概要
別名というより幼魚:コハダ、シンコ。
体長26cm。
食べ物は主にプランクトン等。
本州中部以南、東シナ海/南シナ海北部等に生息。
海藻の繁茂した所に棲む。体は著しく側扁し、腹縁に稜線を備える。体の背部は青色、腹部は銀白色。背鰭の最後軟条は糸状。肩部に明瞭な1黒斑がある。コノシロより幼魚時代のコハダの方が耳に馴染みがあるだろう。
寿司ネタについて
幼魚になるほど価値の出る逆出世魚であるが、これは江戸前寿司の文化が強い。
コハダとよばれる中形の者は、寿司ネタとして重用され江戸前にぎりでは欠かせない。小骨が多いので身を細く切るか、ハモのように骨切りして使うので、職人の腕が問われる。それより小型のシンコは高級食材であり、旬の季節しか味わえない上に、骨切りにさらなる繊細な技術が必要になる逸品である。
ちなみに、関東地方ではコノシロとコハダの中間にナカズミというものもあり、普段の食卓で供されるのはナカズミまでとされ、コノシロとなるともはや捨て値同然で取引される。
本当は美味い魚
だが、一番旨味の強い脂が乗っているのは成魚のコノシロである。
濃厚な旨味は脂肪分が多いためであるが、一方でしつこさとなる。そのためコノシロは一般に酢締めすると、味がまろやかとなり美味となる(また、面倒な小骨が溶けてくれるので非常に食べやすくなる)。酢締めした物は、寿司の他にも酢の物にも使用する。正月料理用として保存が効く粟漬けがある。頭、内臓を除き、軽く塩漬けにした後酢に漬け、蒸した粟をまぶし、箱に詰めて軽く押す。
九州地方、瀬戸内地方など海に面したエリアでは概して料理屋や家庭の食卓に上る魚であり、熊本県沿岸部、天草地方では刺身にもするし、播磨灘沿岸ではこのしろ寿司、広島ではこのしろ汁にする。他に鮮度が良ければ、焼いても唐揚げにしても美味しい魚であり、玄界灘沿岸もコノシロ料理が定番。
一方、焼き魚には向かない、というか鮮度が極めて重視される。味は決して悪くはなく塩焼きも定番の調理法であるのだが、死人魚と揶揄された地域もあるぐらい、少しでも鮮度が落ちたものを焼けばひどい悪臭を放つので敬遠されている(あと、小骨が多くて食べにくい上、コノシロになると小骨が固くなる)。大阪湾もかつてはコノシロが沢山獲れたらしいのだが、昨今では漁獲量が減り姿を見なくなった上、傷むのも早いため市場で取引されず、売り場からも姿を消し食卓に上らぬ魚となった。それで関西の寿司屋のネタには、仕込んでも注文する客も少ないことから、コハダがネタにない店も多い。