ線バーストとは、ガンマ線が短時間に大量に放出される天文現象である。アメリカが打ち上げた核実験監視用の人工衛星が偶然に捕らえた1967年7月2日が、人類がこの現象を初めて認識した日時である。
基本的に、極超新星爆発(普通の超新星の10倍以上の威力がある超新星爆発のこと)によって引き起こされると考えられているが、中性子星同士が衝突・合体した時にも起こるとされており、また、ホワイトホールが原因だとする仮説が立てられたガンマ線バーストもある。(GRB 060614)
中性子星同士の衝突時には地球3個分ほどの金が生成され、それが宇宙中に撒き散らされるというおまけが付く。
超新星爆発が原因のものは、ガンマ線の放射時間が長く(数分程度)「ロングガンマ線バースト」と呼ばれる。一方で、中性子星同士の衝突によるものは、放射時間が短い(数秒以下)ので「ショートガンマ線バースト」と呼ぶ。
ガンマ線は球状に広がっていくのではなく、レーザービームのように、ある程度狭い範囲から一直線に放たれる。これによって、被害が及ぶ範囲は比較的狭いものの、その分狭い範囲に集中して放射されるため、その範囲内にはかなり遠くまで影響を及ぼす。
もし、地球の近くでこの現象が発生すれば、かすっただけでも現代文明は壊滅的打撃を受けるのは勿論、オゾン層が破壊され、地上の生命に深刻な影響が及ぶ。
今からおよそ4億年程前、オルドビス紀に発生した大量絶滅の原因は、この現象だったのではないか?という可能性が指摘されている。
肉眼で見えたガンマ線バースト
2008年3月19日にうしかい座の方角に現れた「GRB 080319B」は、75億光年先で起きたとされるが、ピーク時に見かけの明るさが5.8等級に達し、かなりギリギリとは言え肉眼で見える明るさに達した。(肉眼で見える限界は一般に6等級とされる)
通常時において、肉眼で見える最も遠い天体はアンドロメダ銀河(250万光年)、あるいはさんかく座銀河(300万光年)であることを考えると、「GRB 080319B」がいかに凄まじい威力であるかが分かる。
あまりにも明るすぎたため、しばらくの間は発生源の銀河がこの残光により観測出来なかった程である。