この自動車は三代目まで存在し、初代はセフィーロのライセンス生産、二代目はティアナのライセンス生産である。
三代目はルノー・ラグナ(5ドアハッチバックおよびステーションワゴン)の三代目をベースとし、大韓民国向けに4ドアセダンにするなどの改良を施した車種である。
この車両は海外にも輸出され、その場合はルノーブランドで発売されることがある(ルノーラティテュード、サフラン)。
この項目においては会社の説明を行ってから自動車の説明を行う。
会社の概要
この自動車を製造する会社は、韓国の財閥の一つ、サムスングループの一つであった。この財閥は自動車製造への進出が夢の一つであったものの、政府の許可が出ない(韓国の自動車産業はすでに飽和状態であったこともある)ことより、踏み出せないでいた。
韓国の政策の変更および強い意志により、この財閥は日産の技術協力により1994年に会社が認可され、三星自動車として乗用車および商用車の製造に乗り出す。
そして1998年にサムスンSM5を製造するも、そのさなかののアジア通貨危機により、操業を年内に停止。
2000年に三星自動車は通貨危機による内需減少などのため経営破綻し、その後フランスの自動車メーカーであるルノーが株式を買収する形で子会社として、会社名もルノーサムスン自動車と改名した(なお、サムスンは2割前後の株式を所有し、サムスンブランドの商標使用許諾契約を2020年まで結んでいる)。
なお勘違いされやすいことであるが日産自動車とはあくまでも技術協力および実質的な親会社となったルノーとの共同開発のみであり、直接の資本提携はない。
自動車に関して
この車種は韓国においては中型セダンであり、海外基準ではDセグメント(全長が約4600mmから約4800mm、2000㏄から3000㏄のエンジンを積む車種)とされる。
当初、この車種は社名より「サムスンSM5」であったが、現在では「ルノーサムスンSM5」として生産されている。
この車種は耐久性の高さと使い勝手の良さゆえ、韓国内においてタクシーとしての需要も多く(各モデルにタクシー専用仕様「SM5 TAXI」の設定が存在)ソウルや釜山をはじめ、韓国内においては比較的頻繁にタクシー仕様を見かけることができる。
この自動車の車名「SM5」とは、Sは「SAMSUNG」あるいは「SEDAN」の、Mはドライブを意味する「Motoring」のそれぞれの頭文字をいみする。また5は車格(中型車)を意味する。
この車種の初代は1998年から2005年に製造された。日産セフィーロのライセンス生産であるが、前後のデザインや内装の一部、エンジン(この車種には直列4気筒エンジンを搭載したものが存在する)の相違が存在する。また、エンジンを強化し、車体を大きくしたSM530Lも存在するといわれる。
また、SQ5としてチリなどに少数輸出された。
この車種はベース車種の廃止により製造されなくなった可能性が存在する。
この車種の二代目は2005年から2010年まで製造された。日産ティアナ(初代)のライセンス生産であるが、外観がかなり異なり、また少し大きい。しかしエンジンは2004年に発売したSM7が存在したため、これより旧式のエンジンを搭載している。
また、この機種よりタクシー向けのLGPガスエンジンで内装もタクシー向けにした車種が登場した。
2007年にはモデルチェンジを行う。大きな点は新しいエンジンにし、燃費などが良くなった点、フロント部分のデザイン変更などを行った(このため、ティアナとの互換性が減った)。
三代目は2010年に発売、今回は日産の車種ではなく同じベースのルノー・ラグナをベースとして、これに4ドアセダンにしたもの(韓国においては商用車としてありあえない形式、たとえば4ドアセダンなどが人気である)を用いている。この車種はさらに世界各国において販売されることを念頭において開発していたため、ティアナのモデルチェンジから2年かかったものと思われる。
またこの車は仮想敵をヒュンダイソナタとしているといわれている。
2012年、2015年にモデルチェンジしており、細かな変更点が存在している。