概要
第1世代
1972年登場。
その先進的なデザインと実用性の高さであっという間にヨーロッパ中の人気者になる。
駆動方式はFFだが、設計のベースとなったルノー4と同様に名車4CVのRR用パワートレインをほぼそのまま流用し前方に移したため、現代の一般的なFF車とは違い、ボディ前側からトランスミッション、デフ、エンジンの順に縦置きされるという他にあまり例のない構造であった。
この所為でエンジンの一部が乗員空間に食い込んでしまい(もちろんエンジン丸出しではなかったが)、車内にエンジンの熱がこもりやすいという欠点も生じてしまった。
1979年には5ドアが追加設定される。
その後もベストセラーの座を保ったが、1985年に第2世代になる。
日本での販売
日本でも排気ガス対策がされた北米仕様が正規販売された。
ちなみに、北米仕様はバンパーやヘッドライトの形状がヨーロッパ仕様とは異なる。
ところが、この排気ガス対策が裏目に出てしまい、エンジンの故障が続出。
さらには触媒の熱で塗装にひびが入ったり、ボンネットが過熱したりし、他にも錆止め対策が不十分ですぐに錆びるなどと散々だった。
その後、フランス仕様をベースにしたモデルが輸入されるようになり、これらの問題はある程度解消された。
5ターボ
5を語る上で外せないのが、この5ターボである。
WRCのグループ4のホモロゲーションに適合させたモデル・・・だが、かなりの変態車として名高い。
それもそのはず、5のリアシートを取っ払い、そのスペースにエンジンとミッションをぶち込んでMRにしてしまったのである。
エンジンは5アルピーヌ・ターボのものをベースにチューニングしたもので、1397ccの直4OHVながら排気ターボ過給により最高出力160ps(市販モデル)を発揮する。
更に、本来ならば400台生産すればいい規定のところを、予想以上の人気にルノーはこれを量産。最終的には1000台ほど売れたとされている。
後に内装のデザインやボディの材質を変更した普及版の5ターボ2を販売するが、こちらもかなりの台数が売れている。
当初はグループ4で戦っていた5ターボだが、グループBが発足すると5ターボもこれに合わせた改造が施される。それが5マキシターボである。
1397㏄のエンジンは1597㏄まで排気量が上げられ、その結果350馬力以上を発生するというとんでもない性能になった。
しかし、駆動方式はMRのままだったので、ターマックのラリーだけに参戦したとか。
それでも1985年のツール・ド・コルスではデルタS4や205ターボ16などをぶっちぎって優勝している。
第2世代(シュペール5)
デザインをそのままにモデルチェンジ。
基本的には先代を踏襲した設計だが、パワートレインは一般的な横置き形式に変更されている。
また、エクスプレスという商用モデルが1986年に追加されている。こちらはフルゴネットと呼ばれるタイプで、日本車では日産・エスカルゴがこれに該当する。
1990年にクリオにその座を譲るが、エクスプレスはカングーが登場するまでスペインやブラジルなどで生産が続けられていた(つまり、1997年まで生産されていたことになる)。