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「これより贖罪の刻となる」


「ワシはゾア家当主グロウリィ。さあ、貴様の罪を量ってやろう」


概要編集

CV:子安武人


ネビュリス皇庁三王家のゾア家の当主。齢七十を過ぎた、皺と老人班にまみれた車椅子の老人。かつての帝国軍との負傷によって両足こそ動かないが、いまだに眼光は生気に満ちている老傑。

皇庁でも恐れられる特殊な逆襲(カウンター)型の星霊『罪』を保有することから「罪」のグロウリィの二つ名を持つ。


フルネームは公式で明言されてこそいないが、恐らくほぼ間違いなくグロウリィ・ゾア・ネビュリスであると思われる。


人物像編集

四十年前に足を患い戦場に立つことが叶わなくなった身ながらいまだ帝国への怨念に満ちており、皇庁襲撃の際にもむしろ怨敵の方から自らの元へやって来たことに歓喜に等しい昂揚を抱いている。

その一方で現女王の手腕に不満はないといい、ルゥ家と対立する傍ら、ヒュドラ家の陰謀にも感付くなど基本的に聡明で下記の星霊の力もあり、仮面卿キッシングからも慕われている。

老いて足さえ動かなくなっても己の力に絶対の自信と自負を持ち、足が不自由でなければ、五十年前に帝都は灰になっていたと豪語するほど。


能力編集

特殊な逆襲(カウンター)型の星霊

『罪』の星霊を宿す。『先制・再犯・兵器・無勢・破壊・虚偽・裏切り』七つの大罪を敵が術者であるグロウリィに対して行うことで発動する逆襲形式の星霊であり、濃紫色の星霊エネルギーの化身たる『化身獣《アバター》』が出現する。

その本質は呪いそのものとすら言え、触れるものを浸食するなど極めて珍しい『呪』の星霊に似ている。その力でネームレスの左腕と右腕を蝕んで無力化した。

上記の罪を敵が犯せば犯すほどに増殖し巨大化する。巨大化の最高記録は月の塔よりも大きい。その形はケルベロス、獅子、巨人など様々で罪を犯した対象を仕留めるまでどこまでも追跡し増殖する。

おまけに相手の物理干渉を一切受け付けないばかりか逆にこちらからは物理に干渉できるという反則級の凶悪さを誇り、キッシングの物体消失の棘すらものともしない。グロウリィ本人も無敵と断言している。

反面、化身獣には敵味方の区別がなく対象の罪人を追跡する途上で何がいようと関係なく破壊し、踏みつぶして進む。

また人の敵意を感じられない機械兵器による攻撃では星霊が自分への攻撃と判断できず星霊があまり育たないという人に宿る星霊ならではの致命的な弱点が存在するなど本人が言うほど完全な無敵とは言い難い。



関連タグ編集

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 仮面卿オン キッシング・ゾア・ネビュリス9世

















ここから先は重要なネタバレがあるので閲覧注意










     「知らんのか? 太陽の隠れた夜はの、月が見張っておるのじゃよ」




ネームレスとの交戦後、投獄されているはずのヴィソワーズシスベルを連れた現場を押さえる。


帝国との戦いに高揚しながらもこの老傑は今回の皇庁襲撃の絡繰りを端から看破していたのだった。


今回の騒乱で帝国軍を皇庁に呼び寄せたのがヒュドラ当主タリスマンであり先の女王暗殺計画の黒幕であることも勘付いていた。


ただまだ推測の域でしかないため、仮面卿を始めとしたゾア家の面々にはまだ知らせず、こうして現場を押さえることを優先したのだ。


だが、決定的な現場を見られたにも拘らず、ヴィソワーズは憐れな老人と嘲り、代わりの相手は他にいると嘯く。そう彼女よりも怖い魔女が――


その瞬間生温い、肌に絡みつくような風が木々をざわめかせた。


瘴気(ミアズマ)。はるか古より穢れを帯びた「悪しき空気」を思わせる不吉な風が刺す。


そして何者かもわからぬ艶やかな嬌笑が幾重にも響き、もはやグロウリィはヴィソワーズに構う余裕すらなかった。


そして、月の光を遮る形で空中にいたのは――





        ――適合型・神星変異『■リー■■■』(通称、被検体『E』)



漆黒のドレス。


月の光を覆うカラスの濡れ羽色のごとく黒い星霊光。恐ろしく妖艶な女性の肉体美を持ちながら肌が陰で塗りつぶしたかのように真っ黒な体躯。


その双眸だけが星のように爛々と輝く。


歴戦の星霊使いであるはずのグロウリィさえ息を呑むより他にない人智を超えた怪物が睥睨していた。


そして、怪物は聞き惚れそうなほど美しい女声と、底知れぬ怪物の声がまざりあった混沌の二重音声で無敵と豪語した老人に死刑宣告を告げる。




          ――『星の鎮魂歌(レクイエム)を聴かせてあげる』


その後の詳細はわからないが、グロウリィはこの怪物に敗れ拘束されて、帝国へと新たな被検体として引き渡されてしまう。


己に引導を渡したのが、かつて誕生の瞬間にゾア家の女王聖別儀礼(コンクラーヴェ)の勝利を確信した最弱の王女であったことを知らぬままに。

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