「戦争をやめましょう。帝国軍の完全消滅をもって!」
概要
CV:小原好美
星霊使い達の国・ネビュリス皇庁の三王家の一角『ゾア家』の女王候補の王女。長い黒髪に白と黒を基調にした煌びやかなドレスをまとった目元を眼帯でおおった少女。年端もいかない身で殺人的な訓練を施されたゾア家の秘蔵っ子。年齢は十三か十四。
人物像
基本的に無口で口調もたどたどしい。叔父の仮面卿の命令を忠実にこなしている。ただぬいぐるみが好きなど趣味は年相応である。ただ王女らしく味方や敵にも敬語口調を用いる。
しかし、ひとたび戦闘となれば容赦なく敵を殲滅する静かな獰猛性を持ち、叔父や一族から刷り込まれたのか徹底して帝国を野蛮人と敵視している点は他の皇庁人と変わらない。
ただ実戦経験の不足による想定外には脆い面を持ち、イスカの狙いにまんまと嵌ったり、冥の切り札を受けて手傷をおったことに動揺し精神のタガが外れたりなど情緒は不安定。
一方、仮面卿が過保護なまでに箱入り娘として育てたために、入浴や着替えも一人でできないなどの弱点を抱え、同世代と接した機会も殆どなかった。それゆえか、仮面卿には精神的にかなり依存しており、彼が倒れた後は立ち直るのに時間をかけた。が、魔女の自分と自然体で接するイスカにはかなり懐くようになる。
動向
ミュドル峡谷の星脈噴出泉を巡る戦闘でイスカに負けた後、王宮に攻め込んだ帝国軍と交戦する。使徒聖の冥と互角に戦うが、当主グロウリィの星霊術とイリーティアの負傷で水入りになる。
その後、イスカ達が帝都で八大使徒の動向を追う途中に目覚めた始祖が帝国へ向かったのを好機と見た仮面卿に連れられて国境を超える。しかし、そこで本物の魔女に遭遇し、後述の特異な眼を持つキッシングは恐怖のあまり、パニックに陥ってしまう。
一度は仮面卿の支えで持ち直したが、もはやその魔女イリーティアにはキッシングの力さえ全く通じず、そのまま『歌』で倒されると思われたところで仮面卿の星霊術で避難させられる。
が、自分のせいで叔父が犠牲になったショックのあまりにキッシングはかつて戦った敵であるイスカを前にしても、全く気付かず、捕虜として移送された後も使徒聖ニュートンの尋問も仇敵の冥の挑発も聞こえていないほどに完全に心を折られていた。
しかし、一人でいることが怖いと気付いたキッシングはイリーティアに復讐するため、わざと基地で暴れてイスカを引きずり出し、再戦する。仮面卿ならば、どうするかという思考で変則的な攻め方でイスカに食い下がるが、敗北を認めて即座に降伏。
土下座までして共闘を願い出る。以後、イスカには共闘以外の目的でも懐いており、帝都で監視されている時にはわざわざアリスに宛がわれた部屋に入り込んでイスカに朝食をねだるなど、アリスと張り合っている。
能力
仮面卿をして才能だけならアリスリーゼ以上の逸材と評される星霊使いであり、事実、王宮守護星との模擬戦でも圧倒的な戦績を修めている。
特殊な『星の第二世代型』に類する星体干渉系の『棘』の星霊を保有し、無数の黒い棘を生み出す。星紋は双眸の中に存在し、蛇が絡み合ったような文様をしているが、その真価を発揮する際にはなんと星紋が蛇がのたうつように動く。
生み出された棘は刺したものを全て分解し消去した上、分解したものを再結合させることが可能。
それをムチのように連結させて広範囲縦横無尽に攻撃する。イスカとの交戦時における最大の技は、すべての棘を結集させて、全身が消去の力を持つ巨大な棘の竜を作り出す『解放・棘の竜』
皇庁襲撃時には不発に終わったが、空を埋め尽くす何十万に及ぶ星霊の棘を生み出し、敵を包囲殲滅する棘の行進『森羅万消』を編み出している。
また、他の星霊使いが必ず体表に星紋があるのに対し、瞳という視覚器官に宿った事例は、記録されている限り彼女以外存在せず、純血種の中でも異例の特異体質(ギフト)。
だが、その最大の真価は星霊エネルギーの可視化にあり、最新鋭の帝国製星霊エネルギー検出器の、実に何万倍、何億倍という精度でエネルギーを視ることができる。
これによりミュドル峡谷の星脈噴出泉もいち早く発見した。つまり誰よりも先んじて星霊使いを強化し得る力場を独占できることを意味しており、ゾアが自軍を無尽蔵に強化し続けることも夢ではない。
その能力故にゾア家は内乱をも想定した「対星霊使い」戦のための切り札として彼女に期待をかけている。
ただミュドル峡谷でのイスカとの交戦時は、星霊使いとしての技量と練度はアリスには未だ及ばず、大技を使う際に標的の指定といった細かなコントロールが利かないと言った欠点や経験不足が祟り敗北するなど発展途上の面が目立った。
だが、皇庁襲撃時には帝国軍の毎秒四十発で飛来する超高速の弾丸すべてを同数の細い棘で狙撃するなど、上記の交戦時とは比較にならぬほど星霊術の練度が上がっている。
これらはすべて仮面卿からの殺人的な訓練の結果でもあり、それ以前にイスカとの戦いでは、分解した帝国のミサイルを再結合して爆発させつつ、その威力を分解して自らに爆発のダメージが及ばぬようにするなど自爆同然の絶技をこなすが、それは星霊術が一秒どころか0・一秒遅れただけで自分が巻き添えになる自殺行為そのものであり、これは同様のことを幾度も練習してきたが故、言わば自殺まがいの狂気に満ちた訓練を幾度も強いられてきた結果である。
それを感じ取ったイスカは敵のことながら非人道的とも言えるこのやり口に怒りを抱いたほど。
なお、この訓練は禁忌事項に相当するらしく、指摘された彼女はイスカを始め聞いていた者を無差別攻撃したほど。