はじまりに、巻き戻すんだ。
概要
サマータイムマシンブルースとは、上田誠により制作された戯曲。
2001年にヨーロッパ企画によって舞台化された作品であり、2005年には映画化された。
上田誠の主宰する劇団ヨーロッパ企画の人気を上げた代表作であり、日常系タイムトラベル作品の傑作。
タイムマシンを使って「昨日」と「今日」を行き来すると言う、シンプルながらも緻密なSFプロットと、下らない日常ギャグを組み合わせたコメディ作品。
その後続編としてサマータイムマシン・ワンスモアが上演された。
あらすじ
ある大学にある「SF研究会」の部員達の前に突然タイムマシンが現れたことで物語がスタートする。
タイムマシンが現れる前日にクーラーのリモコンが壊れたことで、ぐったりとしていた部員達はクーラーのリモコンを手に入れる為にふざけてタイムマシンで前日に戻る。
タイムマシンが本物であることを知った部員達は何度もタイムトラベルを繰り返すが、過去に介入することで現在の自分達が消滅することを知り、大急ぎで過去に戻った自分達の行動を修正する。
こうして、「昨日」と「今日」を何度も行き来するタイムトラベルが行われる。
登場人物
甲本
演者
舞台版:中川晴樹
映画版:瑛太
本編メインのツッコミ担当。柴田に好意を寄せており、映画に誘おうとした。映画版では実質主人公として立ち回っており、性格もより優しくなっていたり、柴田との関係もそれが強くでている。
柴田
演者
初演版〜2005年版:清水智子
映画版: 上野樹里
20周年版:早織
本作のヒロイン。天然な側面が強く、タイムマシーンで何使うかの話で第2次大戦で勝とうとしたり(20周年版では阻止しようとしていた)映画版では「もし過去にいったら化石で見つかってるんじゃない?」と爆弾発言も少なくない。カメラはNikonの一眼を愛用しており、本編の重要なキーマンの一人にもなっている。
曽我
演者:永野宗典
メンバーの中では最年少らしく常に敬語で話す。舞台版でコーラを倒した人物。タイムマシーンが現れた際のパイロット第一号として無理やり乗せられるハメになった。メンバーの中で一番タイムマシーンに酔いやすくタイムスリップしてからしばらくは動けなくなる程。本人いわくタイムマシーンの乗り心地は「体がぐにゃあと裏返る感じ」とのこと。ちなみに乗り物に完全に弱いと言う程ではないのかサマータイムマシーンワンスモワでは普通にプリウスを運転してることが言及された。
石松
演者
初演版・2003年版:玉田晋平
2005年版・20周年版:土佐和成
映画版:ムロツヨシ
タイムマシンでのリモコン回収を提案した張本人。
ガラクタの収集癖があり、あるときは薬局前のケロヨン、またあるときは大学内にあるかっぱ様の像と、事あるごとにガラクタを持ってきては部室に飾っている。またこの設定は初演版で石松を演じた玉田氏の事あるごとにガラクタを家に飾っていたエピソードによるもの。
木暮
演者:酒井善史
SF研メンバー唯一の理系で蛭谷に起業メンバーとして誘われたり小泉にビリヤードで計算要員として呼ばれたりと頭脳派担当として重宝される事もしばしば、理系ではあるがオカルト系は結構信じるタイプ。舞台版ではタイムパラドクスにいち早く気づいた人物。また続編のサマータイムマシーンワンスモワでは大学の研究員としてうなぎの養殖の研究を行っている。
小泉
演者
舞台版:石田剛太
映画版:川岡大次郎
部室に現れたタイムマシンにいち早く気づいた人物でタイムマシンを使おうと言い出したのも彼だったりする。続編のサマータイムマシーンワンスモワではタイムマシーンが盗まれ半年間働くハメになったりと不遇な面が強い。
新美
演者
舞台版:諏訪雅
映画版:与座嘉秋
メンバーの中で唯一タイムパラドクスを理解していなかった人物。冷蔵庫の仕組みを理解していなかったり、タイムマシーンで盗まれたヴィダルサスーンの犯人を探そうとした結果結局自分がヴィダルサスーンを持ってきてしまったりとアホな面が目立つ。SF研で飼ってる小犬のケチャを可愛がっており、しょっちゅう面倒を見ている。
伊藤
演者
初演版・2003年版:松田暢子
2005年版・20周年版:西村直子
映画版:真木よう子
柴田と同じカメラクラブの女子部員。SF研メンバーに野球
の写真撮影を手伝ってもらい撮影してもらってたが、メンバーからの反応は「下手」「躍動感がない」と散々の言われようで本人は「躍動感が無かったのはみんなのプレイが下手だったから」との事。タイムマシーンを使ってどこ行くかでの会話では未来に行こうとしたり、大阪万博に行こうとしたりで結構行動派な一面を持つ。実は曽我がタイムスリップした事に最初に気づいた人物であり、結局未来は変わらないのではないか?と示唆したのも彼女だったりする。
照屋
演者:角田貴志
カメラクラブ唯一男子部員でメンバーの中では最年長で大学に長くいるらしく、石松いわく「校長に唯一講釈をたれる人物」。カメラクラブの方針も彼によるもので、白黒でなおかつフィルムの写真をメインにしており、本人いわく「デジカメなんてカメラじゃないから」とのこと。本編では歴史に置いて規定事項以外の歴史には変えられる余地があるんじゃないか?と示唆したり、蛭谷の起業のきっかけの一つを作ったりと伊藤と同じく本編においてターニングポイントの1人となっている。
