「オレがこの飛行機を乗っ取った理由を推理してみろ」
CV:松岡禎丞
概要
『探偵はもう、死んでいる。』に登場する秘密組織《SPES》の構成員。
君塚君彦とシエスタが地上1万メートルの飛行機で出会ったときこの男も同じ場所にいた。
しかし、コウモリはハイジャック犯として君塚らの敵だった。またこの事件はシエスタが直接《SPES》と事を構えた初めての事件でもある。
そうして4年後、シエスタの死後1年後、再び君塚が夏凪とともに「別荘」にいたコウモリ会いに行き、物語は大きく動き始める。
その後、君塚がかかわる事件を解決する手助けをするなど改心しているかのようにも見えたが…
能力
《SPES》から耳の《種》を奪い体に無理やり定着させた。その《種》のおかげで100キロ先の人間の話声ですら聞こえるようになったが、その代償として視力が失われた。(これがコードネーム、コウモリの所以)
ハイジャック犯vs名探偵
「お客様の中に探偵の方はいらっしゃいませんか」
というアナウンスが流れ、シエスタが探偵を名乗り、君塚を助手として仲間に加えたのち、シエスタは客室乗務員に連れられて、コックピットの中に入る。そこでは、コウモリが副機長を気絶させその上に馬乗りになった状態であった。そんなコウモリはシエスタにハイジャックした理由を推理するよう要求する。すると、シエスタはその理由をなんと「暇だったから」と推理する。コウモリは自分が口を滑らせて言った「暇だったから」というのをそのままハイジャックの理由として挙げたのだ。そしてさらに、その後に続くシエスタの言葉に言いくるめられてしまったのか、コウモリはそういうことにしてコックピットを後にして飛行機が目的地に着いたときに警察に自首しようとした。これで事件は解決かと思われたが…
《SPES》vsシエスタ
※上記の続きです
事件は解決したかに思われたが、シエスタはさらなる推理を続ける。
「コウモリが、とある組織に自死を命じられたハイジャック、しかしコウモリは死ぬのが怖かった、そのためハイジャックを失敗させようとしたが、ただ自首するのでは自分のプライドが傷つくため、探偵を呼び推理ゲームという形をとり、それに負けることで自分のプライドを守るためコウモリがこんな回りくどいことをしたのだろう」と。
コウモリは一つの疑問が浮かぶ。
「なぜ、そこまで分かったのか」と。
そんな疑問に対してシエスタは、
「最初からあなたのこと、知ってたから」
「あなたが今日この飛行機に乗ることも、ハイジャックを企てていることも、それからついでに、それを命じたあなたのお仲間たちのことも、全部」
そんな答えを聞いて、コウモリは突如シエスタに攻撃を開始する。自身の右耳から生えた触手のようなものを武器にして。そうして、シエスタとコウモリの戦闘が開始する。シエスタは君塚をかばいながら戦闘しているため、徐々に体力を削られていく。コウモリは自身の耳を使って、シエスタの息が上がりつつあることを見破り制圧しようとする。場所は上空
1万メートルの飛行機の中、そう簡単に武器を用意できるはずもなく、シエスタは追いつめられるが、君塚によって戦場にアタッシュケースが投げられる。それをシエスタに渡すまいとして、コウモリはアタッシュケースを攻撃した。しかし、ケースの部分のみが破壊されたことで、中身だけがシエスタの手元にわたる。白色の長いマスケット銃が。武器を手にしたシエスタはコウモリの耳の触手を攻撃し根元から切断、そして一気に接近してコウモリを組み伏せ、コウモリの口に銃を突きつけ、
「ぱんっ」
と言った。
シエスタは、コウモリが死にたくないということから、コウモリはここで死んだことにして信頼できるつてがある日本警察に匿ってもらうことにした。
そんなシエスタに対してコウモリは再び耳から生やした触手を用いてシエスタを攻撃しようとするが、触手がシエスタに届くことはなかった。シエスタが打った弾丸にはシエスタの血が含まれており、その弾丸を浴びたものはマスター(シエスタ)に逆らえなくなるという特別製の弾丸だった。
こうして《SPES》とシエスタの初戦闘はシエスタの完全勝利という形で幕を閉じた。
「名探偵」との再会
あのハイジャック事件から4年後、君塚が夏凪を連れてコウモリが捕まっている刑務所にやってきた。その開口一番にコウモリは
「ずいぶん懐かしいなあ——名探偵」
と言った。
その後、夏凪が自身の心臓が移植されたものでドナーを探していてそのためにここにやってきたと説明する。夏凪はコウモリが本当にドナーを見つけることができるのか不安に思うが、君塚はそれができると確信していた。そして、コウモリは自慢の耳を生かして、出会ってきた人間の中に夏凪の心臓と同じ人物がいないかを確認しようとした。
しかし、その必要はなかった。コウモリは既に心臓の持ち主が誰なのかわかっていた。そして、自身の触手を夏凪めがけて放つがそれは夏凪に届く前に崩れ落ちた。そう、これは4年前のあの時と同じ、つまり、夏凪の心臓はシエスタのものだったのだ。コウモリは夏凪がやってきたとき、心臓の音を聞いてシエスタがやってきたと思っていたのだ。
以下ネタバレ
脱獄
ここからは本編の大きなネタバレを含みます。TVアニメ「探偵はもう、死んでいる。」のシーズン1では語られていない、原作小説(3~10巻)のネタバレも含みます。アニメしか見ていないという方は注意してください。まだ読んでない方はそちらを読んでから読むことをお勧めします。
ここからは原作小説3巻までの内容を含みます。
サファイアの事件で斎川のライブ会場への運転、警備員を気絶させ君塚らの侵入を助け、敵の心臓の音を聞きその場所を割り出すなど君塚に協力的にも見えたが、コウモリはシードの手引きを受け突如脱獄した。
脱獄後、君塚とTV局で再会する。そこで、シードがコウモリを連れ戻すためにスカーレットと接触する。コウモリは《SPES》とは喧嘩別れをしていたので余程人員不足なのだろうと推測していた。しかし、コウモリは《SPES》に戻るつもりはなく、スカーレットと協力関係を築き、さらに君塚や斎川に向かってともに《SPES》を倒そうという提案をしてくる。そして、斎川唯がシードの器候補筆頭になっている現状を告げ、さらに、斎川の両親が《SPES》によって殺されたというほとんど確信に近い推理をぶつける。そんな重たい真実を聞いた斎川がコウモリと手を組むといった決断をそう簡単に下せるわけがなかった。それを見たスカーレットは、交渉をするなら対価が必要と考え、斎川の両親を生き返らせると提案した。そんなことが可能なのかと疑う君塚らであったが、スカーレットはカメレオンを復活させた。しかし、それは生き返ったというには程遠いものだった。それを見たコウモリは激昂する。「お前はそんな不完全な形でしか死者を生き返らせることができないのかと。」コウモリはスカーレットが死者を完全に生き返らせると踏んで、自身の妹を生き返らせるためにスカーレットと手を組んでいたようだった。
そのため、交渉は決裂しコウモリはスカーレットのもとから離れる。その後、君塚らはとある戦闘に巻き込まれるのだが、君塚らに協力する形でその戦闘に参加していた。
vs シード
ここからは原作小説4巻までの内容を含みます
自身の妹の姿を斎川唯に重ねて、斎川唯の特訓を引き受けたコウモリは斎川唯の左眼を覚醒させるための特訓を2人で行っていたが、そこに突如シード率いる《SPES》が襲来する。夏凪と君塚はロンドンへ行っていたためすぐに現場へ駆けつけられず、コウモリは斎川を庇いつつ自慢の右耳などに傷を負いながらもとある廃工場にやってくる。そこに君塚君彦がやってくる。安堵する斎川をよそにコウモリは《SPES》に入った目的を述べる。妹がとある孤児院に送られ、コウモリはそんな妹を救出するため、裏稼業に手を出したこと。そこで《SPES》の存在を知り、さらには妹のいる孤児院の運営も《SPES》が行っていることを突き止め、《SPES》の一員となったこと。そして妹を一刻も早く助けるべく、シードの種を盗み出した。そして妹のいる孤児院を突き止めたが既に妹は死んでいたこと。さらに同時にコウモリの企みは《SPES》にばれてしまい、ハイジャックで自死を命じられたこと。