田村
演者:本田力
25年後の未来のSF研からやって来た未来人。
マッシュルームヘアに色合いの渋いポロシャツにチノパンの上にサンダルと言うモッサリとしたルックスに加え、「ところがどっこい」や「お達者で!」など言葉遣いも古かったりとクセが強めで呑気な性格だが意外に機転も利くところがあったりで、終盤ではその機転でピンチを切り抜ける事も、部室の掃除中にタイムマシーンの設計図を見つけ、仲間と共にタイムマシーンを作り設計図に記載されていた年代を頼りにこの時代にやってきたとの事。彼もまた柴田と同じく物語のキーマンの1人。またこの田村君、実は初演や再演版に劇場版。ましては四畳半タイムマシーンブルースの全シリーズ本田力氏が演じていると言う本作の演者の中でも唯一の快挙を成し遂げている。
映画
『サマータイムマシン・ブルース』も参照
監督:本広克行
脚本:上田誠
主演:永山瑛太
この他にも、上野樹里やムロツヨシなどが出演している。特にムロツヨシは、本作の出演が最初の映画出演になる。
曽我と田村を演じた永野と本田は映画版でも続投しており、また舞台版にて甲本・木暮・小泉・新美を演じた中川・酒井・石田・諏訪の4名は映画版では田村のいた25年後のSF研の部員役で出演しており、未来のSF研の描写が描かれている。また映画版ではオアシスの描写や甲本が映画のチケットを買いにいくシーンが描かれていたりとより舞台版を掘り下げた内容になっている。
また登場人物の入れ替えも行われており、舞台版で登場していた木暮と照屋は登場せず、木暮のポジションにSF研の顧問であるホセが、照屋のポジションに用務員のおじさんがあてがわれている。
タイムマシンのデザインも異なっており、
舞台版では本編でも言及されている通り、ドラえもんに登場したタイムマシンに近い見た目になっているが、1960年に公開された「タイム・マシン/80万年後の世界へ」に近い見た目になっている。
続編「サマータイムマシンワンスモワ」
ヨーロッパ企画20周年記念として立てられた企画「ヨーロッパ企画20周年ツアー」が開催され、本作の再演の他に続編として、15年後を舞台としたサマータイムマシン・ワンスモアと言う作品が制作された。
またキャストの殆どは2005年版のメンバーになっているが、柴田役は「ケータイ刑事銭形雷」の主人公を演じた早織氏が演じている。
あらすじ
SF研のタイムマシン騒動から15年後の2018年。
あれから大人にったSF研メンバーはある日ひょんな事から同窓会の手紙が届いた。同窓会後懐かしくなったメンバーは久しぶりにSF研の部室へとやってくる。そこにいたのは現在のSF研とカメラクラブのメンバーだか、現在は部員が1人ずつになってしまっていた。現役生を交えて昔話に花を咲かせるメンバーだか、そこへ何と時間を誤って田村が現代へとやって来てしまう。それどころか新たに2台のタイムマシンもやって来ることに。これを良しとしてしまったSF研メンバーは、2週間前のレポートを取り戻す組、2004年のフィルムを取り戻す組、2004年に戻りレディー・ガガを見る組に分かれ、複数のタイムトラベルが行われることに。しかし、2018年では、大学を潰してショッピングモールが建てられる計画が進んでおり...。
本作から参入した登場人物
箕輪
演者:藤谷理子
現在唯一のカメラクラブの女子部員。
人数を多く見せるため「電車を撮影してる少年」と「猫を撮ってる少女」と二人ほどキャラを作って学内展で出しており、本人は「ガードレールを撮影してる」と言うテイにしており、本人いわく「裏垢みたいな物」との事。2週間前にレポートを提出が遅れてしまったため再提出をする為にタイムマシンを使いタイムスリップする。
蛭谷
演者:岡嶋秀昭
関西出身の経営学部在籍していた元SF研メンバー。
金にがめつく、SF研メンバーに代返や学祭の模擬店をやらせたりでとにかく金を稼ぎまくる銭ゲバ。そして会社を起業するべく中退し、靴の販売会社を設立し、スネックスと言うサンダルを販売し、その実績が認められとある企業にヘッドハンティングされ、現在はショッピングモール「カッパモール」のゼネラルプロデューサーとして参加している。
???
演者:城築創
現在唯一のSF研メンバー。
SF研の事を「ストリートファイター研究会」と勘違いしていた。部室ではSwitchでマリオカートをやり込んでおり、
箕輪とは当初は顔見知り程度の間柄だったが、現像液を買ってきて以降は一緒にゲームをする仲になる内に彼女に惚れてしまい、告白するものの「彼氏がいるんだ」の一言で振られてしまい撃沈。それ以降彼女とはギクシャクした関係になってしまう。また本作での重要なキーマンとなっている。
書籍
2018年に早川書房より刊行された。
四畳半タイムマシンブルース
森見登美彦による小説である四畳半神話大系とのコラボレーション小説。
概ね本作の内容を四畳半神話大系のキャラクターで再現した内容となっている。
また、舞台に関しても四畳半の舞台である京都に据え置かれている。
2022年にアニメ化された。