しかし、それでもコウモリは妹に会うため、諦めなかった。コウモリは世界中を飛び回る中吸血鬼のうわさを聞いていた。それでも、吸血鬼の《不死者》は不完全なものだった。こうして、完全にコウモリの望みは完全に潰えてしまう。そんなコウモリを最後の最後に突き動かしているものそれは、
「お前をこの手でぶち殺すことだ——シード」
そのように、やってきた君塚君彦のふりをしている男に向かって銃口を向けつつ告げたのだった。
最期
※上記の続き
コウモリは躊躇いなく引き金を引き、シードの額を貫通するも、シードは全く動じなった。そんなシードはコウモリに対して一つの疑問をぶつける。
「なぜ、分かった?」
と。
それに対してコウモリは、
「ああ、遥か百キロ先の物音も聞こえるはずだった耳も潰されたからな。本来であれば今のオレには、お前の正体を見破ることはできなかっただろう」
「だが悪いな。シード。お前だけは特別だ。」
「身体中の細胞が、全身に流れるこの血が、仇敵の心音だけは聞き逃すまいとずっとうるさく啼いている。たとえお前が地獄の果てに逃げようと、このうねりが止むことはない」
と返す。
それに対してシードは触手を用いてコウモリを攻撃しようとするが覚醒した斎川の左眼によって致命傷を免れる。そうして、斎川は2人で戦おうとするがコウモリは斎川に逃げるよう命じる。それを嫌がる斎川であったが、シードの触手は攻撃を続け、コウモリは斎川を庇い致命傷を負ってしまう。それでも、コウモリはシードの息の根を止めるべく、その場に残ろうとする。そこに突然シャーロットが現れる。そして、コウモリはシャーロットに斎川を連れ出すよう指示し、シャーロットはその指示通りの行動をとる。
そうして、1人戦場に残ったコウモリであったがすべての人造人間の生みの親シードに敵うはずもなく、片腕までも切断されてしまう。それでも、最後に残った生存本能に従い、シードを殺すべく、コウモリは君塚との最初で最後の共闘の道を選ぶ。まずは、シードの足元に仕掛けられていた爆弾を爆発させる。しかし、その程度で《原初の種》を殺すことはできず、シードはさらにコウモリに攻撃を続け、今度はコウモリの胸を触手が貫通する。コウモリはただの爆発程度でシードを殺すことなどできないことは理解していた。それでも、爆発は続く。次は工場の天井に仕掛けられていた爆弾が起動し、天井が吹き飛んだことで空が出現する。そうして、コウモリは最期の策を興じる。
「悪いな、シード。お前を殺すのはオレでも、この爆発による炎でもない」
「お前を燃やすのは——太陽だ」
その後、君塚・夏凪がその工場に駆け付ける。すでにそこは度重なる爆発で瓦礫の山となり炎と黒煙が立ち込めていた。そこから、1人の人影が現れる。コウモリだった。しかし、それはコウモリではなく、太陽から身を守るためコウモリを仮の器として利用しているだけのシードだった。シードは君塚らを攻撃しようとするが、太陽光によるダメージがでかく、一度回復の時間を設けるべくコウモリの姿で立ち去る。
斎川の左眼を用いてシードを追いかける君塚らであったがその途中の道でコウモリを発見する。君塚はそれを見てシードはコウモリという既に壊れかけの器を捨ててさらに遠くへ行ったと推測し、コウモリに近づく。すると自我を失ったコウモリは君塚に対して攻撃を開始する。そして、コウモリと君塚の二度目の戦
いが始まった。
しかし、コウモリは既に戦える状態ではなかった。そんな状態のコウモリに君塚は少し躊躇うもとどめを刺すべく、まず、迫ってきた触手を銃で撃ち抜き、頭に銃口を向け引き金を引こうとすると、
コウモリは触手を撃ち抜かれたことでシードの種の影響が消えたのか突如、自我を取り戻した。そして君塚らに最期の言葉を告げ、世界の真理に気づき、寿命を迎えた。